11.大山槍ヶ峰南稜
平成15年1月18〜19日 三浦 章、村上、吉田、山内
今回の山行は計画を大幅に変更したものであった。当初、大山東壁・壁沢脇に鋭く走る稜線を登るための偵察行であったが・・・。
18日土曜日に宇部を出発、早朝からの行動を予定しているため、高速を利用する。天気予報では天候の悪化が予想されたが、雨は降っていない。夜なのに月明かりで明るく、奥大山スキー場近くで暗闇の中で白く輝く大山が浮かび上がった。とてもカッコイイ。皆が歓声をあげる。深夜2時に到着。1時間ほど車内で仮眠をとる。
支度をして3時半に出発。意外に暖かい。30分ほどして鍵掛峠手前のヘアピンカーブに到着。樹林帯へ入る。少し雪に埋まっているがトレースがあったので、それを頼りに交代でラッセルをしながら進む。意外に早く鳥越峠へつくな、と思っていたが、どうも西側へかなりずれて進んでいる。
「ありゃ、大分ずれてるな。」「このトレースは方向的にキリン峠にダイレクトに通じてるかも。だったらキリン峠から直接駒鳥小屋へ降りるか。」
トレースはそのうち消失したが、そのまま尾根に取り付いてどんどん上ると樹林帯を抜けてやせ尾根になってきた。
「???」
しばらくして事態が飲み込めた。トレースからとりついた尾根は槍ケ峰近くから鍵掛峠へ南にすっと伸びている尾根であり、キリン峠よりもさらに西側に来てしまった。樹林帯を抜けるとガスで視界は極めて悪く、状況がよくない。一度は撤退を考えたが、力も有り余っており、このまま行けば槍尾根とつながるはずなので、行けるところまで進んでみることにする。
視界は悪く、尾根も結構急峻であるので、ザイルを出す。コンテで進んだが、角度が急になってきたため、アイゼンを蹴りこむ。視界さえ良ければそれほど難しくないのだろうが・・・。
雪壁が現れ、このまま登ると戻る際の下降で苦労するため、撤退を決意する。位置的には1500m超あたりと推測され、もう少しで槍尾根に抜けたのではないか。
入り口の道路に戻ってきて今日を振り返る。もっとコンパス等で位置を確認すべきであったが、ついトレースの方向へ進みすぎてしまった。われわれの入口から鳥越峠まではほぼ一直線のルートなので、入り口でコンパスの方向をセットしてひたすら進めばよかった、と一同反省。
時間が早いので、道路上の雪原を利用してビーコンのテストを行った。発信元の方向を大まかにつかむのは容易だが、最終的なポイントを絞り込むのに意外と手間取る。練習が必要だな、と感じた。
10時半に奥大山スキー場に戻ってきて、帰路に着く。車中で今日辿った稜線が話題になる。
「あれ、意外に面白かったなあ、急峻だったし。」
「槍ケ峰近くにつながっているし、あの稜線をつめて槍ケ峰に出てキリン峠へ向かい、峠から文殊越につながっている尾根を降りると馬蹄形縦走になって面白そうだね。」
「この尾根登った人がいるかどうか分かんないけど、名前何にしよう?」
「ヨコヤリオネ」
「ヤリヤリオネ」
「ヤリオネカブミナミオネ」
どれもセンスがない。
結局、南の鍵掛峠からダイレクトに槍ケ峰近くに突き上げる尾根であり、「尾根」より「稜」の方がカッコイイので、「槍ケ峰南稜!」と命名した。
壁沢1500稜は今度のお楽しみである。
以上 記:吉田