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北アルプス南部「西穂高岳~奥穂高岳~槍ヶ岳~常念岳」縦走 |
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期間 |
平成24年8月25日(土)~8月30日(木) 5泊6日 |
山行形態 |
夏山幕営縦走 |
メンバー |
今井 厚 |
行程・
天候 |
① 8月25日(土) 天候:晴
4:00 岐阜県瑞浪市(今井実家)~ 5:50 東海北陸道飛騨清見IC~
6:50 平湯あかんだな駐車場~ 8:00 上高地帝国ホテル前~ (中尾根)
10:10 西穂山荘着
11:30 西穂山荘~ 12:30 独標~ 13:00 ピラミッドピーク~ 13:45 西穂高岳~
15:30 西穂山荘 |
② 8月26日(日) 天候:晴
4:20 西穂山荘発~ 6:35 西穂高岳~ 8:00 間ノ岳~ 9:00 天狗の頭(天狗岳)
~ 9:42 天狗のコル~ 11:15 ジャンダルム~ 12:55 ウマノセ~ 13:15 奥穂高岳
~ 14:05 穂高岳山荘 |
③ 8月27日(月) 天候:晴
5:00 穂高岳山荘発~ 5:15 涸沢岳~ 7:25 北穂高小屋~ (大キレット)
8:30 飛騨泣き~ 9:00 A沢のコル~ 9:30 長谷川ピーク~ 11:10 南岳小屋
11:45 南岳~ 13:00 中岳~ 14:00 大喰岳~ 14:30 槍ヶ岳山荘 |
④ 8月28日(火) 天候:晴
5:45 槍ヶ岳山荘発~(東鎌尾根) 8:20 水俣乗越~ 9:30 ヒュッテ西岳~
12:30 ビックリ平~ 13:15 大天井ヒュッテ~ 14:30 大天荘 |
⑤ 8月29日(水) 天候:晴れ後曇り一時小雨
5:20 大天井岳山頂~ 6:00 大天荘発~ 8:50 常念小屋~ 10:20 常念岳~
12:00 2512コル~ 14:15 蝶槍~ 15:15 蝶ヶ岳ヒュッテ |
⑥ 8月30日(木) 天候:曇り時々晴れ
5:45 蝶ヶ岳ヒュッテ発~ 6:00 横尾分岐~ 8:00 槍見台~ 8:30 横尾山荘~
11:30 上高地~ 12:40 平湯あかんだな駐車場~ 15:00 東海北陸道飛騨清見IC
~ 17:00 岐阜県瑞浪市 |
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内 容 |
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夏期休暇を利用して、北アルプス南部を縦走する計画を立てた。
計画の前半では、穂高連峰から槍ヶ岳までの岩稜ルートの縦走にチャレンジ、後半は槍ヶ岳から大天井岳、常念山脈を縦走する内容とした。
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【1日目:8月25日(土)】
◇行程;上高地~西穂山荘、山荘~西穂高岳山頂往復
◇行動時間;上高地から西穂山荘2時間10分 西穂山荘~西穂高岳往復4時間
上高地帝国ホテル前でバスを下車し(08:00)、西穂高岳登山道を上がる。
この登山道は樹林帯の急登で、登山者は少なかった。およそ2時間10分で西穂山荘に到着。山荘にはすでに多くの登山者がいて、土曜日ということもあり午前11時頃にはテント場はいっぱいとなる。
テント設営も済ませ、翌日の下見で西穂高岳山頂まで往復することにした。
西穂高岳は独標を越えるとコースは急な登り下りや細いリッジとなって厳しくなり、独標までは登山者が多いものの、この先はぐっと少なくなる。山頂に行くまでに10以上のピークを越えなければならない。
山荘から山頂まで2時間の行程であったが、西穂から奥穂のロングコースの中では、西穂山頂はまだ序盤でありその先は長い。
翌日の早朝出発に備え、早めに就寝する。 |
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西穂高岳 山頂まで幾つものピークを越えていく |
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【2日目:8月26日(日)】
◇行程;西穂高岳(西穂山荘)~奥穂高岳(穂高山荘)
◇行動時間;9時間45分
3時起床。4時20分に西穂山荘を出発した。前日と違い約15キロのザックを背負っているため、登り下りがつらい。晴天で視界も良く、西穂高岳山頂から槍ヶ岳が見える。
西穂高岳山頂から急な岩場を下り、続いてガレ場を登って3つの小ピーク(P1~P3)を、狭いバンドのトラバース、鎖のある下りなどで通過する。浮石が多いので落石に注意が必要。
続く間ノ岳は逆層気味の岩を登って頂上に至る。頂上からは鎖のかかった稜線を下り、逆層スラブ状の岩で有名な天狗の頭(天狗岳)を登り返し、広い頂上で休憩する。頂上から急な斜面を下って天狗のコルに至る(9:42)。
ここまでの所要時間は5時間弱であり、ようやく西穂~奥穂縦走コース(標準コースタイム10時間)の半分を過ぎたところのイメージで、まだ遠いゴール目指して先を急ぐ。
