14.大山槍尾根〜弥山縦走
12月30〜31日 三浦章、村上、吉田
本年のフィナーレを飾るべく、大山の豪快な雪稜縦走を計画、都合がついた3人で向かうこととなった。
山口市に帰省していた私と10時過ぎに合流、9号線に車を走らせた。この日は麓まで行けばよいだけなので気が楽である。山陰路はあまり天気がよくなく、小雨が降っている。大山も天気は期待できない。
江府町の交番で登山届けを提出し、17時過ぎに奥大山スキー場に到着した。駐車場に幕営。明日に備え、名残惜しいが酒は控えめにして早めに就寝。
翌朝3時に起床。身支度を整え、4時半に出発した。空は星が出ている。北の鳥越峠目指してもくもくと歩く。樹林帯のラッセルが厳しい。ありがたいことに途中トレースとぶつかり、そのまま峠へ出た。なお、トレースは烏ケ山へと続いていた。
ここより稜線歩きとなり、高度感も出てくる。雪屁が北側へ張り出している。キリン峠より村上がリード。我々の調子はいいが、この頃より視界不良となり、雪線とスカイラインが見分けにくくなり、危険である。ザイルを出し、コンテで進む。雪の表面はクラストしているが、下のほうは結構緩んで足が埋まる。気温がやや高いのだろう。
最初の核心は槍ピークのトラバース。ガリーを直上せず、左側へ回り込む。これが結構悪く、慎重にステップを刻む。槍ピークを超えると空が晴れ、視界が広がった。すばらしい光景であった。山の稜線や襞がくっきりと姿を現す。一点の汚れのない、壮絶なまでの白の世界だ。ユートピアへ続く稜線や、振り返るとやせ尾根に忠実に伸びている我々のトレースが見える。
剣が峰に到着したが、下は埋まって何も見えない。まだまだやばい箇所が続くので、さっさと通り過ぎる。この頃より再び視界が悪化、ほんの数メートル先しか確認できない。
縦走路で一番の難所「ラクダの背」に到着。ほんの足幅しかない上に、角度も急、雪も安定したつき方をしておらず、きわめて状態が悪い。確保も気休めだ。一歩一歩慎重に通過した。
ここより村上と代わり、三浦がトップ。稜線を馬乗りにまたがりながら超えるところもあり、怖いのを通り越して思わず笑いが出てきた。
視界がまったくきかないため、稜線が本当に正しいか不安にもなったが、12時半ごろに小広いところに到着。近くで登山者の声が聞こえる。弥山である。やれやれ。雪稜を通過中、風がそれほどでもなかったのが幸いだった。3人固く握手を交わす。核心でトップを勤めた村上と三浦は大変だったろう。
奥大山スキー場への道のりを考え、状態のよい場合は一の沢脇の稜線をたどって下降する予定だったが、今日の天気では当然夏道を下山。1時間でダッシュで降りた。
大山寺から長い歩きが待っている。大山を約半周近く車道を歩かねばならない。桝水高原までは除雪されており、1時間で到着。ここのレストハウスで腹ごしらえをして、ここより除雪されてない雪道を歩いていく。
ゲートをくぐると天の助けか、先人のトレースがあった!途中雪の樹林や今年最後の夕焼け、烏ケ山を眺めながら3時間かけて17時半ようやく奥大山スキー場に到着。今年最後の山行を力一杯行い、3人とも深い満足感と充実感を感じていた。
帰りの車中、山口市宮野手前で新年を迎えた。今年も充実した山行を全力で頑張ろう!!
記 吉田
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