宇部山岳会｜山行報告|比婆山（深緑のブナ林にミヤマヨメナの群落）

へのリンク

比婆山　（深緑のブナ林にミヤマヨメナの群落）

日時： 2008年６月１６日～１７日

　メンバー　　斉藤（宗）　斉藤（滋）

　深緑のブナ林

比婆山県民の森公園センターから　恒例のフランス料理美食会の案内が来た。　１泊２食で８５００円　案内状には、比婆牛・イセエビ・デザート・・・等豪華な料理の数々。美味しそう！！　食べたーい！　新緑には遅いこの時期　山は二の次でとにかくフランス料理優先で出かけることにする。　梅雨の晴れ間を狙った１６日朝　我が家を５時に出発し六の原登山口には９時前に到着。　行楽の閑散期とあって　人影は無く止まっている車も少ない。　支度を整えていたら　顔馴染みのセンターの職員さん（冬のソナタのヨン様に似ておられるので勝手にヨン様と呼んでいる）が７～８名の宿泊客を案内して笹尾根コース方面に出発された。　これとコースを決めて来たわけではない私達も　足は自然と笹尾根へと向かう。　展望台を経て　立烏帽子に至るこのコースは　新緑も紅葉も美しく過去一度だって裏切られたことがない大好きなコースだ。
	ブナ林を行く



	相棒のＭは昨日（父の日）娘からプレゼンとされた防水デジタルムービーカメラを早速手にしている。　最近ハンデイＧＰＳの操作習得中で　行動中しばしば待たされるが　その上このカメラの操作習得となればどうなることやら　やれやれ・・・。　先行のヨン様一行に追いつき挨拶を交わす。　一足早く着いた展望台で一息ついてふと足元を見ると　可憐な白い花の群落。　なんの花？と思っているとヨン様一行が到着。｢　わあー咲いてる。咲いてる　｣どうやら　この花を見るのが目的だったようだ。　誰かが｢ミヤコワスレ｣と言っている。ミヤコワスレと言えば　紫の可憐な私も大好きな花。　そうか　そう言えば葉がよく似ているが白い種類もあったのかと思っていると　ヨン様が｢ミヤマヨメナ｣と正式な名前を教えてくださる。　今まで何度となく訪れた比婆山だが、一度も見た事が無かった。　考えてみると６月の比婆山は初めて。
咲ききそうミヤマヨメナ



春・夏・秋・冬全シーズンを歩いていると言っても　それは山のほんの一部を知るだけで山は刻一刻と変化しているという事を改めて実感。　この白いかわいい花を見られただけで　来た甲斐があったと思う。　一行に見送られ立烏帽子へと向かう。　ＧＰＳ・カメラと両方の習得で懸命のＭは遅れがち。その分の時間調整のつもりか｢ここは地図の上では何処か？指して見ろ｣と言う。　読図の勉強をさせるつもりらしい。歩き慣れたはずの既成のコースもいざ指せと言われると結構難しい。　深緑のブナに見とれ漫然と歩いていたが　確か小さな沢らしき様相もあったなと地図を手に真剣に考える。　｢此処！｣と内心の不安を隠し指すと　｢そう！正解｣とにわか先生の笑顔にホッとする。　但しこの先生も時々不正解のことがあるので読図は本当に難しいし面白いと思う。　ＧＰＳで歩いた軌跡が分かるので　正解か外れかは帰宅してからの大きな楽しみになる。　時々山行をご一緒させてもらうＦさんは　行動中も辺りの地形を観察され傾斜など体で感じ取っておられるようで　いつも的確な判断をされる。　Ｆさんのお陰で読図という　難しくも面白い山登りの基本を認識できたと思う。　標準タイムを大きく超えて　立烏帽子の山頂に着く。　この辺りからピンク色のタニウツギがあちこちに咲いていて緑とのコントラストが美しい。　秋に紅葉して目を惹くホツツジらしき花も初めて目にする。またヤマツツジの赤い色もひときわ鮮やか。　この季節　山に大きな期待は無く　格安のフランス料理に気を奪われ　山歩きはおまけの気分だった自分が恥ずかしい。　池の段に向かう途中のお花畑を歩きながらつくづく思う。山はいつだって　その折々の最高の姿で迎えてくれるんだと。