ここまでに何人もの縦走者に抜かれており、軽快に歩くにはザック(荷物)を軽量コンパクトにすべきと改めて思った。 |
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天狗岳からコルへの下り。こんな登り下りを繰り返す・・・ |
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天狗のコルから畳岩の頭、コブ尾根の頭の間は、ガイドブックによると一番長い急登とのこと。コース表示に従って急登を上がっていく。
畳岩の頭(ピーク)をいつ通過したか気づかないまま進む。天狗のコルからおよそ1時間弱進んだところで、目の前にやや丸っぽいピークが見えて、一瞬ジャンダルムか?と錯覚するが違っている。
自分にはコブ尾根の頭もどこか良くわからなかったが、さらに15分ほど進みようやくジャンダルムが目の前に現れてくる。ジャンダルムまでの所要時間はおよそ7時間であった(11:15)。
ジャンダルム頂上へは西穂側からコース表示に従って登る。荷物を置いて空身で頂上に登ったが、ガスがかかって360度の絶景は残念ながら見られなかった。
頂上から下り、コースは信州側をトラバースするが、奥穂側の稜線につながる部分がわかりにくい。ロバの耳は少し登って、飛騨側を大きく下る。
下りきったところのコルから岩が積み重なった細い稜線を進み最後の難所ウマノセに至る。ウマノセのナイフリッジは露出感たっぷりだが、ホールドも多いので、自分には登りやすく感じた(強風の場合や下る場合はどうかわからないが)。
ウマノセを越えて広い稜線を進むとようやく奥穂高岳山頂に辿り着く。出発からの所要時間はおよそ9時間。難コースを無事に通過できた嬉しさがこみ上げてくる。
頂上(祠、方位盤)には十数人の登山者がいてなかなか空きそうになかったため、頂上を踏むのはあきらめて、穂高岳山荘に向かった。
この日の長時間の行動で両足の親指、小指にマメができてしまい、後々まで痛みに悩まされることとなった。 |
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ジャンダルムへ続く道 |
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【3日目:8月27日(月)】
◇行程;穂高山荘~北穂高岳~大キレット~槍ヶ岳(槍ヶ岳山荘)
◇行動時間;9時間30分
3時起床。5時出発としたためゆっくりと朝食、テント撤収を行う。
涸沢岳から北穂高岳の間のコースはほとんど岩場で、鎖、ハシゴも多く緊張感のある縦走となった。(自分の中での難ルートとしては、大キレット、西穂~奥穂を考えていたため、このコースはノーマークでしっかり下調べを行わなかったが、自宅に帰ってガイドブックを見ると大キレットよりも技術度は上であった・・・)
およそ2時間弱で北穂高岳山頂に到着(7:20)。続いて大キレットに向かう。
大キレットでは、北穂高小屋からの下りが浮き石の多いガレ場なので、落石を起こさないようにと注意しながら下る。A沢のコルまでとにかく長い下りが続く。
逆コース(南岳から)だと、後半が長い登りとなるので、こちらは体力的にかなりキツいのではないかと思う。
前日のコースに比べ縦走者は多い(ほとんどが南岳側から。団体も多い)。南岳からの縦走者とのすれ違いによる渋滞は、長谷川ピーク前(9:30通過)でやや渋滞したが、それ以外ではほとんどなかった。
A沢のコルに向かう下りで、右ひざ関節がズレたような感触があった。ここでひざを痛め、後に影響が出ることとなった。 |
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長谷川ピーク付近 |
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長谷川ピークを過ぎると、しばらくは歩きやすいコースとなる。
南岳への急な登りをはしご、鎖で登り、砂利道を右手に曲がると、「←大キレット」という小さな標識があって難所もここで終了する。およそ3時間半で大キレットを抜けた(11:00)。
南岳小屋で少し休憩した後は、槍ヶ岳に向かって縦走路を進む。南岳~槍ヶ岳の間は、これまでの岩稜コースとは異なり、わりと平坦な縦走コースとなる。
このコースは、高度が3000メートル近いので眺めは良く、槍ヶ岳に近づいていることがありありと感じられて何ともたまらない。 |
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槍ヶ岳に向かう縦走路(中岳山頂付近) |
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槍ヶ岳山荘に到着した時は(14:30)、山頂登頂者の行列ができていたため、登頂者が少なくなった16時すぎに槍ヶ岳山頂に上がった。
夕食では、西穂~奥穂と大キレットを無事通過できたことに、一人ビールで乾杯した。 |
