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広高谷(高津川水系)
 
 
日 時  2021年8月22日(日)
天 気  雨
メンバー  池本、有松、内田
行 程  山口~三葛~駐車地点~入渓9:00~十郎衛小屋11:25~林道の橋~出渓13:05~林道~駐車地点13:55~三葛~山口
 今年の8月は雨が多い。上旬に台風が来た後、お盆に各地で記録的な豪雨があり、ほとんど晴れ間を見ていないような気がする。
 今週末も雨の予報で、どこの沢も水量が多いことが予想される中、今回は有松の提案で広高谷へ。確かに広高谷なら、あまりに水量が多い場合は巻けば何とかなりそうだ。
 六日市から三葛に入り、つむぎ峡への分岐を右に過ぎて、広高谷のさらに奥へ。沢沿いの道路を進みながら、沢の状況を観察する。
 予想通り水量はかなり多いが、濁ってはおらず、今日のメンバーなら遡行は可能だと判断した。
 終点の空き地に駐車し、準備をしてから出発。道路を歩いて戻り、駐車地点から下って本沢を跨ぐ2つ目の橋の手前から入渓した。
 見たことのない水量に気が引き締まる。もろに水流を受けるとバランスを崩してしまうので、なるべく水流を避けて遡行を開始。
これだけ水量の多い広高谷は初めて
 至る所でちょっとした段差が激流となっているので、小滝があっても分からない。平水ならF2三条の滝はどこでも登れるが、今回は水量に圧倒され、一瞬、取り付くのが躊躇されるほどだった。
 それでもじっくり観察し弱点を探ってからトライ。F2手前が思ったよりも深く、取り付くまでに流されかけるが、足場に乗り込めば、後はそれほど難しくない。真ん中の岩壁を慎重に越えた。
F2は真ん中の岩壁を越えた
取り付くまでが難しい
 その後、通常であれば、しばらくは平凡な河原歩きが続くのだが、今回は足場となる岩がことごとく水流の中にあり、激しい流れに抗って進むので、じわじわと消耗する。特に面白いポイントのないまま、確実に体力を奪われながら、小滝を越えて遡行を続けると、釜を有する滝が現れた。遡行図のF7だろうか。
 左岸から簡単に巻けるが、この水量ならではの突破を狙う。ホールドをたどり、左岸沿いをじわじわと進む。
 強い水流に水中のカチで耐え、奥のF7まで近づけばステミングができる。ギリギリのところで突破することができたが、しばらくの間、指先の感覚がなくなってしまった。
F7にトライする有松
 順調に遡行を続けると、いつの間にか雨がパラついているが、心配するほどではない。
 釜を有するF10は左岸をへつって越えた。遡行図には大釜とあるが、だいぶ土砂に埋もれてしまったのだろう。もともと細長い釜の形なので、今や大釜とは言えなくなってしまっている。
 十郎衛小屋まで来たので小休止。ここから滝が連続する。
F10をへつる
 滝から吐き出される水は勢いのあるホワイトウォーターとなっており、安易に触れると弾き飛ばされてしまうので、流れの弱い箇所や水流のない岸壁を選んで越えていく。一見して登れないF12も右岸から超えた。
見るからに登れないF12
 F19二条の滝もすごい水量だ。F18を右岸から越えると、定石通りに二条の間は何とか登れそうだが、手前の激流を越えるのがためらわれる。F18下に流されれば、無事でいられるかどうか分からない。それでも、水の中のラインをイメージしてから意を決し、白濁した水の流れに飛び込んだ。激流の中に引っかかった倒木にしがみつけば何とかなるだろう。
 ところが、意外にも飛び込んだところは水深が浅かったため、スタンスに乗って体勢が保持できる。これなら流される心配はない。思わず拍子抜けしてしまったが、ともかく二条の滝の間を登った。
F19二条の滝
 ところが、F19の上部で行き詰る。通常なら、何も考えずにそのまま上部の水流沿いを落ち口に抜けるだけが、目の前で落ち口から吐き出される水流は見事に荒れ狂っており、とても近寄ることができない。また、激流を横切って右岸へ移ることも不可能だ。
 足場は安定しているので、左岸のクラックで支点をとり、いったんピッチを切る。二人を迎えてから、そのまま左岸の岩場を越えることにした。簡単なクライミングで落ち口の上に出る。上から見ても、やはりあの激流は越えられない。
F19上部を左岸から越える
 F20も登りたかったが、下段も上段も激流のトラバースをする気にならず、手前の左岸を巻いた。
F20この水量では取り付く気にもなれない
 F20の上から渓相は穏やかになるが、相変わらず水量は多い。あとは単調な河原歩きかと思っていたら、何か所か面白いポイントがあり、最後まで楽しむことができた。
 林道の橋で出渓。時折、小雨がパラつく天気の中、林道を歩いて駐車地点まで戻り、車に着いた途端に大雨となった。まだしばらくは天気が安定しないようだ。
 当日早朝の時点で匹見の72時間降水量は100mm程度だったが、やはりお盆からの大雨の影響なのだろう。思った以上にかなり水量が多かった。ただ、メンバーの力量に応じた遡行ができるのが沢登りの良いところ。
 今回、広高谷で激流系の沢登りを楽しむことができた。
 
( 文:内田、写真:有松・内田 )
    
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