|
比婆・牛曳山で新雪ラッセル |
|
|
|
|
山行日 |
|
2009年1月1日 |
|
|
斉藤宗、斉藤滋、家族1 |
|
|
|
|
今年は丑年で 娘のNも丑年生まれ。宇部を発つ時から 比婆・牛曳山に登るつもりでここ「広島県民の森」に来た。
前日の大晦日は充分な雪量で たっぷりとスキーを楽しんだので 今日元旦は新雪無垢の山に真っ向から挑むつもりだ。
しかし朝食時の 公園の森センターレストランの窓の外は、激しい風雪。筆者とGは「天気予報通りか」と無言となる。 娘のNは こんな日に山に登る筈がないと思っているのか おせち料理を前に箸と口が忙しい。
止む気配の無い風雪に「たまには寝正月か」と諦め ゆっくりとおせちを食べ その上コーヒーまで飲んでいると、ピタッと雪が止んで明るい陽が 差し始める。窓の外に広がる極上の雪景色。
レストランにいた宿泊客はいっせいに「ワー」と声をあげ、動きが慌ただしくなる。(ほとんどがスキー客)
我ら3人も急いで登山の準備にかかる。まずは一晩の雪でかなり埋まったマイカーの掘り出しから。
やっと登山道具等を出し ワカンを着けようとすると屈むのが苦しい。雑煮とおせちの食べ過ぎか。
準備が出来て 時計を見ると9時50分。雪山へ登るにはちょっと遅い。 |
|
|
|
|
キャンプ場経由で入山 |
|
除雪されている車道を外れ 伊良谷山登山口へと向かう。いきなり新雪のラッセルが始まる。
しかもマイナーなルートなので他の登山者の姿は期待 出来ない。最後まで自前でラッセルしなければならない。
これは想定内のことで「行ける所まで行こう」と話し膝までの新雪に突入。
歩き始めに急斜面のラッセルはきついので、なるべく傾斜の緩い登りを選びながら せせらぎキャンプ場に入る。 |
|
|
降りしきる雪 |
|
|
|
ショートカットしながら上に上に高度を稼ぎ 第2キャンプ場を越え 雪に被われた無雪期の伊良谷山コースを探す。
昨年の秋に伊良谷山からこのコースを下っているので その時の記憶をたぐる。
当たりをつけ踏み込んだ窪みが続く登りの先にあったテープ。 |
|
|
登山道見つかる |
|
どうやら上手く夏道に出たようだ。ここからは 逆らわず登山道を行くことにする。
雪の無い時はテープの必要のないほどしっかりした道なので、 これだけの積雪にもかかわらず 進むべき道は判り易い。
そのうちワカンを着けていても膝の上まで埋まる。
昨年まで後ろについて歩いていたNが「お父さんトップ変わろうか」「お母さん大丈夫?」と積極的に前に出てくる。2才から親の山行きについて歩き二十数年、今がピークの自負からだろうか。
筆者のよぼよぼした足取りを見かねてからか。 (しかし今だに 小中学生のキャンプへ行く時のピンクのザックを愛用している) |
|
|
|
|
穏やかな道が続く |
|
この伊良谷コースはすべて自然林の中、ゆっくりと丁寧過ぎるほど穏やかに道がつけられている。
この季節 木々は葉を落としているが新緑の時期は 素晴らしいところである。 |
|
|
|
|
いつまでもこんな景色 |
|
ジグザグを何度か繰り返し立派なブナの大木に出会う。
登山道のすぐ傍に立つこのブナはいつもいい目印となる。
勝手に「伊良太郎」と名付けている。もう少し登れば「伊良次郎」や「伊良三郎」もいる。 |
|
伊良太郎 |
|
|
|
筆者は最近 茸の栽培に興味を抱いている。どんぐり系の木が椎茸栽培に向いていると思うが この斜面には最適のナラ、クヌギが沢山ある。 先頭を行きながら でっかいコナラの木を見つける。ほれぼれする大木で 知らず知らずじっと見上げているとNが「どうしたん」と聞く。
