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春の山旅 (石鎚山系を訪ねて) |
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日 程 |
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2009年4月28日〜5月2日 |
メンバー |
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斉藤(宗) 斉藤(滋) |
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笹ガ峰山頂にて |
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NHKの朝のニュースで ETC利用の高速道路料金1000円の話題を見たMが「うちも何処か行くかの〜」と言う。 こうなると話は早い。いつもの事で驚きもしないが 行き先は四国(石鎚山系)出発は28日と言われる。
山域に入れば 買い物など出来ないので 余ると分かっていながら食料を多めに買い込み 慌しく出かける。
日付が29日に変わって高速を下りれば料金は1000円で済むはず。そう計算して28日午後3時半に自宅発。一路四国へ。 ・・・が福山西からしまなみ海道方面に向かった途端 ある事に気づきガクッ!!
やってしまった。1000円どころか 通勤割引にもならない。山陽道から下りた時点では28日なので5250円だ。 しまなみ海道へと高速道路は続いているのでついつい油断してしまった。
差額4250円をどこで取り戻そう・・・と言いながら19時過ぎ来島海峡SAに到着。 (今夜は絶対高速から下りないぞ! テント泊) |
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4月29日 寒風山〜笹ヶ峰 |
来島海峡SAを5時に出発。ゴールデンウィークといえども早朝なので渋滞も無く8時に旧寒風山トンネル南口駐車場着。 道路事情は四国の山・事情に詳しい会員のIcさんのアドバイスが大いに参考になり助かる。
さて 天気も好く 同じ山を目指す人もいて 何の不安も無いはずだが 体が今いち重い。 SA泊まり その前の寝不足の影響か。 それでも登山口からの急坂を なんとかがんばり40分で桑瀬峠に着く。
今までの頑張りに応えるかのように 間近の伊予富士をはじめ 目指す寒風山も見える。 いつかは 歩いてみたいと思っていた山々を目の前にして 体は重くとも 心はときめく。
同じような写真を何枚も撮っても しょうがないと分かっていても ついついシャッターを押してしまう。
大好きな西中国山地にもないような 雄大な景色が広がっている。2年前に歩いた剣〜三嶺と同じような笹原の尾根が続いている。 |
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桑瀬峠・伊予富士を振り返る |
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なだらかな優しい尾根だが 所々痩せていて梯子も現れ緊張する。岩陰には 数日前の雪やツララが見られる。 |
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目指す 寒風山 |
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寒風山には10時着。記念の写真を撮り今から向かう笹ヶ峰を見る。
それに続くちち山〜冠〜平家平の稜線がたおやかに 延び いつかは歩いてみたいと思う・・・が今日は目標の笹ヶ峰までがやっとになりそう。
一休みの後出発する。北側の下りに残雪が現れる。西条市が丁寧に設置した転落防止の手すりやフイックスロープは 無雪期を対象としているようで、積雪時までは行き届いていない。
アイゼン無しでの雪の下りに緊張する。 場所によっては下手をすれば かなりの転落になりかねないので時間がかかっても 慎重に一歩一歩下る。 やがて緩やかな登りに転じほっとする。 |
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笹ガ峰目指して |
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山上部に近い林の斜面は まだ残雪が多い。
11時40分念願の笹ヶ峰着。おもわずMと握手。一度は登ってみたいと思っていたが やっと来れた!