タニウツギ



昼食は池の段で３６０度の展望を楽しみながらとする。　大理石の方位盤に弁当を並べる。いつも通りのおむすびとお煮しめだろうと期待もしていないようなＭ。　でもね今日は他に特別メニューもあるんです。ちょとビックリさせてみたいと私も考えました。　冷蔵庫でしっかり冷やしたソーメンを保冷バッグに入れ保冷剤はペットボトルに入れて凍らした麺つゆ。　一石二鳥でしょ。　汗かいた後だけに美味しいはずよと得意になって器につぎ分け細切りのきゅうりや彩の蒲鉾などを散らし最後に融けた冷たい麺つゆをかけて出来上がり！！　予想外の献立にＭも真っ先にソーメンを口に。もちろん私も。｢うまい！！｣の一言期待する。　うっ！？何この味！！おいしくなーい。｢なんかこの味？｣とＭの一言。　ソーメンにたっぷりとかけたのは　もう一つ保冷に使った麦茶だとやっと気づく。　短期なＭはテレビの一場面の如く　食卓をひっくり返すようにしたかったが大理石の方位盤ではビクともしなかったと・・・。　それにしても見渡す限り人っ子一人居ない。今の季節の久住では　考えられない光景だ。　そろそろ出発しようかと立ち上がった時ようやく一人の登山者が現われる。　私達と同じコースを来たらしい。　御陵に続く道もブナが美しい。同じような光景の繰り返しでも一向に飽きないばかりか何度もカメラのシャッターを押してしまう。　御陵を過ぎ進むと大膳原近道の標識にと出る。　まだ時間はあるし寄り道しょうとＭに提案するとあまり乗り気ではない。　そろそろビールが目の前にチラついているのかも知れない。　ほんの少しの下りで大膳原に行けると思ったが結構下っていて　帰りの登りを思うと気が重い。　誰も居ない大膳原に着き腰を下ろし持参のみかんを食べているとＭが　｢吾妻山まで行って来い。待ってやる｣と言う。　吾妻山は目の前だが　一人だと何となく気が乗らない。多少の未練はあるが今回は止めにする。

誰もいない大膳原



結局大膳原からの景色と涼風をお土産に烏帽子に向かう。　｢汗かいた分ビールは美味しいよ｣と寄り道が無駄では無かったと自分自身にも言い聞かせながら烏帽子に辿り着くと　池の段で出会った登山者が先行している。　残念ながら　今日は三瓶山も宍道湖も霞んで見えない。　後はもう下るだけ。下山途中　積雪期に辿る尾根と夏道の分岐地点をＭはＧＰＳに記録する。　始めからＧＰＳに頼る気は無いが　一度軌跡を記録しておくと登山道の消えた積雪期には　力強い見方になりそうだ。加えて地図とコンパスで読図をちゃんとマスターすれば　雪山もグッと楽しくなるだろう。　出雲峠近くの林の中。なにやら白い物が。｢すごーい！｣ここもミヤマヨメナの大群落。　毛無山側の斜面には真っ白い花びらの山法師。その見事さに釣られて登山道を少し外れて　またまたびっくり。　ここもミヤマヨメナの花花花・・・。
	出雲峠に咲くミヤマヨメナ



	六の原のビールが呼んでいるのに　あっちこっちと寄り道ばかりでなかなか下れない。　下山は４時１５分となる。　なんと急げば半日で回るコースを７時間かけて歩いたことに。　フランス料理の前に　お風呂に入ってまずはビールで乾杯するか！
フランス料理に何故か箸が・・・



６月１７日　朝食を済ませ　ゆっくりと朝のコーヒーを楽しんで　８時半に毛無山に向かう。　今年の元旦　家族三人でラッセルしながら辿った道だ。　梅雨時とは思えない朝の光を通して　樹々の葉が緑々と頭上を被っている。空気が美味しーい！　予報では　午後から天気は崩れるとの事だからそれまでに　下りてくればいい。　毛無山の山頂からは　薄っすらと大山が確認できる。　ヨン様からたった２本ササユリが開いているはずとの情報を得ていたが見あたらない。


毛無山頂より立烏帽子方面	伊良谷山に向かう



伊良谷山へ続くこの稜線もタニウツギの優しいピンクが美しい。　あちこちに硬い蕾を付けたササユリも見られる。　天気はまだ持ちそうなので　牛曳山まで行くことにする。　１メートルはありそうなナルコユリ（アマドコロ？）の花も開いている。
	ナルコユリ　それとも　アマドコロ？



牛曳山の山頂に近づくとまたまたミヤマヨメナが現われる。登山道の両脇に咲き揃っていてしかもずっと続いている。これ以上撮ってもと思いながら　やはりカメラを取り出す。　牛曳山山頂で逆コースの登山者に出会う。｢ミヤマヨメナの群落がすごいですよ｣と言わなくて良かった！！それ以上の群落が下山路の両側に延々と花壇の如く続いている。


牛曳山にて	ミヤマヨメナの花壇



加齢と共に花の名前もなかなか覚えられなくなったが　さすがにミヤマヨメナは忘れないだろう・・・と思う。　この下山コースは白樺林を通り県道に合流するが　焼けたアスファルトの県道を避け手前の分岐を右にとり　荒れぎみの道を辿り六の原へは１２時過ぎ帰着。　二日にわたる　静かな（？）山旅を終える。

（文・写真　斉藤滋）　

SEO		[PR] ��!��u��O ��z�[��y�[�W�J�� C�u��