18.阿蘇 根子岳
    平成
14112728
    三浦 章、広重 強(やまびこ)、山内 隆弘

27日 宇部出発 2330  根子岳登山口 350
28日 起床 600  出発 630  日ノ尾峠 650  西峰 735  
    天狗峰 1020  根子岳登山口 1100

 宇部を1130分に出発し、途中小野田で広重さんを乗せた。夜もふけており下道でも快調に進むことができた。
 根子岳まで宇部から約
4時間、3時間ちょっと走ったのでもう少しで到着というところで警察に車を止められた。何かと思うと、スピード違反だったらしい。このときの運転手は三浦さん。ごめんね。と言い残して警察のところへ向かっていった。こんな真夜中に検問やるのかと思いつつ、広重さんと僕のモチベーションはかなり下がった。
 さえない気分のまま目的地に到着。そそくさと寝る準備をして、すぐに就寝となった。
28日は、昨日の嫌な出来事を忘れさせるくらいの快晴となった。辺りはまだ薄暗かったが、空は雲ひとつ無く昇り始めた太陽の赤い光と水色がかった空の色が絶妙の調和をかもし出していた。朝焼けがとても綺麗だった。アスファルトの車道を歩いて登り、時より見える阿蘇の街並みは、朝靄で覆われていた。その静けさと寒さとがとても新鮮だった。
 ふと気づくと三浦さんと広重さんがだいぶ先を歩いており、たらたら歩いていた僕は走って追いついた。登山口に着いたときにはすっかり明るくなっていた。
 日ノ尾峠を上り始め、急斜面と距離の長さに僕はすぐにバテた。霜柱をザクザクと音をたてて足を踏み込み、霜のついた笹を握りながら登った。ようやく登り終えた西峰からは急に視界が開けたせいか、下の地面が果てしなく遠くに見えた。
 高度感もかなりあり三浦さんの落ちたら死ぬぞという言葉に、確かに死ぬと思い腰が引けた。そこからハーネスをつけ、ベテランリーダのいないパーティ以外通行禁止の看板を抜けていよいよ核心へと向かった。なれない懸垂下降しズックでの岩登りなどしたことの無い僕にとって、根子岳までの道はとてつもなく遠いものだった。体を斜めにしながらの懸垂下降、ローソク岩と呼ばれるピナクルの岩登り、
50pくらいあいている刃渡り越え、インゼル(ナイフリッジ)のトラバースいずれもかなりの高度感があり、下は断崖絶壁奈落の底であった。
 三浦さんがリードし広重さんが確保して僕は上で確保してもらい、なんとか岩場は切り抜けた。ローソク岩の終了点には足場が無く落ちたら死ぬーを頭の中で連呼しながら岩にへばりついた。進むに連れ、根子岳の存在感がだんだん大きくなってきた。
 ようやく根子岳のとり付きまできたときには完全に高さにのまれていた。そこからは西峰やローソク岩がとてもよく見えた。そして崖下も良く見えた。あれほど険しいところを通ってきたのかと思うとぞっとした。根子岳は広重さんがリードして、次に僕、回収を三浦さんが行った。岩のホールドは悪くはないのだが、足がクライミングシューズでないだけに滑りそうで信用ができなかった。左に抜けたら階段状の岩が現れ、ハング気味になっているので手を離すと下にまっさかさまといった状態だった。必死になって岩をつかみようやく広重さんのいる終了点についた。
 三浦さんは登るのが早くすぐに上がってきた。そこから少し歩き頂上の
1433m点にたどり着いた。眺めは最高だった。ほとんど紅葉の終わった山々が一望できた。下山のためもう一度懸垂下降した。こちら側から日ノ尾峠に向かう登山者も多いらしいがザイルが無くてはとても危険だと思った。
 ごつごつした石が転がっている道を下り、
11時ごろに車のあるところに着いた。根子岳を通りぐるりと回った感じである。今回の山行もやりがいがありすぎるほどあったが、とても勉強になり良い経験をさせていただいた。

記 山内隆弘

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