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比婆山で初登り(2020)
 
 
笹尾根を登って行く
 
 
日時  令和2年1月1日
天 候  晴れ時々曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋) N(会員外)
行 程  比婆山県民の森公園センター(9:12)~ 展望園地(9:55)~ 立烏帽子避難小屋(11:20-11:30)~ 池ノ段(11:44-11:52)~ 立烏帽子避難小屋(12:10-12:35)~ ロボット雨量計(13:06)~ 県民の森公園センター(14:33)
 恒例の比婆山での年越しを前に県民の森公園センターから「殆ど雪がありません・・・」と電話がかかる。今はスキーをしないので特にがっかりはしないが、雪景色を見られないのは残念だ。
 大山で正月を過ごしていた頃、一晩で積もった事があったが温暖化の昨今期待はできない。ならば雪の無い比婆山でも楽しめそうな事はないだろうか? ある!! Mに話せば即、「阿保らしい」と一蹴されそうだ。公園センターが在る《六ノ原から立烏帽子駐車場までの管理道》いつか歩いてみたかった。登山道に比べ距離も長い車道だが、まだ一度も歩いていない。物好きかもしれないが、せっかくのチャンスだ。恐る恐るの提案をMは意外にもあっさりと承諾、どんな景色が待っているのだろう。
 12月31日
 比婆山へと向かう道路に雪は無いが六ノ原に近づくと辺りは薄っすらと雪景色に変わり始める。半ば諦めていた雪山ハイクの雰囲気くらいは楽しめそうだ。公園センターに入るといつもニコニコ顔のお偉いさん(社長?)が気さくに声をかけてくださる。早速初チャレンジの管理道について訊ねると「斉藤さんが初めて、今まであそこを歩くなんて言った人はいませんよ」と来た。おまけに別の管理道の間違いではないかと念押しまでされてしまう。「長いですよ」「歩く程ありますよ」ストップ!!(内心)これ以上続けられると、Mが止めようと言い出しそうでひやひやだ。「まっ、無理をされないで頑張ってください」にホッ・・・。夕食時、時々ガイドもされる総支配人のIさんも「登った事も下った事もあるけど長いですよ。歩いても歩いても同じ景色で飽きました」と言われる。6kmあるそうだが、常盤湖1週+300m、そんなに大変なのかな? 歩いてみないと分からないが。
 1月1日
 天気予報ではCランク(悪天)無理はできないと思っていたが有難い。曇の合間に青空の好天だ。令和2年元旦、幸先良いスタートとなる。例の管理道は帰路として歩く事にし笹尾根コースから池ノ段へと向かう。年々登山者が減り寂しい正月登山が続いていたが、今年はN(娘)も同行とあってMも張り切っている。何事も起こる筈が無いと今まで2人きりでも雪の比婆山に挑んで来たが、やはりNが加わっただけで心強い。
展望園地に到着 伊良谷山を望む
 たっぷりの積雪なら尾根伝いにショートカットも出来るが、上っ面の雪ではそうもいかず忠実に夏道を辿って進む。「雪が多い時はここからこの尾根を登って行くんじゃけどね」MはいちいちNに説明してるがまだ分かってない。Nは昔からそんな事全く興味ありません(親孝行のつもりか一見真面目に聞いてはいるが)2人だけ山行は内輪もめで派手にやりあったり10m以上離れての無言行動が多いが、今日のMはご機嫌だ(無理もない。耳が遠い相手では会話がなりたたないものね)樹林帯を抜け展望が開けた山腹を行く。眼下に帰路となる管理道がチラッと見えている。今まで本気で眺めた事もなかったが、よくよく見ると結構ここから離れている。それだけ遠回りするという事か、頑張らなくっちゃ。
雪化粧の笹尾根
 今日も静かな立烏帽子駐車場に到着。目の前の立烏帽子山は霧氷に覆われている。避難小屋でお昼タイムの前にひとまず池ノ段へと向かう。雪景色ハイクだが、せめて一つはピークを
踏んで来よう。秋には沢山の人で賑わっていた池ノ段も今日は静寂そのもの見渡す限り誰もいない。吾妻山、  大膳原、御陵へと続く稜線、見慣れた景色は全て雪化粧、霧氷で覆われている。この美しい光景を近くで眺めているのは我が家だけ、勿体ない。
静かな池ノ段
池ノ段を後に立烏帽子駐車場へ
 立烏帽子避難小屋まで帰り着き、カップ麺で温まり一息つく。2015年の厳冬期(出雲峠経由で縦走)この小さな小屋はすっぽりと屋根まで雪に埋もれていた。今、明るい外の景色を眺めながらやはり温暖化の所為かと複雑な思いだ。大雪への憧れは失ってはいないが2人だけでここに来るのは厳しい。体力の衰えは仕方ないが、やはり淋しい思いだ。

