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残雪の八ヶ岳縦走 |
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形 態 |
雪山 |
日 時 |
4月27日(金)〜5月5日(土) |
天 候 |
4月28日 晴れ 29日 晴れ 30日 晴れのち曇り
5月 1日 曇り夜雨 2日 雨 3日 雨 |
メンバー |
中村(直) |
行 程 |
[4月27日(金)〜28日(土)]
22:25 小野田駅 =高速バス=> 翌7:30〜8:30 大阪梅田乗換 =高速バス=>
15:05〜30 茅野駅 =バス=> 16:05 美濃戸口 → 16:55 赤岳山荘
[4月29日(日)]
6:00 赤岳山荘出発 → 9:00〜10:00 行者小屋(テント設営) → 11:30〜55
阿弥陀岳山頂 →13:10 文三郎尾根合流 → 13:45〜14:05 赤岳山頂 →14:30
地蔵の頭 → 15:35 行者小屋
[4月30日(月)]
6:20 行者小屋出発 → 7:50〜8:10 地蔵の頭 → 9:20 三叉峰 → 9:35〜55
横岳(奥ノ院)山頂 →10:40 硫黄岳山荘 →11:25〜45 硫黄岳山頂 →
12:35〜45 夏沢峠 →13:05 オーレン小屋
[5月1日(火)]
6:15 オーレン小屋出発 → 7:20 箕冠山 → 7:45 根石岳 → 8:30
東天狗岳 → 9:00〜15 西天狗岳山頂 →11:35 黒百合ヒュッテ
[5月2日(水)]
8:00 黒百合ヒュッテ出発 →8:45 中山山頂 → 9:45 高見石小屋 →
10:40 青苔荘
[5月3日(木)]
7:30 青苔荘出発 8:05〜8:30 麦草峠バス停 =バス=> 9:35 茅野駅
午後 茅野市内観光
[5月4日(金)〜5日(土)]
午前 諏訪湖周辺観光 14:30 茅野駅 =高速バス=> 21:50〜22:20
大阪梅田乗換 =高速バス=>
翌7:00 小野田駅 |
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1.計画
八ヶ岳の玄関・美濃戸口から入山し、行者小屋を拠点に阿弥陀〜赤岳を回ったあと、横岳〜硫黄岳〜天狗岳を縦走し、麦草峠へと抜ける残雪期の雪山縦走を計画した。
全てテント泊で天候や雪の状態も考え5泊6日の日程とした。
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2.内容 |
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[4月28日(土)入山一日目]
16時に美濃戸口に到着。
荷物をチェックしていると八ヶ岳山荘の人が出て来て計画を聞かれる。連休初日で登山指導をしているようだ。
時間が遅いので今日は美濃戸でキャンプするだけだと説明する。一時間ほど歩いてキャンプ予定地の美濃戸山荘に到着する。
山荘の人にキャンプしたいと言うと、キャンプ場に渡る橋が落ちて、ここ何年かはやってないと言われる。最新の登山地図にもガイドブックにも載っていたのに釈然としないが、少し引き返して赤岳山荘でテントを張ることができた。
設営中に山荘の横に黒い動物が現れる。カモシカだそうだ。初めて見たがおとなしそうな感じだ。人に慣れてるがあまり近づくと逃げるという。 |
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餌を探しに赤岳山荘に降りてきたカモシカ |
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[4月29日(土)二日目]
行者小屋に向けて出発する。しばらくは雪のない道が続く。
南沢ルートが最短だが、登山道の回復工事中のため設置された迂回路が歩きにくい。
やがて雪が増え、凍結して滑りやすくなったのでアイゼンを着用する。トレースを外れるとすぐに雪を踏み抜いてしまう。
苦労しながら行者小屋に到着する。慣れない雪上でのテント設営に手間取る。
雪が凍結していてペグを埋めるのが大変だった。
設営を終え阿弥陀岳に向け出発する。
トレースがはっきりしていて天気もいいので順調に進む。途中、出会った人に沢のルートなので雪崩に気を付けるように言われていたので時々立ち止まって確認するが特に危険な兆候もない。
稜線に上がると見上げる首が痛くなるような急登が山頂まで続くのが見える。
ところどころハシゴと鎖が出ていたのでつかみながら慎重に登る。険しい岩の露出もあり、ルートを取るのに苦労する。
11時半に阿弥陀岳山頂。人も多くいろいろな方向から登って来る。 |
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阿弥陀岳への登り |
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中岳経由で赤岳へ向かう。中岳の痩せ尾根がスリリング。
文三郎尾根との合流地点で休憩する。やや頭が痛い。軽い高山病のような気がするのでゆっくり進む。 |
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中岳から赤岳へ至る縦走路 |
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赤岳の登りも迫力のあるルートだが鎖が続いているので安心して登れた。
14時前に山頂到着。
紅茶を詰めた水筒をテントに忘れた上、ハイドレーションの水も切れてしまったので頂上小屋でジュースを購入する。 |
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赤岳頂上小屋から山頂 |
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地蔵尾根を下って行者小屋へ到着した。地蔵尾根は急で滑りやすくルートに悩む場所もあった。
翌日同じ道を全装備を担いで登る予定にしていたのでルートを考え直そうかと心配になった。 |
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赤岳展望荘への下り |
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[4月30日(日)三日目]
朝起きると体調も良く、筋肉痛等もない。高山病らしき頭痛は寝るまで続いたが朝には治っていた。
