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大朝日岳(山形県 朝日連峰)
中岳からの大朝日岳
と き  2012年9月24日 ~ 26日
天 候  24日 雨   25日 雨後夕方曇後晴  26日 晴
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程 9月24日
 大井沢温泉(5:50)~ 古寺鉱泉登山口駐車場(6:45-7:30)~ 
古寺鉱泉(7:35-7:50)~ 一服清水(9:55)~ 古寺山(11:35)~
 熊越(12:50)~ 銀玉水(13:55-14:00)~ 大朝日小屋(14:45-15:00)
~ 大朝日岳(15:15)~ 大朝日小屋(15:25)
9月25日
 停滞 (斉藤(滋)は水汲みのため金玉水を往復)
9月26日
 大朝日小屋(5:20)~ 中岳(6:10)~ 大朝日小屋(6:55-8:15)~
 熊越(9:30)~古寺山(10:50)~ 古寺鉱泉登山口駐車場(13:45-14:30)
~ 大井沢温泉入浴 ~ 鶴岡市コインランドリー ~ 鶴岡市運動公園駐車場(車中泊)
 内 容
 9月24日

 宿をそっと出る。前夜に支払いを済ませ、朝食用の弁当も受け取っている。今にも降りそうな空模様だが、昨夜訊いた予報では天気は次第に持ち直し、少なくとも明日・明後日は回復するという。その後はまた崩れそうなので大朝日岳アタックを決断する。
 
 道迷いをしながらも、雨が降り出した古寺鉱泉登山口駐車場に到着する。雨足が強くなり不安がよぎるが、ここまで来れば行くしかないだろう。なんとか身支度を整え出発する。営業小屋が無いため、寝袋・装備・食糧を持ち込まなければならない。この計画を耳にした時、「無理!」とMに言ったが、「お前は個人装備だけ持てばいい。」と言われ付いて来たが、背中のザックは結構重い。

 こんな雨の日に登山者などいる訳も無く(いや1人いた。ピストンするという若い男性が支度中に出て行った。)無言で登る。カッパを着ても濡れそうなので傘も差す。一服清水でようやく一つのポイントを過ぎ、きつく長い古寺山の急坂を登る。天気が好ければ、この悪路も苦にならないだろうが、雨は一向に止まない。腰を下ろして休憩といかず、重い荷のMの疲れが気にかかる。「小屋に着いたら2000円してもビール買うね。」と励ます。(かって登った飯豊山頂小屋のビールは1000円だった。)

 急坂が終わり、やっと古寺山の標識に辿りつく。嬉しいことに登山者4人に出会う。進行方向も一緒だ。仲間ができたようで心強い。小朝日岳のトラバース道分岐で、朝のピストンの男性に出会う。こっちはやっと半分の道のりを歩いたのに、なんと彼は登頂してもう下って来たのだ。荷が軽いとはいえ、すごいパワーだ。

 無我夢中で忘れていた膝の痛みは、鎮痛剤の効き目か感じない。先行の4人が霧の中に消え、Mと2人でマイペースでゆっくりと登る。同じ距離を歩いても無理な歩き方をしなければ、膝に負担がかからないような気がする。銀玉水で水を補給する。大朝日小屋の傍には水場が無いのでここから担ぎ上げる。個人装備と行動食しか持っていない私は頑張らないと・・・。「無理するな」と言われても水が無いと不自由なので、内緒で4L確保する。コースタイムによれば後45分ゆっくり頑張ろう。

 霧に浮かんだ大朝日小屋に着く。ザックを置いて濡れついでに山頂に向かう。雨の山頂には誰もいない。ここがガイドブックで見たあの三角錐のピークなのか・・・実感が無い。寒いのですぐに小屋に引き返す。
大朝日岳の山頂に向かう
 シーズン中は常駐の、管理人Aさんに迎えられ指示された場所に陣取る。100人収容の小屋だが、今日の宿泊者は7人で広々と荷物を広げる。全身ずぶ濡れで全部着替える。有難い事にAさんが特大のバーナー(外国製)を焚いてくださり、一部衣類を乾かす。しかし靴を乾かすのは難しくいろいろと苦労する。
 ビールどころか、この小屋で買える物は何ひとつ無く、自分たちで持って上がった物がすべてだ。期待(?)させてごめん。Mには下山したら冷たいビール(第3の)をしっかり飲んでもらおう。
 Mシェフの料理(α米とスープの素に湯を注ぐだけ・海藻を水に浸すだけ・ハムを切るだけ・缶詰を開けるだけ)に満足し、膝の湿布も貼り換えたのでそろそろ休むとしよう。明日は晴れるだろうか・・・。
 9月25日