目の前に広がる一面雄大な笹原の景色に 一瞬にして疲れを忘れる。 「来てよかったなぁ〜」とMもポツリ。
ちち山〜冠・・・と延々続く山並みを眺めながら食べる コンビニで買った鯛めし弁当も一段と美味しい。 |
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冠・平家平を望みながら昼食 |
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12時20分 いつまで眺めても飽きない光景だが 帰路も結構時間がかかりそうなので山頂を後にする。 |
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往路をたどる |
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寒風山 桑瀬峠と往路を辿りながら 登山口駐車場に15時15分帰着し 次の目的地 瓶ガ森に向かう。 |
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0904寒風山〜笹ガ峰 |
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瓶ガ森林道は一車線箇所がほとんどで、運転するMは気が抜けない様子。
やっと 広々とした瓶ガ森駐車場に着いたのは16時過ぎ。駐車していた数台の車が下山者を乗せて次々と去り 陽が落ちる頃には 我が家の車一台だけになる。
テーブルやベンチがあるので 色んな食材を並べて のんびり夕食を摂る。 コンビニで買ったじゃこ天がビールのつまみにおいしいとのこと。
早目に眠りにつく。(車中泊)
深夜目覚めて夜空を見上げる。辺りに灯りがまったく無いので星が大きく見える。自宅で見る時に比べ 見える星が多すぎて 北斗七星を探すのに時間がかかりやっと見つける。天の川を見るのも久しぶりだ。 |
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4月30日 瓶ガ森 |
辺りが明るくなっても しっかり寝坊して 朝食もゆっくり準備する。
瓶ガ森の朝は いつも忙しさに追われている私にとって 最高に贅沢な朝となる。
緑に囲まれ 小鳥のさえずりを聴きながらの食事(パン・コーヒー・ハム・サラダ・果物)は リゾート地の別荘さながら の雰囲気だ。(確かに今このひと時は瓶ガ森Pを二人で独占している。)
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瓶ガ森駐車場 |
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山岳会に入会して間もない若かりし頃 大先輩のOさん達に付いて瓶ガ森〜石鎚山の縦走をした。
登山の経験も浅く 東の川からのコースは結構堪えたが 氷見二千石原にたどり着きあまりの美しさに歓声を上げた事 また笹原にメンバー四人で腰を下ろし石鎚山に沈む真っ赤な夕日を眺めた事 あの時のO先輩の笑顔と共に
今も鮮明に思い出すことが出来る。(今日は思い出に浸る一日になりそうだ。)
昼までには散策を終えるつもりで 他の車が到着し始めた8時半出発する。
まずは男岳を目指し笹原を登る。少しずつ 高度が上がるにつれ 更にさらに笹原が広がり 初めて氷見二千石原を見下ろすMは 「すごいなぁ〜」を連発している。
同じ光景に何度もシャッターを今日も切り 大自然の中にいられる幸せをしみじみと感じる。 |
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氷見二千石原 バックは筒上山 |
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女岳では 後続のパーティーも到着し みんなで石鎚山を眺める。誰もが知る 絵になる景色だ。
青い屋根の瓶ガ森ヒュッテと赤い屋根の白石小屋が緑の笹原に色を添えている。 |
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石鎚山 |
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ヒュッテに下る途中 東の川コース側にある キャンプ場に立ち寄って見るが 立派な水道の蛇口からは一滴の水も出ない。
東の川に下る登山道は しっかりと笹が覆い隠している。 山頂から見えたヒュッテも訪れてみると いまや崩壊寸前・・・というよりほとんど使えない状態だ。
車で登山口まで来て 簡単に日帰りで登れるようになった今 ヒュッテの役目は終わってしまったのだろうか。
今日の午後は 土小屋に移動するだけなので たっぷりある時間をゆったりと過ごすことにして登山道の傍らの休息所で コーヒータイムをとる。ここでも小鳥のさえずりと笹原を吹き抜ける風のプレゼントが・・・。
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のんびりと一休み |
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駐車場への帰路 懐かしい白石小屋に立ち寄る。「今日から宿泊者がいるので小屋を開けました。」と管理人さん。
その昔泊まった時の思い出を話すと 「今も当時のままの五右衛門風呂ですよ。」とのこと。 台所のテーブルの上には 美味しそうなトマトとオレンジが載っている。
昔の賑わいは無いとしても 白石小屋は健在だ。良かった。なぜかほっとする。
管理人さんによれば 瓶ガ森ヒュッテ近くの小さな池には 水芭蕉が咲いていた筈とのことだが気づかなかった。残念。
また 堂ガ森山頂を下った所に 白石小屋が崩壊したまま放置されていたが 愛大小屋として立派に再建されているとの 貴重な情報もいただく。
いつまでも話しているわけもいかず 小屋を後にして登り返すこと25分。11時40分に散策を終了する。 |
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白石小屋を後にして |
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駐車場は 朝の静かさが嘘のような賑わいだ。 軽く昼食を摂り 13時半土小屋へと出発する。 |
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0904瓶ガ森 |
