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三倉岳クライミング(広島県大竹市)
 
 
日 時  2021年4月10日(土)
天 気  晴れ
メンバー  内田、鹿野(会員外)
行 程  山口~防府東IC~岩国IC~三倉岳~岩国IC~防府東IC~山口
 最近、下手ながらもトラッドクライミングにはまっている。自分の判断と責任においてプロテクションをセットしながら登るクライミングは気が抜けないが面白い。
 2週間前に三倉に来たときは、両粂さんに教えてもらったショートルートを登ったが、今回はパインツリートリップを登るつもりだ。
 朝8時に駐車場で待ち合わせ、準備をしてからBコースを上がる。Aフェースの岩場から登山道をはずれ、下の岳東壁エリアへ。相変わらずギア満載の荷物を背負ってのアプローチがきつい。
 まずはアップでαクラック5.9を登る。このエリアは初めてなので、自分から登らせてもらうが、まだ陽が当たっておらず、今朝の冷え込みで岩が氷のように冷たい。指先の感覚がなくなっていく中、辛うじてオンサイトに成功。寒さで身も心もガチガチとなって、危ないところだった。
αクラック
 少しも身体は温まらなかったが、アルファクラックの反対側に位置するパインツリートリップは陽が当たって温かそう。しかしながら、このルートは最高グレードが三倉の5.10aで、4ピッチ全てオールナチュプロのトラッドクライミングとなる。安易に取りつくとひどい目に会いそうだ。

 しかしながら、今日はこのルートを登りに来たので、カムを多めに準備した上で、登攀開始。1P目は鹿野がトップでいく。難なく下部を越えて、いよいよ中間のワイドに突入。入口で固め取りして内部に入った後、ムーブを探りながら、ずり上がっていく。ワイドを抜けると順調にロープを伸ばして終了点へ。
パインツリートリップ1P目を登る鹿野
1P目中間部のワイド
 フォローで登るが、やはりワイドへの入口が悪く、入った後も経験したことのない動きでズリズリ這い上がった。やはり三倉のマルチ。1P目からヘトヘトにさせられる。

 2P目は内田がトップ。右にある出だしの簡単なフェースを越えて、ビレイ地点から見えないワイドに入っていく。見上げると、傾斜はそれほどではないものの、フレアしたワイドが真っすぐ続いている。一瞬、思わず怯んでしまうが、覚悟を決めていくしかない。
2P目出だしのフェース
真っすぐに続くクラック
 手が甘いため、身体の使えるところ全てを使って、全身でフリクションを効かせてずり上がる。セットしたカムは既に足下となり、恐怖心と闘いながらも、じわじわとクラックの出口を目指す。
 どれほど時間が経ったことだろう。それまで邪魔で仕方なかったキャメロット5番を使った後、ようやく抜け口に差し掛かった。しかし、最後の抜け口が厳しい。甘いハンドジャムが抜けないことを信じて、覚悟を決めてじわりと身体を引き上げた。
 クラックを抜けた上に終了点があり、自己ビレイをとって安堵する。この時点で既に満身創痍だ。
厳しい抜け口
 3P目は再び鹿野。少し上がってから、左の岩を乗っ越すと右方向に水平のワイドが走っている。ここでも入口で固め取りしてから、クラックに突入。
 イモムシのように前進し、器用にロープを伸ばしていった。フォローで続くが、まさに匍匐前進。クラックから吐き出されないよう、苦労させられる。
 さらに、その後のクラックの出口が厳しい。手を伸ばして先を探るが、バランスが悪く、なかなかホールドが分からない。立ち込むこともできず、テンションをかけようと諦めかけたその時に、ようやくガバに手がかかった。ホールドが取れたら一安心。クラック出口のハングを乗り越して終了点へ。
水平に走るクラック
 4P目は内田。右上のスラブにボルトが見えたので、誘われてスラブを進んでしまう。トポにないはずのボルトに戸惑いながらも近づくと、ボルトの打ってある前後が、見事にホールド・スタンスの乏しいスラブとなっている。進むしかないので、カム一式の重さに耐えながら、覚悟を決めて結晶をつまんで越えた。そのすぐ上のテラスの壁に終了点が設置されている。
右上のボルトにつられて登る
 ロープを出した距離からして、ここで終了とは思えず、ルートを探るがよく分からない。しばらくの間、一人で右往左往したが、鹿野にも上がってきてもらうことに。
 改めて2人であちこちとルートを探したが、やはりルートが分からない。時間も惜しいので、中途半端感はあるものの、ここで終了することにした。終了点から登ってきたルートの各終了点を使って取りつきまで懸垂で降りる。60mシングルで、2P目はちょうど良い長さだった。
 ちなみに、下山後、駐車場で出会った両粂さんに聞くと、4P目ははぜの木クラックの2P目に入ってしまったようだ。右上せずに真っすぐ登るのが正解とのこと。当分はお腹いっぱいだが、もし再び登ることがあれば気をつけたい。
 時間は既に13時半。4P目であちこちルートを探ったのもあるが、やはりワイドは時間がかかる。急いでお昼をつめ込み、青白ハングへ移動。疲れ切った身体に重いギアと8合目までの急登がきつい。
 ゼエゼエしながら、青白ハングに到着。鹿野と相談して、セブンスターを登ることにする。三倉では珍しいオールボルトのルートだ。鹿野が譲ってくれたので、ここも自分から登らせてもらう。
 ボルトルートとはいえ、ボルトの間隔が三倉らしい。頭上のハングは左右どちらから越えるのか少し迷ったが、思い切ったムーブで何とかクリア。これで核心を越えたと思ったら、自分にはその上のスラブの方が厳しかった。
 支点が遠い中での結晶をつまんでのトラバース。確かにムーブ自体は難しいものではないが、この怖さで5.10a。時間はかかったが、嬉しいオンサイト。このルート、トポにあるように弱点を衝いて面白い!
セブンスターを登る内田
 最後、鹿野のお勧めで、源助崩入口のCフェースノーマルを触る。マルチを含めて、今日はまだ一度もテンションをかけていないので、どんなものかと取り付いた。
 ところが、さすが三倉の10.b。早くも下部のシンハンドで詰まって、そこから先に進めない。全く歯が立たない上、16時を過ぎていたこともあり、本日はここまで。なかなか登れる気がしないが、次回の宿題となった。
 αクラックから始まり、パインツリートリップとセブンスターまで、全てフリーで登れたことは素直に嬉しい。しかし、最後のCフェースノーマルはまるで歯が立たなかった。つくづくトラッドクライミングは奥が深い。
 
(文:内田、 写真:鹿野・内田)
    
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