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大山 弥山尾根西稜 |
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山 域 |
大山(鳥取県) |
行 程 |
3月10日(土)
山口市内駐車場(8:00)=R9号、山陰道(無料区間)=南光河原駐車場(15:15-55)〜
元谷小屋(16:50)
〔村上CL、竹之内SL;弥山尾根西稜取り付き偵察(17:15-18:20)〕
3月11日(日)
起床(3:00)〜元谷小屋(5:35)〜弥山尾根西稜基部(6:15-35)〜
弥山ピーク(13:45)〜六合目小屋(15:00-15)〜元谷小屋(15:45-16:15)〜駐車場
(16:55-17:25)=山陰道、R9号=山口市内駐車場(23:10)〕 |
天 候 |
3月10日(土) 雨/曇
3月11日(日) 曇 |
メンバー |
村上 知之(CL、装備)、竹之内 真人(SL、装備)、鮫島 仁、松並 和寛(食糧)
田村 敦子(記録) |
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若手会員の雪山登山技術がステップアップするよう数回にわたり計画されてきた大山合宿。今回は大山北壁では入門ルートと言われる弥山尾根西稜にて、いよいよ雪稜登攀に挑戦である。
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3月10日(土)
この週末、寒の戻りとの予報も今日は暖かい。
南光河原駐車場で5℃。大神山神社経由で元谷小屋へ向う。
啓蟄以降の南風は確実に春を連れてきていた。小鳥のさえずりや堰堤から流れる水音が聞こえ、厳冬期には雪稜を目指す登山者でごった返していた元谷小屋は、今日は数組のパーティーのみでひっそりしている。
テント設営後、翌朝、万が一の視界不良に備えて村上CLと竹之内SLは取り付きの偵察に出かけ、西稜基部の目印となる小さなブッシュ帯と、大規模な全層雪崩のデブリや亀裂、取り付きまでのルートを確認して戻ってきた。
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元谷から見上げる北壁 黒々としたデブリが見える |
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今回初めて食糧を担当した松並が頭を悩ませながら準備してくれた鍋を囲み、静かな元谷の夜は更け、21時就寝。 |
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3月11日(日)
3時起床。
月が明るい、穏やかな朝だ。
テントを撤収し、不要な荷物は小屋にデポして弥山西稜へ向かう。視界は良好で、黒々とした雪崩のデブリを横目に眺め、目印の木立に到着。
西稜取り付きに先着していた方が気さくに声を掛けて下さる。
先頭の竹之内SLが挨拶をしている途中で、なんとその方が竹之内の鹿児島大時代の恩師であることが発覚。教え子との再会の喜びは「やっぱり、山ヤは山で出会うもんだなぁ。」という一言にその全てが集約されていると思う。
素敵な偶然の出会いにこちらまで嬉しさが伝染する。 |
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間近に望む別山 |
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彼らより少し遅れて、我々は彼らの取り付き地点より僅かに東稜寄りからスタートする。
今回は竹之内と鮫島がトップとラストを交互に勤め、村上CLは全員の行動がチェックできるセカンドを、以下松並と田村が続く。
午後より天候が崩れることは必至で、できるだけ早く頂上に抜けたいが、時間がかかっても我々の今の力量ではパーティーを分けずに行動した方がより安全であると考えられた。 |
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2ピッチ目をリードする鮫島 |
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先週の気温上昇で緩みきった雪面はすでに階段状になっており、昨夜のごく僅かな降雪では荒れた雪面はそのままの状態であったが、初めてダブルアックスでの登攀を経験する私にとっては足場に不安がなく逆にそれが幸いした。
慣れない動作にまごつき、我々が2ピッチを終えた頃、別のパーティーがあっさりと横を通り過ぎ、その後もう1パーティーも楽々と我々との距離を広げていく。 |
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3ピッチ目でビレーする竹之内 |
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3ピッチ目以降、高度感も出てきた上、緊張を強いられる悪場となる。
特に岩が露出した5ピッチ目は薄雪に隠れた浮石に細心の注意を払い慎重に登る。
しかし続く6、7ピッチ目の雪壁はそれまでと打って変わって快適そのもの。快晴なら紺碧の空に吸い込まれていくような感覚になる美しいところだとCLより教わるが、残念ながら今日は真っ白なガスの中だ。 |
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7ピッチ目の松並 |
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8ピッチ目の出だしのブッシュ越えにトップの竹之内は苦戦したが、別山寄りには緩斜面が広がっており、セカンド以降は易しいそちらから登る。
このピッチも程よく快適な雪壁。
9ピッチ目に入ると斜面はさらに緩やかに、そして広くなる。これから先はコンティニュアス歩行に切り替え、そのまま頂上に抜ける。
視界は5m程度と相変わらず悪く、頂上小屋までアンザイレンしたままで進むことにする。
弥山ピークの標識が雪面から顔を覗かせており、さらに木道も数メートルほど剥き出しになっている。
木道沿いで小屋まで目と鼻の先ほどの距離と楽観し、しばらく進むが視界はますます悪化し、一向に頂上小屋が見つからない。
ルートを小屋より西に取ってしまったことに気付き、北壁寄りに進路を変更すると程なく頂上小屋が見つかったが、六合目避難小屋まで休まず下る。
遠くに弓ヶ浜が望めるほど穏やかな六合目でやっと一息つく。
頂上付近とはまるで別世界だ。積雪量も予想以上に減っており、ひと月前は完全に雪に埋もれていた六合目小屋の中に入る事ができた。
元谷までは行者コースを辿り、デポした荷物をまとめ元谷小屋を後にする。入山する時は雨に濡れた参道の路面が一晩で真っ白になっていて嬉しくなる。
大山に本格的な春が訪れるのはもう少し先のようだ。
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各人なりの目標を持って臨んだ今回の山行。会得できたことはより確実なスキルとして、新たに生まれた課題は解消して来シーズンに生かせるよう、今後も様々な経験を積み重ねていきたい。
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( 文、写真:田村 ) |
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