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昨夕この駐車場から苦労して(携帯電話が圏外になったりつながったり)石鎚山国民宿舎を予約した。
食料は十分にありテントもあるが やはり風呂と畳が恋しくなりMに提案し同意してもらう。
明日は初めての山で 歩行時間も少し長くなりそうなので 今夜はゆっくり休むことにしょう。(国民宿舎土小屋泊) |
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ここまでは( 斉藤滋 文 ) |
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5月1日 岩黒山〜筒上山〜手箱山 |
昨夜は土小屋の「国民宿舎石鎚」でゆっくり休み元気一杯。天気も良くて雨の心配は全く無い。
車を一般駐車場に入れ 白石ロッジ南側の山道に取りつく。 一旦 筒上山に向かい すぐに左折し岩黒山の登りにかかる。
土小屋の真上なのに とても静かで 登山者は見あたらない。昨日まで1本も見なかったコシアブラを見つけホッとする。 他には ササの中にダケカンバを見る。途中の説明板には この両者は せめぎ合いをしているとのこと。
この山の上部は大岩に阻まれ 登山道は左を巻いている。
アケボノツツジもあるが まだ蕾はかたい。特に石鎚山の絶好な展望所にあるアケボノツツジは 沢山の人の 撮影ポイントになるであろう。 |
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アケボノツツジはまだ蕾 |
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頂上部はササ原で(1746m) 展望はすごく良い。昨日までの峰々と明日登る予定の石鎚の格好の展望台である。
いつまでも 眺めていたいが先は長いので 眼下の丸滝小屋へ急下降。
小屋周辺にはアケボノツツジやヒカゲツツジが沢山あるが この日はお預け。もっと先に咲くようだ。 小屋の下を東側にトラバース気味に下っていくと、鉄の桟道が次々現れる。
この桟道の橋脚部分の工作物に工夫がされていて 筆者には興味深々である(ホームゲレンデの山道の修復に使えそうである) 覗きこんでいると後ろから Gが「こんな所で止まらないで、怖いから早く行って」とせかす。
1550m位の鞍部からは、道は穏やかになり周辺のブナ、ミズナラやウラジロモミの大木に目を向ける余裕が出る。 |
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筒上山のトラバース道 |
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道の右側は 大きな岩が目立ち始め、自然石を並べた階段の登りになる。なんとなく霊峰に踏み込んだ感じがし始め 気が引き締まる。 |
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筒上山東壁下の石段 |
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急な鉄製の階段を登ると 左右に大岩があるところを通過する。この近くにキレンゲショウマの群生地が有りそうだが 芽出し前で確認できない。
突然 深山には考えられない立派な石垣が現れる。城の城壁を思わせる高さと幅がある。回り込んで上に出ると 大峰宗覚心寺道場の建物がある。四方は金網に囲まれ近寄れない。
筒上山のルートはこの道場を右下に見ながら 石段を登って行く。木製の小さな鳥居を潜ると 目の前に岩場があり 鉄製の鎖やロープがある。 |
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クサリ場 |
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高所恐怖症のGは 筆者に色々注文しながらも どうにか登っていく。昔 行者が登ったらしき鉄製の鎖ルート上部は あまり使われていないようで ヤブ化している。登山者はロープのルートを上下しているようだ。
鎖場が終わると 一気に笹原になる。のんびり進むと権現社が有り 頂上標識もある。
展望は良く 昨日までの山々と明日の石鎚山が近い。
後ろ(南)を振り返ると ここより少し高そうなピークがあり、その上に社が見える。尾根伝いの道で近づくと 花崗岩の大山祇神社があり、三角点もある(1859m)。
笹原の中に 何本か踏み跡があるが いずれも先程の鎖場に行きつく。
Gはシュリンゲとカラビナを使い 自分の納得出来る方法で下降をしている。考えることはボケ防止に良いことだ。
手箱越えに降り立ち 間食を摂り 進路を東に変更。大半は尾根の北側をトラバースし アップダウンは少ない。
所々 残雪があるので その場所は慎重に進むが おおむね楽なコースである。 |
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筒上山(右) |
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笹原や ダケカンバの林がきれいだ。
全く人に出会わない 静かな貸切コースで 手箱山に到達(1806m)。頂上標識は尾根の突端にあり笹が刈られて 展望が良い。
頂上で昼食を摂ろうとして 並べられた石の南側を覗いてびっくり。すっぱり切れ落ち、鹿でも助かりそうもない。 |
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手箱山山頂 |
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好天気の下 北を向いて昼食。瓶が森の右にある西黒森山(1861m)が立派なことに気がつく。
帰路は丸滝小屋の行場を覗いてみる。ヒカゲツツジの多い尾根の突端にあり、その先は断崖である。
丸滝小屋からは 岩黒山の南西をトラバース気味に巻いて行く。展望はないが 素敵な道でブナやミズナラ、ウラジロモミの 美林を見ながらの平坦路である。 |
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ウラジロモミの純林 |
