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長英新道は「ああシンド」 尾瀬周辺の山 |
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2007年7月31日〜8月2日
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メンバー:斉藤 他1名 |
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尾瀬ケ原の向こうに燧ガ岳 |
今年も東北の梅雨明けは遅れている。愛車ごと山行準備は済んで 後は生鮮食品の積み込みをするだけなのに、何日も待機である。 やっと 7月末に天気予報は 梅雨明けは近いと言っている。
東北(飯豊)まで 一人の運転では2日かかるので、前もって出発する。 昨年 高速道路の通行料金を倹約しようとして、ETCカードを4枚も使い、3時間で400km近く走ったが、疲れた割りには トータルではあまり安くならず
今年は作戦変更で 総距離を延ばす(但し 0時〜4時の深夜料金割引を利用)ことにする。
7月29日 宇部を朝ゆっくり出発すると 琵琶湖周辺で夕方になる。あるPAで車中泊と決め込み、先ずは持参のビールで運転の疲れを癒す。 自分の知恵で最高に冷やしてきたビールは旨いが 後で これが早まったことになる。
ここのラーメンを食べたが 超マズイ。自分で具を足したインスタントラーメンのほうがはるかに美味しいと思う。他の客も途中で食べるのを止めている。
おまけに やたらと大型トラックが入り、殆んどが泊まり、それも冷房のためエンジンを掛けたままで轟音の夜 逃げ出したいが 先ほどのビールのため
身動きならない。おまけに雷雨となり 出だしを一日早まったかと反省する。
明くる日(7月30日)、慢性的に渋滞する一宮〜小牧をやっと抜けて、中央道〜上信越道を進む。ずっと天気は悪く、周辺の山々は雨雲の中でドライブの楽しみは無い。 昼頃 雨脚が強まったので横川SAで休止する。 そこで食べた 釜飯は900円だがおいしいと思う。 天気予報では明日梅雨明けらしい。関越道の沼田で高速道を下りて、まずは尾瀬に向かう。 「他1名」から 尾瀬に行きたい、付き合ってと言われたものの、賑やかなおばちゃんのグループが闊歩しているイメージしかわかず、硬派?の筆者としては 即答出来ない。せめて燧ガ岳と至仏山の登頂を交換条件にしぶしぶ同意。 明日早くから歩くため 大清水小屋に宿泊申し込みをし 快く引く受けてもらう。(7月30日)生ビールと岩魚の塩焼き等で前夜祭とする。
朝食は弁当にしてもらい(7月31日) 夜明けに出発する。林道(ゲートあり)を一ノ瀬まで快調に進む。ここで小休止し持参のパン等で朝食。この先に橋があり
ここから山道になる。
やや茂みで「熊注意」の看板もあり あの有名な尾瀬の入り口とは思えない。ハイシーズンが終わったためか ひと気も無い。木道を歩く私と連れの「他1名」
(以後 G と表示する)の足音だけが響く。 二人とも尾瀬は初めてである。以外な静けさにとまどう。 三平峠近くでは、針葉樹になりしかも高い位置に赤いマーキングがある。積雪期も使われるルートだろう。
峠を少し下ると前方に沼が見えてくる。Gは「尾瀬沼よ」とはしゃいでいるが、私には灰色の普通の沼にしか思えない。 急いだ訳でもないが すぐに尾瀬沼湖畔に着いた。
へそ曲がりの筆者は花より、ビジターセンターの「熊出没情報」や野鳥の模型とその鳴き声に興味を持つ。 朝食をとり 先ずは大江湿原を覘く。ニッコウキスゲは盛期を過ぎているが まだちらほら咲いている。花は少なくてもこの緑のフカフカ絨毯は一見の価値がある。
Gは「あの三本のカラマツは有名でよく写真で見る」と教えてくれる。 |
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左側に大江湿原が続く |
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小さな尾根を回り込む頃にやっと晴れて、燧ガ岳が見えてきた。2300m越えなのに以外と低く感じる。尾瀬沼の標高が高いことを知り納得する。
燧ガ岳への道標があり(長英新道)いよいよ登りにかかる。・・・筈であるが樹林の中の道は いつまでも高度を上げない。Gは「この道で大丈夫?」と言って いるが、今まで分岐らしきは無かったようだ。道を確かめようにも他に登山者は見当たらない。地図とコンパスで確認しょうにも 何も特徴の無い平たい樹林帯では 無力である。
樹の高い位置に赤いマーキングがあるから これでいいのだろう。
