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雪の安蔵寺山 |
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展望台まであと少し |
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日 時 |
2022年2月12日(土) |
天 気 |
晴れ |
メンバー |
斉藤(宗) 斉藤(滋) 田中(山口山岳会) |
行程 |
2月11日
宇部~中国道~六日市IC・吉賀町宿(泊)
2月12日
吉賀町宿(7:00)~ゴギの里駐車場(7:15-7:25)~林道終点登山口(8:00)~避難小屋(9:40)~展望台(10:50)~安蔵寺山山頂(11:05)~展望台(11:25-12:10)~ゴギの里駐車場(14:30) ~ R187・津和野・R9~自宅 |
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過去の安蔵寺山登山で時々お世話になっていた宿の管理人丁さんが3月末で辞められる。登山口に近い安価な宿(ログハウス)は現役時代から何度か利用させて貰った。丁さんのこまめで親切なお人柄に甘え、日帰り登山でも麓の積雪状態など最新の情報を頂く事が出来た。辞められる前にもう一度お会いしたい。
小五郎山でご一緒した福永さんの話では安蔵寺山にはまだたっぷり雪が残っているらしい。お天気もここ数日好さそうだ.。今がチャンス! 早速丁さんに電話し宿泊の予約をする。
コロナ禍の時節柄、感染対策を怠らず《うつさない! うつらない!》をモットーに迷惑をかける事のないよう注意しよう。 |
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2月11日
家を離れてまで《おさんどん》は御免だと、調理設備完備の宿だが自宅で慌ただしく夕食の準備をする。お煮しめ、とんかつ、サワラの味噌漬け・・・作り立てが美味しいと分かっているが宿にはレンジがある筈、チンをしての温めで我慢しよう。昼過ぎアイスボックスに田舎料理、飲み物を詰め出発する。
田中さん(家庭内戦争の仲裁役)と合流し中国道経由で吉賀町へと向かう。事前の連絡15時より早く到着したが一戸建ての宿は既に解錠されている。おかげですんなり荷物を運び込め、ストーブも点けて一段落。
まずは、お湯を沸かし、待ちに待ったコーヒータイムを楽しむ(誰かは焼酎)間もなく丁さんがやって来られ朝が早いため宿泊手続きを全て済ませる。地元にお住いの丁さんだが、もうお会いする事は無いかもしれない。それでも「また何かあったら、どうぞ」と親切な言葉を頂く。ご自宅へと帰って行かれるのを見送りながら改めて感謝の思いが湧いて来る。
バタバタした日常の生活から解放され、なんと贅沢な時間だろう。夕食までお茶、ノンアル、焼酎・・・を片手に取り留めのない話が続く。・・・が私には忘れてはならない事がある。今から19年前、この場所で起こった出来事だ。大雪の安蔵寺山登山を控え、前日からこの部屋に泊り込み、お酒を飲んだ男性軍は危ないと、私と彼女(私の山友)が垂直の梯子を登るロフトで寝ていた。明け方トイレへと梯子を下りかけた彼女の気配を察し「気をつけーや」「うん」と交わした瞬間ドスン!!! 意識はあるが這う事しかできない彼女を「デリカで運ぶ」というMを制し救急車を呼び六日市の病院に付き添った。明くる日地元の病院へ転院し数日後に手術、全治2ヶ月と診断された(骨折部位があと僅かずれていたら下半身麻痺)結局彼女はそれを機に早期退職してしまった。なぜ落ちてしまったのか?下り始めの手がかりは大きな丸太でツルツル、掴めないまま滑ってしまったのだろう。今もあの時のままの梯子・・・田中さんの偵察後、私も恐る恐る数段登って見る。ロフトは現在使われていないようだ。彼女の人生を狂わせたと当時は責任を感じ、もう2度と一緒に登れないと覚悟した。だが懸命のリハビリの結果、その後、屋久島、槍ヶ岳、三嶺 ・・・沢山の山々を再び共に登る事が出来た。彼女の頑張りのお陰で今、こうして普通にここにいられる幸せ・・・。《山行は家を出て帰るまで》改めてしっかりと胸に刻んでおこう。 |
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2月12日
目覚ましが鳴る前に目覚める。夕食の余りをチンして朝食を取る。田中さん持参の市販の茶わん蒸しが美味しい。中々食が進まない早朝でも喉越しが良く食べやすい。いつも同じパターンの我が家では思いつかないメニューだ。おかげで充実の朝ご飯となり力も湧いて来る。
辺りが明るくなり始めた集落を抜け、ゴギの里駐車場へ到着、お地蔵様が佇まれる登山口へと林道を歩き始める。早立ちなので時間に余裕があり、ゆっくりペースで登山口着、お地蔵様に見守られながら衣服調節をし、いよいよ山道に取りつく。高度を上げるにつれ落ち葉の足元に雪が現れ始め、主尾根に登り着くと一面雪景色へと変わる。 |
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程々の積雪 快適(?)に登る |