「あの大きさの原木にシイタケの種駒を接種すれば 10年はシイタケが採れる」と返事するとNはあきれて無言。 時々薄日が射しかけるが雪は相変わらず降ったり止んだり。このコースは 大きくジグザグを繰り返しながらゆっくりと登っている。
下りは ショートカットをするつもりなので、適当な場所に目印を付ける。テープならあとで 回収しなければならないので、ワカンで大きく 下る方向に足跡をつける。 |
|
モノトーンの世界 |
|
|
|
雪は時々止むものの激しく降ったりもする。が視界を妨げるほどではない。ただ時々木々の上を強風が吹き過ぎ、積もった雪を落とす。
半端な量でないので 一瞬立ち止まる。この時ザックの中のGPS(カーナビのハンデイタイプのような物)は上空の衛星の信号を 捕捉できず 迷っていると思う。
|
|
|
稜線は近い |
|
|
|
同じような雪の木立のモノトーンの風景に 飽きを感じ出した頃 だんだん傾斜も緩くなりターンも少なくなる。
やっと 伊良谷山と牛曳山の鞍部に到着。
見慣れた道標も半分以上雪の中。
朝食をしっかり食べていたので、空腹は感じなかったが既に13時。出発して3時間以上のラッセルである。 |
|
|
やっと鞍部 |
|
|
|
ここまで来れば残り300メートル。なんとか行けそうだ。
少々の間食と飲み物を摂り、いよいよ牛曳山へと向かう。
鞍部はなだらか過ぎて登山道が判りにくい。テープも雪の下でほとんど目につかない。
進行方向は分っていてもそのうち足元がえらく埋まる。 ストック1本分の長さは全く役に立たなくなる。もがく割には前に進まず どうも登山道を外れたらしい。
立ち止まって辺りを見ると尾根より少し右下のほうが藪が薄い。先頭のGも気が付き 進路を右に修正して行くと登山道らしきに乗る。
先程まで雪に埋まり半ベソ状態だったGは元気を取り戻し 早い早い。小雪の中 前方に薄っすらと牛曳山山頂が見える。
なだらかに登り 13時30分 本日の目標地点に到達する。
14時を引返す時間と考えていたので まずまずか。 |
|
|
牛曳山到着 |
|
|
|
さすが稜線の上 風が強くマイナスの気温では 食事を摂る気にならない。
記念写真を撮り 風を避けるため すぐに下山開始。
鞍部までは 追い立てられたが ここから後の雪の斜面には楽しいことが待っている。
今からは 振り子(ジグザグ)に忠実なルートを歩かなくても、雪の斜面を自由に下ることができる。 ただし 急過ぎて転倒しそうな所、笹ばかりで雪崩を起こしそうな所、崖の通過などは避けなければならない。
登る時 ワカンでつけた目印を使い快適にショートカットを続ける。慎重なGは 筆者が安全な所まで降り立ち、合図をしないと下り始めない。
何回目かの大きなショートカットでは 降り切ってしまうと声が届かない距離になる。仕方なしに中間点くらいで「大丈夫。降りて来い」と上に 向って大声で伝える。もし冬眠中の熊がいたら 煩がったろう。
|
|
|
登り下りのトラック図 |
|
|
|
こんなショートカットを繰り返していると、登り3時間40分を要したコースもわずか1時間で下山。
無事登山口に降り立つ。 片道わずか3kmの道だけれど 誰一人出会うことも無く 弱小3人家族で ルート全てをラッセルしたことは 良い思い出になるだろう。
レストランでの夕食時 Gは昨夜に続いて 今夜も またたび酒を注文した。筆者は当然ビール。
帰宅してからの パソコンでのGPSトラック表示は 楽しかったショートカットが再現できて満足した。
ただ 枝に積もった雪で衛星からの通信が完璧には捕捉できていなかったようだ。 (登山口近くでは 行きも帰りも同じルートを歩いたのに トラックは2本記されている)
|
|
|
(文&トラック図;斉藤宗、 写真;斉藤宗&滋) |
|
|
|
|
|
|