由布岳大崩2 平成16年3月9日 M,F(やまびこ)
2月にも挑んでいるが、偵察に終わり全体のラインが登れなかった。春のような
陽気が続き、今期はもうチャンスはないかと思っていたが、土日と一時的に冬型
となり、由布岳にも雪が着いている情報を得たため、由布に向かう。3時到着、
2時間の仮眠で出発、干潟角なら内うちに抜けないと上部での落石の雨が怖い。
雪の量は2月と比較にならないほど少ない。登攀可能な最低量の雪である。モ
レーンで割合高度を稼ぐ。
水は流れていないが滝状岩壁の下で登攀具、ロープを 出す。取り付きは空身になる。ザックをFの肩に載せ、ショルダーで越える。このルート唯一のリングボルトで1P。前回は準備不足でここで撤退したが、今回は十 分なギアを用意した。2P目ハーケンを打ち、更に鉄杭も打ち込む。脆い岩でホー ルドは乏しい。ガバは少なく、主にパーミングとステミングで岩に刺激を与えな いように登る。逆層が多く、アイゼンもあまり効かず、引っ掛けるというよりは 置いている感じ。岩から雪面となりピッケルと倍るを打ち込むが雪が少なく岩にあたる。雪で埋まっていた枯れ木がしっかりしていたので25mで切る。3P目は雪と岩のミックス、傾斜は割合緩いものの支点が取れないが、思い切ってつっこ んで登っていく。45mロープを伸ばし、岩にスリングを回して確保点が取れ た。4P目も同じように岩と雪のミックス、だが雪は少なく土石が混じる。次は確保点にハーケンが打てた。大崩は谷であり、ここらで高度が上がってきて上部からの吹き下ろしが強い。中心部は上部からの落石で雪面が少ししか見えない。左岸壁の基部に沿って登っていく。5P目は確保点が作れないので、小尾根のエッジを利用する。この尾根上をFがつるべでリード。
45m伸ばして岩角に長いスリングを回して確保点とする。7P目少し本流側へ近づく用に右上気味に登って大崩の最も魅力的な長い雪面部に出る。本来はここから楽しめるのだが、今日はある意味ここから核心か?上部からの落石が絶え間なく降り続き、滝上の中心は落石で埋め尽くされている。握りこぶし大の石もある。撤退か?しかしよく見ると落ちる方向に一定性があり、大崩の左岸壁基部はきれいな雪面が残っており、このラインが弱点だ。だが、どうしても落石の川を渡らないと最上部へは抜けられない。落石のリズムをつかみ、15m幅の落石の通り道を通過。ほっとする。
もう
最上部まで100m、雪面を離れ、大崩の上に達する。少しヤブをこいでお鉢に。「ご苦労様でした」2人固い握手。今日の状態が登れる限界であったろうと思われる。
記:M
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