6時過ぎに出発、前日歩きにくくて苦労した地蔵尾根だが、朝は雪が締まっていて比較的歩きやすかった。
荷物が重いのでゆっくり進むが思った以上に順調に登りきった。
いよいよ気を付けなければならない横岳への縦走路に入る。
岩場は凍結し、急斜面に付いたトレースはところどころ崩れかけており、踏み抜くのではとの怖れで足がなかなか進まない。岩や鎖にしがみ付きながら、情けない姿勢で通過することもあった。 |
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横岳のトラバースルート |
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いくつかの峰を巻き、時間はかかったものの横岳の奥ノ院に到着し休憩する。
奥ノ院の先の最後の難所を抜けると尾根も広くなり一気に歩きやすくなる。
雪もなくなったのでアイゼンを外す。うず高いケルンの間を抜け硫黄岳山頂。振り返ると赤岳を中心にこの二日で歩いた峰々が一望できる |
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右から阿弥陀岳・中岳・赤岳。左側の峰々が横岳の各峰 |
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夏沢峠へ下り峠から少し西に下りてオーレン小屋・だけかんばキャンプ場に到着する。
小屋は風呂付で立ち寄り入浴もできるらしい。
前日の寝心地の悪さを踏まえ、ワカンと靴とスコップで雪をしっかり踏み固めてからテントを設営したが、やっぱりデコボコの床となった。もっと時間をかけなければダメなようだ。
することがなくなったので小屋でチューハイを買い、ベンチで日向ぼっこをする。至福の時間を過ごす。 |
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[5月1日(月)四日目]
夏沢峠から北が「北八ヶ岳」だそうだ。
その最高峰の東天狗岳を目指す。箕冠(みかぶり)山へ樹林帯の緩い登りを登るが、体が重く感じられ、後から来た登山者に次々に抜かされる。
看板を見ないと山頂だとは気づかない箕冠山を過ぎると樹林帯を抜け広い尾根に出る。尾根道に雪は無い。
根石岳の陰から東と西の両天狗岳も顔をのぞかせている。
一度下って登り返し、根石岳山頂に到着。
西側を見ると雲海から白い山脈が幾つも頭を突き出している。中央アルプスから北アルプスまでが見渡せ感激する。
南側を振り返ると前日登った硫黄岳が雲に包まれ始めていた。天気が変わる予感に焦り、先を急ぐ。
8時半に東天狗岳山頂に到着する。
西天狗までは20分ほどのピストンになるのでどこかに荷物を置いていこうかと考えたが、歩荷訓練と思って担いでいくことにする。
しかし、あとで後悔することとなる。
西天狗岳は雪が残っており、装備がないため東天狗までであきらめて帰る人も多かった。重い装備でここまで来た甲斐があったと、ささやかな優越感に浸る。 |
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西天狗岳までの縦走路 |
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西天狗岳山頂から引き返し始めた直後に膝に違和感を覚える。
東天狗に登り返さないようにトラバースルートを取るが雪にズボズボはまり余計に時間が掛かる羽目になった。
中山峠までは一気に下るが、膝が痛くなり休み休み進むことにする。下から一気に雲が上がってきてやがて曇り空になった。いよいよ天気が崩れるらしい。
途中、黒百合ヒュッテに行くルートとの分岐にさしかかりどちらを進むか迷うが、無理をしないことに決め、この日は黒百合ヒュッテでキャンプすることにした。こちらのルートも大きな岩のカレ場が続き、疲れた足にはかなり堪えた。
急な雪の斜面を下って黒百合ヒュッテに到着。
前日のオーレン小屋もそうだったが、立ち寄りやテント客でも小屋の中の清潔なトイレを使えるのが有難かった。夜半より風雨の音が聞こえ始めた。 |
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[5月2日(火)五日目]
朝起きると、弱いが雨が降り続いている、今後のルートを検討するが、最短の下山ルートでエスケープしても予定通りに麦草峠まで縦走しても時間的に大差がないので、最後まで進むことにした。
中山峠から尾根道へ入り、樹林帯の中にある中山山頂の標識を過ぎたらあとは下り。
高見石小屋を通過し白駒池に到着。池の遊歩道には観光客風のカップルもいたが、ガスがかかり景色を楽しむような天気ではない。
下山予定地のバス停まであとわずかだったが下山後の都合がつかないので、湖畔でキャンプすることにした。
管理人のおじさんに「こんな天気の日に・・・」とあきれられる。
夏の観光用のキャンプ場のため、トイレまで急斜面をラッセルする羽目になるなど使いづらい。午後からの大雨で雪が融け、テントが立てた時と反対方向に傾いてきて、大丈夫かと不安になる。
夕方にはテント内でウイスキーの入ったカップをひっくり返すなど散々だった。 |
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[5月3日(水)六日目]
朝方テント内で紅茶の入った鍋をひっくり返し泣きそうになる。小雨の中8時に麦草峠バス停に下山。
バスが下るにつれ天気も良くなった。車窓からは桜が咲いているのが見えて西日本から来た人間にとっては不思議な感じがした。9時半に茅野駅到着。 |
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3.感想
残雪期の八ヶ岳をテント泊で縦走しようと思いついたのが去年のGW明けだった。
アウトドアショップHの店長にそのことを話すと、「そういうことをしたいなら宇部山岳会に入りなさい。技術も身に付くし楽しいよ。」と勧められた。
これが入会したきっかけの一つだったので、思い入れのある山行を無事終えてうれしいし、ひとつ成長できたかなという思いもある。
今回は単独行ではあったが、会の方々には事前の練習を指導して頂いたり、天気やルートの情報などを教えて頂いたりとお世話になった。
入会しなければこんなにも早く行けなかっただろうと思う。今後も会で学びながら山行の幅を広げて行きたい。
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(文・写真 中村(直)) |
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