若い頃から 興味はあったが自分の力不足で実現しなかった根子岳岩稜歩きのお誘いを受け 二つ返事で参加した。
前日 阿蘇の一宮運動公園でテント泊し 14日の7時 ヤガタ宇土のPで 参加者全員集合 総勢
17名の大所帯である。自己紹介(20歳〜69歳の男女。筆者が最年長と思っていたが上がおられた)のあと CLの指示で いきなり藪漕ぎが始まる。一般的な沢コースではなく、尾根に取り付きである。 カヤが茂っているが 足元には古い踏み後がある。
(稜線目指してカヤ漕ぎ) |
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1時間15分の登りで、一汗かき稜線に到達。立て札があり「これより先危険。ベテランリーダーの先導必要」の意味が表示されていて気が引き締まる。でも今日は三浦・石田の両実力者の存在があるので大安心である。でも稜線は幅狭く両側はすっぱり切れ落ちているので気が抜けない。徐々に高度を上げて、いきなり急降下。まず最初のザイルを使う懸垂下降となる。次は もろい斜面のトラバースであるがここも先発工作隊がフイックスロープを残してくれている。これに自分のビレイをカラビナでとり、進む。でもホールド、スタンスとも脆く気を遣う。
(フイックスロープが有り難い) |
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次はノーザイルでの急登で なかなか厳しい。ある岩の登りでは適当なスタンスが見つからず、傍の木をつかみ強引によじ登る。しかし石田SLから「枯れ木が折れた時は転落につながる」と注意を受ける。大いに反省。
やっと 平坦な場所に出たが 前方の光景を見て 唖然。急降下の先で先発隊が工作しているのが ローソク岩!!。その先が核心部の天狗峰。
(手前がローソク岩、背後の岩峰が天狗峰) |
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薄い鋸の歯を一つ一つ上下するような景色である。驚くほどの悪相だ。
色々情報を得て 心の準備が出来ている筈のYさんは「あれが天狗峰! 怖い、登れない!、帰りたいので誰か就けて!。」と涙声で訴えている。 我が女房なら「私は動けない。ヘリコプターを呼んで!」と わめくであろう。
石田SLは静かに「帰るほうが難しい。登るのはどうにかなる、引上げることも出来る。でも下りは 引きずりおろすわけにはいかない。行きましょう」
半泣きのYさんは 覚悟を決めて ローソク岩の鞍部まで懸垂下降。こんな騒ぎも聞こえないローソク岩頂部ではFさんが呑気に間食中。天国と地獄?か。
ローソク岩基部は狭いがクレッターシューズに履き替えた人もいる。自分も次の天狗峰に備えここで履き替えする。これは正解で以後楽になる。
(ローソク岩から越えてきた岩峰を振り返る) |
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ローソク岩頂部を超えると懸垂下降で大下り。次は先発隊の工作したフイックスロープをブルージック結びで自己確保しながら岩稜を登り、水平移動する。自分はトラバース気味に渡ったが最後はリッジの下降でやや慎重になる。どちらに落ちても止まりそうもない。フイックスロープが有り難い。
ここから天狗峰の登攀になるが 自分がたどり着いた時には既に先発隊が登っていて彼らの華麗な登攀スタイルは見ることが出来なかった。
(天狗峰ルート工作) |
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石田SLの話では「このフェイスは順層なので意外と登り易い。ここを懸垂で降りるのは
勿体無い。三浦さんはここを気持ち良く登るために西からのコースを選んだ」とのこと。
よく解かりました。でも17人の大人数が登り終えるには何時間かかるのでしょう?。
ここからが三浦CLの手腕です。石田SLが既に工作した2本のザイルをベースに2列同時進行、各ザイルも10mおき位で人を入れこれも同時進行。各メンバーの力量を考えての見事な配置。約1時間で全員完登。
(同時進行で登攀) |
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安心と満足で空腹を覚え時計を見ると12時である。憎いほどの演出だ。
小1時間ほどの昼食で エネルギーを補給。先ほどの隣のザイル登攀者とのホールド、スタンスの奪い合いも笑って話せる。
和やかな雰囲気になったが ここは天狗峰の頂上である。リーダーの引き締めのことばで、気合を入れ直し下降を始める。段差の大きい箇所が多く、慎重に下る。ずっとそうであったが両側がスッパリ切れ落ち転落したらとても止まらない。
(核心部下降準備) |
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西側が大きくハングしているその上部を恐る恐る越えると、ややこしい懸垂下降だ。振られないようルート指示を受けながらそろりそろりと下る。
(核心部を懸垂下降) |
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ここでは懸垂下降の上手下手の差が歴然と表われる所だ。下降終了者がかたまって待機する場所からは上の様子が見えないが、色んな声が聞こえる。全員が下るのに(頂上からだと)約1時間要した。
後は一般路を下るので楽勝かとおもったが大間違い。見晴らし新道を下ったが、急な登り下りが続き何時まで経っても高度が下がらない。ザイルが欲しい急坂や崩落斜面のトラバースがありこんな一般路は初めてだ。
植林帯に入り堰堤が見え、長い下りは終わった。ヤガタ宇土のPに15時20分到着。
ここの掲示板を見ると見晴らし新道は、上級コースと表示されていた。
ここで愛犬と待っていた石田夫人曰く「稜線での悲鳴がここまで聞こえました」〜笑い〜
全員無事下山できたのは、両リーダーと宇部&アルピナの実力者のサポートのおかげです。有り難うございました。
記 : 斉藤
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