冬山登山大会 小五郎山〜寂地山〜松木峠縦走
平成16年1月24〜25日
MN夫妻、Dr、NW、F、I、Y、MH、NT 以上9名(宇部山岳会)
○1月24日
5:20セミナーパークに集合、20〜50代と年齢ばらつきよろしく、2台の車に乗車し出発。2日前からの大寒波の最中、荒天候では無理できないと考えていた。案の定道路は凍結し、注意深い運転を要した。
身支度をし、向峠を8:50出発。一面白い世界であるが、嬉しいことにこの日は晴れていて暖かい。天気が味方してくれたので皆の顔は明るい。
10:20、910mP近くのコル。ここでワカンを装着。11:40小五郎山山頂。意外にスムーズに進み、天候は崩れる様子が無い。遠くはかすんでいるものの視界に問題は無く、行ける所まで進むこととした。
13:08虹山、ボタ雪が降る。14:35容谷山分岐手前の小ピーク、急坂の登り下りを繰り返す。のどを適度に潤しながらこの日は右谷山まで進みたい。再び晴れて遠くまで山容がはっきり見え、思わず立ち止まって眺めてしまう。16:08浦石峡分岐、次第に寒くなってきた。
右谷山手前の眺望の聞く道では西の空に夕日が映え、来た尾根をはっきり辿ることができ、大きな小五郎山がとてもかっこよく見えた。その右奥には昨年の登山大会で縦走した弥十郎山、香仙原、安蔵寺山の姿が淡い紫色に染まって見える。山歴の浅いNTは景色を見る余裕は無いが、他メンバーに励まされ、予想以上に頑張ってくれる。
17:50右谷山山頂。テントを2つ張る。8人用テントの中で乾杯。夕食はブタ汁と白飯。疲れきったのか、意外に食が進まない。テントの外は雪と風、厳寒の雪の宿、おやすみなさい。
○1月25日
4:30起床。朝食は昨夜残ったものでおじや。夜中に雪が降り、樹氷の世界。7:00出発。まもなく進路に確信がもてず、Drを中心に探索を繰り返す。ここで1時間。迷った挙句、磁石と地図を手に一直線に寂地山の東北東めがけて進むこととした。ミノコシ峠を踏み、寒風の中手足が痛い。想像以上の大雪にひるむことなくラッセルを続ける。
この日寂地山頂には他チームが他ルートから登って待っているはずなので早く会いたい気持ちはあるが、行く手を阻む雪。杉にかぶさった雪にてこずる。足をとられ、懸命にもがくが、その様は虫が雪の上で泳いでいるようで笑いが出てくる。山頂手前ではメンバー全員が交代でラッセルして登る。
11:45寂地山頂、握手、誰も来てない?テントを張り、中でうどんを食べながら暖をとる。Oより情報が入りあと30分で山頂につけるらしい。しかし、次の交信でどうやら間違って広高山に登ってしまって、結局撤退するようだ。仕方なくテントをたたみ、自力で松木峠を目指すこととなった。
13:50寂地山出発。真っ白い純な世界。ブナの森は雪にすっかり覆われ、静かに澄んだ美しさがある。ひどく敬虔な気持ちになる。しかしこの日は遠くに視界がなく、感嘆ばかりしていられない。ルートが見極められず迷いに迷う。テープも雪に隠れていたりする。やっとトレースを見つけて喜ぶのもつかの間、リングワンデリング。
難儀な山行となったが、いつも静かなFは前へ前へと秘めた力を発揮する。果たして松木峠へ着けるのか?東へ進むうちにどこかでトレースにあえると望みを抱いていた。
山岳会きっての馬力を持つIがやはりラッセルの要に違いないが、寡黙な彼が珍しく私に近づいてきて、大きな体の割りに子どもっぽい目をして訴える。「はらへったっス。」行動食をほおばり、明るくジョークを飛ばしながらも「ビバーグはやだな」とか「残った食料の団子の粉を丸めて食べよう」とか・・・・。
15:25、1316らしきピーク。16:10トレース発見。どの顔にも安堵が。ただこのトレースはあちゃこちゃ枝分かれしていた。恐らく松木峠から入ったチームも道に迷い、断腸の思いで下山したらしいことが伺えた。無線は通らず、携帯も圏外とか寒さで容易に通じない。下山しても私たちの車は向峠に置いたままである。ようやく電話が通じた。会員のKとOが松木峠で私たちの下山を待っているという。ありがたい、これで助かった。下りながらあたりは次第に薄暗くなってきた。
松林の間に車の明かりが小さく見えた。18:00ようやく松木峠へ下山。Kは車を暖め、Oと彼のファミリーはテントを設営し、暖かいコーヒーを用意してくれていた。彼らは下山後、帰らずに私達を心配してひたすら我々を待っていてくれたのだ。どうにか全員がそろい帰路につく。しかし雪が舞う山里の道は厳しい。1台車がスリップし、ガードレールで止まり身動きが取れなくなる。JAFまで呼ぼうか、と協議した。
メンバー最年長のNWはよくしゃべり我々を楽しませてくれるが、このときはリーダーシップを発揮し指示、この日最後の力仕事をして脱出した。無事宇部に着いたのが深夜になっていた。
9人のメンバー誰一人もが大事な仲間であり貴重な存在であることを強く感じ、心から感謝したい。そしてKとOにお礼を率直に言ったところ、Oが優しく笑って「これが山仲間ですよ!」と照れくさそうに笑う。
”しぐるるや しぐるる山へ歩み入る” 山頭火句
記:MN
右谷山を望む
寂地山頂上
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