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白根三山(間ノ岳・農鳥岳) |
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日 時 |
平成23年8月5日(金)〜6日(土) |
メンバー |
斉藤(宗) 斉藤(滋) |
行 程 |
8月5日 (雨後 曇り時々晴後 雨)
北岳山荘(5:30)〜 中白根山(6:05)〜間ノ岳(7:25−7:40)
〜農鳥小屋(9;00−9:30)〜 農鳥岳(11:35)〜大門沢下降点
(12:15−12:20)〜 大門沢小屋(15:30)
8月6日 (曇り後雨)
大門沢小屋(5:35)〜 林道(8:25)〜奈良田第一発電所前
(9:00−9:17)〜(バス)〜 広河原(10:00−12:15)〜(バス)
〜 北沢峠長衛荘(12:40) |
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8月5日
暗い中、周りのざわめきで目覚める。まだ3時過ぎだ。さすが北岳、みんな早発ちのようだ。昨日の夕食時小屋から発表された天気予報は今日も雨で気が重い。前に進むべきか引き返すべきか初めての山で心が揺れる。前進なら大門沢小屋までは頑張りたいが、悪天でも間ノ岳・西農鳥岳・農鳥岳と越えられるだろうか?
5時半Mの顔を見るとGOサインだ。霧雨の中、小屋を後にする。中白根山までは好ペースで進み、いよいよ標高4位の間ノ岳の登りとなる。山が大きいのか偽ピークに騙され疲れが倍加する。いつの間にか雨が止みブロッケンが現れる。青空も覗いてきたし虹も出る。このまま天気予報が当たらないといいのだが。 |
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雲の上にのぞく北岳 |
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やっと着いた間ノ岳、うっすらと霧がかかり登山者も少なく喜びより安堵感が先だ。当初この山行を計画した時はここから往路を引き返す予定だった。しかし会の大先輩高田さんが、2009年に白根三山を縦走しておられるのを参考に、私達も同じコースを歩くことにした。
(しかし、これがとんでもないことに。高田さんだからいとも簡単に歩いておられるが、力不足は時間と日にちをかけてなんて安易なことでは・・・) |
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富士山も顔を出す |
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二人にとっては先は長いので農鳥小屋までいっきに下る。(気持ちだけで、脚はそうはいかない) |
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間ノ岳の下り |
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間ノ岳に見守られ農鳥小屋に向かう |
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途中追い越された若いペアと、農鳥小屋で弁当を食べながら言葉を交わしていると、今から農鳥岳まで行きピストンで引き返すとのこと、その理由を聞いて固まってしまう。
大門沢に下りたかったが、丸太1本で沢を渡る所があるらしいので、恐がるメンバーがいて止めたとのこと。まったく知らなかった。高所恐怖症の私の心臓は早くもドキドキし始める。高田さんの報告にも無かったが、高田さんにとっては丸太で沢を渡るなんて特筆すべきことではないのだ。
クヨクヨしているうちに別の3人組パーティーにもおいていかれる。もうここまで来たら行くより他ない。 |
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西農鳥岳〜農鳥岳 縦走路 |
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霧の中を登り西農鳥岳を過ぎ、どうにか農鳥岳に到着。晴れていたらきっと素敵な縦走路だっただろう。ピストンの若いペアと別れ、食事中の3人組より先に下り始める。
大門沢下降点で早くも3人組に追いつかれる。彼らも今日は大門沢小屋泊まりとのこと。
ガイドブックや他の登山者からの情報によれば、これからの下りが長くきついらしい。雨に濡れたハイマツや灌木でビショビショになるが、かまわず進む。下りに下ってダケカンバの林がいつしか針葉樹林となり、段差の大きなゴロゴロ石と木の根っこに苦労する。ノロノロペースで膝を痛めないよう慎重に下る。いい加減うんざりした頃ようやく沢に出る。
前を行くMの足が突然止まる。見下ろす枝沢にハシゴのような物が渡してある。枝沢とはいえゴーゴーと唸る流れ、落ちればずぶ濡れだけでは済まないだろう。そんな危ない橋は渡りたくない。沢登りと思えばいい。濡れる覚悟で自分で渡れそうな所を探す。ストックを支点にしてなんとか渡る。良かった、靴の中までは濡れていない。さらに次の枝沢も外れそうな金属のハシゴは渡らず、同じ要領で上流を渡る。丸太じゃないなぁと思いながら、これで終わりであることをひたすら願う。 |
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枝沢を渡る(橋を避けて少し上流の沢床を渡る) |
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大門沢小屋に到着。
「お疲れ様!」3人組や、もっと早く着いた他の登山者からも声がかかる。みんな苦労して下って来たから仲間意識があるのかな。顔見知りになった3人組は、三重県のI山岳会のメンバーで、リーダーのTさんは山陽小野田市の出身だった。親しみが湧き、5人で大いに盛り上がる。明日は3時間の下りだけ・・・と思うと気も緩む。 |
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8月6日
小屋で朝食を済ませ出発する。下り始めて間も無く、恐れていたことが現実となる。
ゴーゴーと流れる大門沢本流に無情に横たわる濡れた2本の丸太! 滑ってバランスを崩せば、間違いなく激流に転落するだろう。怪我だけで済まないかもしれない。心の動揺を隠してMに「先に渡って、絶対落ちないでね」と声をかける。Mは慎重に慎重に小刻みに移動してどうにか渡り終える。良かった!
今度は私の番、もうこれしかない。迷わず這って渡り始める。下の激流は見ない。見るのは自分の手元だけ。ゴーゴーという音に負けない程の声を出し、自分を励ましながら止まらず這う。渡れた!! なんとかなるものだ。 |
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最初の丸太橋 |
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二つ目の丸太はさっきより厳しい。途中から横板が朽ちて手がかりさえ無い。こうなったら丸太と丸太の間の窪みを利用するしか無い。今度も渡れた。 |
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2回目の丸太橋 |
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緊張の後はブナ等の優しい林が慰めてくれる。本流が渡れたので、その後の枝沢もなんとかクリア。最後の難所を渡り終えた所で追いついて来た三重の3人組と記念の写真を撮る。 |
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優しい緑の林を行く |
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同じバスで奈良田の広河内橋から広河原へと帰り、バスで下山する3人を見送る。二人で喧嘩旅かもしれないところ、出会えて楽しかった。再びバスに乗り北沢峠に帰着。
今日も又雨が降り出す。
北沢峠を出て3日。なんとか白根三山を縦走し、予約していた長衛荘に帰り着く。今日はゆっくりして、明日の仙丈ケ岳に備えよう。 |
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( 文・斉藤(滋) 写真・斉藤(宗) 斉藤(滋) ) |
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