そのうち登山道は 前日までの雨でヌカルミになる。初日から泥靴にしたくないので倒木や散乱する枯れ枝を利用して、綱渡り的に進む。これは一箇所でなく延々と続く。
Gは、雨に備えて持参した傘を杖代わりにしてドロンコにしている。 |
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ひどいドロンコ道@ |
ひどいドロンコ道A |
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宇部を出発時 筆者は「長靴で歩く」と言ったら Gが「単独で国立公園になる尾瀬に失礼よ」の一言で諦めた。 やっと田んぼのような泥道が終わったら、今度は溝のような道の中を這い上がる。雨後の長英新道は「ああシンドい」。
でも辺りが明るくなり、ダケカンバがまばらになると展望もよくなる。水の流れる急斜面を這い上がるとミノブチ岳だ。すぐ上に俎ー2346m、眼下には尾瀬沼だ。 |
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眼下に尾瀬沼
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やっと 花が多くなる。盛期は過ぎているが シャクナゲや高山の花々が咲いている。
以外に早く 俎ーに到達。 頂上にいた自然監視員は、長靴である。自分の考え方は間違っていなかった。今後 Gには 耳をかさないことにしょう。
霧の中、展望が良くなることを期待しながら 昼食とする。時々霧が流れるが 大展望とはほど遠い。先を急ぐので隣の燧ガ岳最高峰 紫安ー2356mに移動する。
やっと 眼下の尾瀬ガ原の全貌と至仏山が見え始めた。田圃の中のあぜ道のような 明日のコースは楽勝と思われる。 |
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尾瀬ガ原の向こうに至仏山 |
手強い下り |
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紫安ーからの下山路は急坂が続き、かなり手強い。 このコースで出会った登山者は ある山小屋の若い従業員のスピードあふれる登下降のみで、人気の山とは思えない。 |
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地図今回の歩行ルート |
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燧ガ岳の登山道は、尾瀬の整備された木道と比べて、大差があると感じた。自然保護のため手を入れていないのか。登山者数は少ないから後回しなのか。
たまに標識があるが、「エッ まだ○kmもあるの」と 疲れを増長させる数字がうらめしい。 宿の予約時 「朝はどこからですか?」と聞かれ「大清水から燧ガ岳経由です」「エッ 長いですね」などのやりとりを思いだした。
昨日までの雨で、川のような登山道を靴を濡らさないように 渡渉を繰り返し どうにか木道に降り立つ。ブナの大木が多くさすが尾瀬と感心する。 |
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ブナが林立 |
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約17Kmを歩き、16時半に見晴の宿に到着する。雨後の道は「ああ シンドかった」。 宿の受付をしながら 傍の冷えひえのAsahiスーパードライに目が行く。予約時は「相部屋ですよ」と言われていたが個室になっていた。これで自分の発する
イビキの不安から開放されてビールを思い切り飲める。おまけに「お風呂にどうぞ」と言われ、靴を脱ぐ前から気分は Hiになる。
風呂後の夕食時 ビールを買う。冷えひえのロング缶が1本600円、3本購入して意気揚々とテーブルに持ち帰る。山の宿にしては 充分な献立を前に 至福の時間が始まる。
宿のスタッフの案内で Gは蛍を見に外に出た。ますます万歳である。
明くる朝(8月1日)、夜明けに宿を出発する。朝霧に包まれて幻想的な風景である。モウセンゴケの群生が湿原らしい。(予備知識はなかったのに)この時間に
尾瀬ガ原に居て 来て良かったと思う。
だんだん明るくなるが、前にも後ろにも人影が見えない。本当にここが尾瀬ガ原なのだろうか。 |
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早朝の尾瀬ガ原 |
前方に至仏山 |