 下山は往路の笹尾根の分岐を左に見送り管理道を直進する。立烏帽子駐車場まで熊野神社側からは一般車両も登れるが(県道254号)この管理道は当然関係車両しか通れない。単なる車道・・・そうはいっても未知の景色への期待か足取りは軽い(気持的には・・・膝痛を庇い見られた姿ではないらしい)
笹尾根(左)分岐を通過する
 歩くにつれ帰着地の公園センターがどんどん遠くなって行く(つまり反対方向に進んで行く)その内どこかでUターンするだろうが長い長い・・・。楽しみは時々現れるブナの大木だ。惚れ惚れする程立派で思わず立ち止まる。
 一般縦走路沿いにある大木は記憶に残っていて、Mは伊良太郎(伊良谷山への登山道傍に在るから)等と勝手に名前を付けている。が今、目の前に立つこの立派なブナを、いったい何人の人が眺める事が出来るだろう? せめて写真を撮りたいが手のひらに入る小さなバカチョンカメラでは全体像が撮れない。ガシャンとシャッターが切れる立派なカメラなら撮れるかもしれないが(いや、やはり腕次第)
ブナの大木が続く管理道
 通過点の目安にしていたロボット雨量計を過ぎても笹尾根からどんどん離れて行く。車道なので急激なアップダウンとはいかず、その分遠回りも仕方ない。次々と現れるコーナーを回っても期待に反して同じような景色が続いている。Iさんの言葉を思い出しながら覚悟の上だと自分に言い聞かせてもやはりダレてくる。
冬の花
 遅れ気味に気づいたかMが「今、この辺り」と広げた地図上を指さす。よし! もうひと頑張りだ。Mは私ほど疲れていないのか「もっとたっぷり雪があったら、ここはスキーで滑ったら面白い」と言っている。のんきなものだ。滑るためには登らないといけない事を忘れてない? スキー場のリフトで上がっても池ノ段を越えないとね(越原越からのトラバース道が在りはするが)それにしても新緑、紅葉と四季折々の光景は十分楽しめそうだ。元気なMとNを必死に追いかけながら管理道終点(県道256号に合流)に辿り着きホッとする。少し疲れたが新しい比婆山に出会えて良かった!
比婆山東部の管理道 トラック図
 公園センターに帰り着き、まずはお風呂へと急ぐ。ん!? 《↑男性 →女性》廊下に立つ案内板がいつもと反対だ。たまにある事なので→に従って手前の浴室に入ったが落ち着かない。わざわざ出て2度も確かめたが間違いない。うっかりの男性客が入って来るかもと警戒していたら案の定、ガラス戸の向こうに人影が・・・「こっちは女性用です!!!」と叫ぶと「あれ? 昨日と反対かぁ」その声はまさしくM。「案内板見てないの!!」と追い出したが・・・。最後に入ったNは案内板と入り口に架かっている暖簾の表示が違うのでフロントで確かめたという。結果、案内板の表裏が逆さまになっていたらしい。Mは「おかしいと思った。入浴中誰か入って来ないかと冷や冷やだった」との事だが、私もMも冷静に事の状況を把握できていなかった。運がよかった(?)誰かが入って来られたら騒ぎになったかもしれない。全てを年の所為に出来ない事だってあると反省しきり。2人で一人前にもならない現実を改めて実感。新年早々笑い話にもならない出来事だったがしっかりと自覚し、今年も安全を心がけながらゆっくりと登りたいと思う。
(文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋)  トラック図:斉藤(宗))
      
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