細見谷は日本百名谷にも選ばれている名谷で、西中国山地を代表する美しい渓谷だ。
沢登りの愛好者の間では名ルートの一つとして知られており、一度は行ってみたいと思っていた。
今回、月例山行で細見谷遡行が企画されたので沢登りシーズンとはいえ水の中に入るには少し早いと思ったが、参加することにした。
メンバーは江本、池本、鹿野の沢登り好きな3人と、共に沢登り2回目の杉原、春藤の5人のパーティー。
雨は降らないものの空は曇天で気温が上がりそうにない。
立石キャンプ場で身支度を整えた後、そこから終了点に車を置きに行ったためスタート時間が大幅に遅れてしまう。
さて出発。江本、池本、鹿野の3人は装備も十分。杉原も買ったばかりのスパッツを履き準備万端。
先々週の浦石峡とは比べ物にならないほどの水量に物怖じしつつ進む。
ウェットスーツに身を包む池本は果敢に釜に飛び込み泳いでいく。対照的に鹿野はその身軽さを生かして壁をへつって進んでいく。
1時間半程進むとF6(イカダダキ)に到着。水量が多いので直登はあきらめ、ザイルを出し、残置ピンでプロテクションをとって 左岸を高巻く。ビレイする合間におのおの行動食を摂る。
そこからさらに20分でF8(大竜頭の滝)に到着。
水量も十分。迫力満点。落ちてしまったら浮かび上がってこられないだろう。左岸にザイルをフィックスして登る。
春藤は途中上部で足を滑らせオートブロックの恩恵に与る。杉原は下部で足を滑らせ淵に落ちたようだが、フィックスロープでどうやら這い上がったようだ。
核心部を抜けると、あとは原生林におおわれたゴーロ帯を小さな滝を越えながら進むと終了点を告げるかのような大堰堤に到達する。
沢からあがると、沢靴をズックに履き替え舗装されていない林道をデポした車をめざして歩く。
先の見えない旅の始まりだ。これがまた、かなりきつい。
体力的なものもあるが、沢を抜けた後の緊張感を失ってしまった精神状態で延々と歩くのだ。
1時間半経ったころ国道488号線に合流。十方林道入り口は鎖で進入できないようになっているので、嫌でもここまでは歩かなければならない。
このあとデポしていた車で立野キャンプ場まで戻った。19時着。
さすがに薄暗くなったキャンプ場にキャンパーの姿は見当たらなかった。 |