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途中オオカメノキの白い花を見て、今日初めての木の花と気がつく。 花には 早過ぎたが 霊気あふれる山道に満足した一日であった。 |
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0905岩黒山〜手箱山 |
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夕食は 土小屋バス停そばの 東屋を使わせてもらい 車に積んできた食材を気前良く食べる。最後に白飯にのっけた 「コシアブラの味噌炒め」がおいしかった。 (車中泊) |
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5月2日 石鎚山 |
今日も好天で 焦ることなくゆっくりスタート。連休後半になり沢山の人出を予想したが、朝早いので とても静かな登山道である。
ブナやウラジロモミの間にアケボノツツジがほんの少し咲いている。
休憩所あたりでは 五葉松を前景に石鎚山がかっこ良い。 |
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石鎚山東面 |
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二つ目の休憩所あたりから トラバース道になり 沢には残雪が残る。
「落石に注意」の立て札を見、やや急ぎ足になる。
表参道と合流すると すぐに二ノ鎖小屋である。今は営業していないらしい。
昨夜ここに泊まった大学生パーテイは 水に困ったと言っていた。
ここでGと別れ 筆者は鎖場に向かい、Gは迂回路を行く。 |
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二の鎖 |
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充分過ぎるほどの鎖があり、容易に登れる。鎖の感触を楽しんでいるうちに、若い頃ここを登ったことを思い出す。
二の鎖上部は 木の枝が低く うるさく 障害物競争の体のこなしとなる。 三の鎖はスッキリしていて 快適に高度を稼げる。
終点の向こう側は 石鎚神社頂上社で、中を覗くと 物々しく三体のご神体が祀ってある。中央のそれは顎鬚を長く伸ばしたご神体で珍しいと 思う。
迂回路を登ってきたGを(かなりの時間)待ち 一緒にお参り。ご神体はこの期間中 特別公開とのこと。
何度かここに来たが いつも時間と天候に恵まれず 天狗岳の往復をしていなかったので、今回は気合を入れて出発。 |
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天狗岳 |
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いきなり岩場の下降となるので、Gにシュリンゲとカラビナで簡易ハーネスを装着してもらう。 他に2本のシュリンゲを繋ぎ お助けロープとして、高所恐怖症対策とする。
他の登山者の手前 仰々しくしたくないが 岩場の途中で喚かれるよりはいい。 これでGは 安心して行動し始める。
天狗岳手前で やや悪い所があるが どうにか頂上到着。ここからの展望は格別なような気がする。 |
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天狗岳頂上へは御助けロープをつけて |
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復路は 慣れたのか Gの動きは余裕がある。頂上社まで帰り 西側の展望を楽しみながら、中休止。
何年か前 歩いた二の森が近い。堂が森の下と 面河山の上部に 新しい愛大小屋が見える。 |
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二の森方面 |
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西ノ冠山の東下部のザレ場の崩壊がひどいようだ。頂上山荘の方に聞くと 丸太で補修したので通行出来るとのこと。
これで石鎚西方の色んな楽しみ方が 思い浮かぶ。
下山は迂回路を使ったが これは長いと感ずる。登山者も増えて 時間もかかる。
二の鎖小屋で 信者の方からこの神社は元々 海の安全を願って建てられたと聞く。頂上社に大漁旗が飾られていたのを納得する。
昼前 土小屋に到着し 石鎚スカイラインを下る。ここの新緑は進み 今までとは違う春を満喫する。 |
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0905石鎚山 |
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途中の道の駅をハシゴしながら 松山経由で帰る。今度は 高速道1000円の恩恵にあずかる。 |
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(以上 斉藤宗 文) |
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山旅の終わりに・・・
「なんか 気分が悪くなった」 松山が近くになった三坂峠を走行中 突然Mが 訴える。 路肩に駐車して様子をみるが 気分の悪さが治まることなく なに? 心疾患! 内心ヒヤリとする。
30分が経過し 救急車・・・?とオロオロしかけると 「もしかして・・・」とM。 思い当たったことは 持病の腎結石が 動き出し 尿管に詰まってしまっているという事!
過去に何度も辛い目にあって 同じ辛さをよりによって 旅先であじあうなんて。 万一に備え 携帯している鎮痛剤のお陰で 再び自宅に向かう。
ビクビクしながら 山口県まで 辿りつくが ついに富海SAでダウン。大休憩。 しかし 最後の力を振り絞りなんとか無事に帰宅できた。 痛みに耐えかねて 真夜中にかかりつけの病院を受診し 間違いなく尿管結石と診断される。
楽しい山旅の最後に とんでもない落ちが待っていた。 でも よかった! 発病が 誰もいない 手箱山でなくて。 石鎚の鎖場でなくて。 今となっては 痛い目にあったMには悪いが あの悪夢の帰路も 一つの出来事として
楽しかった四国の山旅の 思い出の中にとけこみつつある。 (斉藤滋 文) |
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