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【4日目:8月28日(火)】
◇行程;槍ヶ岳山荘~東鎌尾根~西岳~喜作新道~大天井岳(大天荘)
◇行動時間;8時間45分
前日までの難コースを終えたことで、気合が抜けて4時起床。朝焼けを観賞して5時45分に槍ヶ岳山荘を出発。
いつもなら歩き始めは体が重く、そのうちに軽くなって調子があがるが、今日は体の調子があがってこない。さらに東鎌尾根の下りがひざに堪え、右ひざをかばううちに左ひざも痛み出す。足のマメも痛む。朝食が塩辛かったせいでやたらノドも渇く。
計画を変更して水俣乗越で槍沢に降りようとの気持ちが強くなったが、何とか思いとどまり、とりあえず西岳まで行って次の行動を考えることとした。天候が雨だったら確実に水俣乗越で挫折していたと思う。
ヒュッテ西岳で出会った燕岳からの縦走者に「大天井岳まで2時間かからないよ」との言葉に励まされ、大天荘までがんばってみようとの気持ちになる。
実際には大天荘まで5時間かかったが何とかたどり着いた。体調不良で何度も休みながらのつらい一日となった。
喜作新道は、昨日までの岩稜コースと違い、緑の多い穏やかなコースである。迫力ある槍ヶ岳北鎌尾根を横に見ながら歩く。 |
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大天井岳に向かって喜作新道を進む |
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【5日目:8月29日(水)】
◇行程;大天荘~常念岳~蝶ヶ岳(蝶ヶ岳ヒュッテ)
◇行動時間;9時間15分
3時45分に起床。テント生活も5日目になるとテント設営・撤収、荷物のパッキングが要領良くできるようになる。食糧は減っているが、思ったほどザックは軽くならない。
5時過ぎに大天井岳山頂に上がり朝焼けを観賞して、6時に出発。
今日も体調が悪ければ常念小屋でキャンプすれば良いやと、気楽な気持ちでスタート。マメと下りでのひざの痛みはあったものの体調は良く、コースもなだらかで精神的にも余裕が持てた。標準的なコースタイムどおりで常念小屋に着いたので、計画どおり蝶ヶ岳まで進むことにする。 |
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常念岳(横通岳方面からの眺め) |
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常念岳はぜひ登ってみたい山の一つであったが、蝶ヶ岳まで行かなければならないため、山頂をゆっくり味わうことなく直ぐに下山にかかる。
蝶ヶ岳に向かう登山道は樹林帯の中を歩く。これまでの稜線上は時折吹く風が心地よく、気温も高くないため快適であったが、樹林帯の中は蒸し暑い。
樹林帯を抜けて蝶ヶ岳に向かう稜線上ではガスがかかり、時折お湿り程度にほんの少し小雨がぱらつく。今回の縦走期間中、唯一の雨となった。 |
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【6日目:8月30日(木)】
◇行程;蝶ヶ岳ヒュッテ~横尾~上高地
◇行動時間;5時間45分
4時に起床。ゆっくりと準備を済ませ、5時45分に出発。穂高連峰の眺めがすばらしい。
そこを歩いてきたことを思うと、感慨深いものがある。
蝶ヶ岳から上高地方面に下るルートは3通りあるが、ひざのことを考えて、下り区間が最短の横尾に下りるルートを迷わず選択する(当初計画では最も長い中村新道~徳本峠~明神経由ルート)。 |
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蝶ヶ岳から眺める穂高連峰と槍ヶ岳 |
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観光客の多い上高地に来ると、山から下界に下りて来たことを強く意識させられる。
平湯で温泉に入り、6日間の汗と埃を洗い流す。途中つらい状況もあったが、終わってみれば楽しい思い出のほうが多い。 |
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定番の記念写真「槍ヶ岳山頂」 |
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【その他】
今回の縦走は全行程ほとんど晴天で、ここまで天候に恵まれたことは非常にラッキーだった。
縦走中に眺めるアルプスの山々の圧倒的な存在感は感動もので、途中の苦しさを忘れ「来て良かった」と何度も思うことがあった。なんとも贅沢な時間をすごせたと思う。 |
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( 文・写真; 今井 ) |
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