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先行者のお陰でワカンはザックにつけたまま難所の廻り岩までやって来る。会主催の市民ハイキングでは必ず会員の誰かがサポートに立つ、私にとってはスリリングな場所だ。
Mを先頭に田中さん、私と下る。右側が切れ落ちているのでドジればヤバイ。左側の大きな幹(緊張して何の木か分からない)にしがみ付くが太すぎて手が回らずツルっと滑りそう、あぁ怖い、何とか抜けられた(アイゼンを持参しているが未装着)難なく通過したMと田中さんの後を追いながら、誰かあの幹に丈夫なロープを巻きつけてくれないかなぁ~と切に願う。ロープを握っていたら気分的にも随分楽、もしスリップしても大丈夫・・・と思うけどなー。 |
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避難小屋に到着 |
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スローペースながら、程々のタイムで避難小屋を通過、傾斜が増した尾根を登って行く。単調な景色が続き、4日前に登った小五郎の広々とした林が思い浮かぶ。同じように落葉した林でも植生の違いだろうか? 地味なモノトーンの景色の連続では中々カメラにも手がいかない・・・と言うより、余裕が無い? 《いくらノロくても止まらずに足を出せば、きっと辿り着けるよ》とその昔、山友の誰かに言った偉そうなセリフを今、自分に言い聞かせる。 |
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急な登りを頑張る |
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傍から見れば止まって見えそうな速度でも地道に進み、ついに展望台の見える場所まで登り着く。此処まで来ればもう大丈夫、後は雄大な景色を眺めながらノンビリと登って行こう。振り返れば赤土山、香仙原へと続く稜線の向こうに十種ヶ峰、青野山・・・頑張って登ったご褒美だ。今まで幾度となく眺めた景色だが新たな感動、喜びが湧いて来る。 |
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馴染みの山を見つける |
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トレースはしっかり残っているが土曜日と言うのに安蔵寺山山頂に人影は無い。限られた展望の中になじみのピークを確認し一息つく。杣の横道、香仙原方面からのトレースは無いようだ。アプローチが除雪してないのか? 距離が長いからか? |
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安蔵寺山山頂 |
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静かな山頂を後にし展望台まで引き返す。登れた安堵感もあって再び、大展望を楽しみながらの食事が美味しい(ありふれたパンだが)身も心もほっかり・・・。青空の下1組のパーティーが登って来るのが見える。何度も立ち止まっては振り返っている。分かる、分かる、その気持ち、誰だってこの景色見惚れてしまうよね。
さぁ、こっちはそろそろ下りるとしよう。スリップしないよう一歩一歩慎重に下って行く。と急斜面で田中さんがいきなりの尻セード、下手をすると怪我しかねないがなんだか気持ちよさそう。辺りに人はいない。誘惑に負け年甲斐もなく私もトライ、しまった! 新しいカッパだ! かぎ裂きを免れホッ! |
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尻セードを楽しむ |
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気がかりだった廻り岩は帰路は登りになるので往路程怖くはない。Mが切ってくれたステップを辿って無事通過する。だが好天で解けだした雪道は滑りやすく気が抜けない。尻もちをつかぬよう気をつけよう。 |
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気持ちのよい稜線を下る |
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程々の時間に林道登山口に帰り着く。アレッ? あんな所に・・・。林道下に祠が見える。何年も通っていながら知らなかった。 それとも忘れてしまったのか? とにかくお参りしよう。今日も元気に登れてよかった。 |
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無事下山を感謝 |
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Mにとって70代最後の雪山、きっといい思い出になるだろう。 |
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( 文:斉藤(滋) 写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) ) |
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