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ずっと先で自然監視員に「ここは一般の人は立ち入り禁止ですよ」と言われそうな錯覚をするほど ひと気が無い。 尾瀬にとっては花の端境期なのだろうが
花オンチの筆者には覚えきれないほどの花が咲いている。水のなかのヒツジグサも蕾をつけている。あまりに長閑な景色の中、朝からビールを楽しむ。 この時期この時間 尾瀬はいい所だ。 |
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ひと気のない尾瀬ガ原 |
ヒツジグサ |
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牛首を過ぎ至仏山が近くになると、山の鼻からの訪問者がちらほらある。 山の鼻に到着すると、ここは沢山の人で混雑している。 しかし至仏山に登り始めると途端に人影が無くなる。結構な急坂が続きしかも丸く磨耗した蛇紋岩が
滑り易く、こちらを下山路にとると難儀するらしい。 |
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蛇紋岩の道 |
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高天ガ原に達すると人も花も多くなった。蛇紋岩地特有のホソバヒナウスユキソウや濃いピンク色のタカネナデシコが目立つ。残雪を抱いた山々も見える。
下山者から「富士山も見えますよ」と聞き気持ちがはやる。
至仏山頂上2228mは沢山の人で混雑して記念撮影もままならぬ。鳩待峠からピストンする登山者が多いと聞く。
親切な方がおられ 周辺の山々を教えて下さる。深田久弥氏の百名山の名前が次々に出て、田舎者の筆者はただただ驚くばかり。再度ここに来てよかったと 思う。富士山は判るがその左のカッコいい山は 日光白根山と教えてもらう。明日は登ろうと決める。 |
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ホソバヒナウスユキソウ |
中央が翌日登った日光白根山 |
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西側は残雪の目立つ山々が多い。彼は 特に平ガ岳がお勧めと言われるが 我々には今回全く情報が無いのでこの山は断念せざるをえない。 いつまでも山々を眺めていたいが 今から下山して 大清水で愛車を回収して 今夜の塒(ねぐら)を探さなければいけない。山々を教えてくれた彼に礼を言い、
下山にかかる。 小至仏山の下はお花畑で、沢山の登山者が休憩している。ここでハクサンチドリを見つけ また特有種の「オゼソウ」を教えてもらった。オゼソウはまだ
地味な蕾だがもう少しすると黄色い花となるようだ。
オヤマ沢田代の湿原を過ぎると、道はどんどん下る。後を振り返ると大きい至仏山に沢山の人が取り付いている。 緩やかな道になり 鳩待峠に達する。小1時間バスを待ったが、後の連絡がよく大清水に早く到着。
宿のおかみさんが 裏の湿原に案内して、「姫ザゼンソウ」を見せてくださる。とても可愛いザゼンソウで教えられた通り、100円玉を傍に置いて 写真を撮る。
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オゼソウ |
姫ザゼンソウ |
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その後 片品村を走り回り、食材を購入し、花咲きの湯に入り、翌日(8月2日)は 日光白根山2578mに登る。シラネアオイは咲き終わっているが、
コマクサを大規模に育てている。山中で鹿に出会ったが、人を警戒せず 和みの時間である。 五色沼もきれいでここでものんびりできる。 |
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日光白根山の鹿 |
五色沼 |
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三日間で深田氏の日本百名山の三山を登れて、この山旅は順調なスタートであったが この後台風5号から逃げる旅となった。それでも 飯豊山2105mや
谷川岳1963mに登りつじつまを合わせた。
いずれも風貌と花が素敵な山で、機会を作って又訪ねたい。 |
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<斉藤 記> |
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