 今日も窓の外は雨、何も見えない。予定では西朝日岳まで一日かけて往復し、ガイドブックで見た雄大でたおやかな稜線歩きを楽しむ筈だった。我が家以外の登山者は、百名山登頂が目的なので、全員下山。残された2人は食事以外することも無く、思い切り広げて干した衣類の乾きを確認する。体が鈍りそうなので向き合ってラジオ体操を始める。第1も第2もごちゃまぜで順番も前後するがとにかく体を動かす。(私は足を労わりながら)

 午後、霧雨になったので金玉水に水汲みに出かける。水は多分明日まで足りると思うが、退屈凌ぎに軽く運動しよう。カメラとペットボトルを手に中岳方面に下る。水場の周りは草紅葉が始まっている。昨日は写真が撮れなかったので、せめて草紅葉を撮っておこう。ゆっくりと登り返していたら霧が薄くなり、ぼんやりと大朝日岳の頂が現れる。チャンス!シャッターを切る。
金玉水付近の草紅葉
 夕方近くなって、どんどん登山者が増える。Aさんが張り切って場所の割り当てをしている。(30人以上)混雑する前に早目に夕食を済ませる。後は寝るだけ寝袋に潜り込む。

 トントンと突かれる。あっ イビキかいてた? Mに起こされたと思ったら、管理人のAさんだ。「小屋の外に出ておいで」小声で誘われ、言われるままに出て見る。
「うわぁ~綺麗!」宝石をちりばめたような街灯が目に入る。「あれが天童市、あっちが山形市」小屋の反対側の灯りは新潟市と村上市だそうだ。「二晩泊まった甲斐があったね。」Aさんの優しい言葉に「はい!」と頷く。昼間の霧が嘘のような澄み渡った夜空・・・。月明かりの中に北斗七星が輝く。
 9月26日

 行動食とカメラを持って小屋を出る。予想通り今日は好天だ。取り敢えず中岳に登る。ガイドブックで見た通りの大朝日岳の雄姿が今目の前にある。「無理!無理!」何度Mに言った事だろう。この場所に立つことが出来るなんて思えなかった。
ガイドブックと同じ光景の大朝日岳
 鳥海山、月山、遥か飯豊連峰まで見渡せる。西朝日岳まで行ってみたいと欲も出るが、下山が控えているので無理は出来ない。
遥か遠くに飯豊連峰が覗く
 小屋まで帰り朝食を済ませ、最後の下山者となる。Aさんが掃除の手を休めてニ階の窓から手を振っている。
 何も見えなかった昨日までが嘘のように大展望が広がっている。間近な稜線は西朝日岳から次に目指す以東岳へと連なっている。このまま縦走しないのは、故障者の私と車の回送等を考えMが決めたことだ。
大朝日小屋に別れを告げる
以東岳(雲の中)へと続く稜線
 銀玉水で給水していたら地元(鶴岡)の登山者が登って来られたので、コインランドリーが無いか尋ねる。月山の分も合わせ洗濯物が溜まっている。幸いな事にご自宅の近くにあるということで、親切に場所を教えて頂く。これで一安心。たっぷり時間をかけ、登りの辛さを取り戻すようにゆっくり下り、古寺鉱泉登山口に帰り着く。
登りでは見られなかった大朝日岳への稜線
ヒメコマツの大木
 登る前日に入った大井沢温泉に向かう。3日前とは気分が違う。明日からは分からないが、本命の大朝日岳になんとか登れた。少し気持ちが楽になる。
 温泉で汗を流し、鶴岡のコインランドリーに直行する。コインランドリーのすぐ傍が運動公園で水道・トイレもあり快適な宿泊地となる。洗濯の待ち時間にMが買ってきた夕食を食べながら、車中で久し振りにテレビを見る。天気予報を見ても以東岳の辺り(山岳天気)がよく分からない。

 明日どうするのかな? ほろ酔い加減のMに訊いても分からないだろう。台風が二つも近づいているらしいが・・・。
( 文・斉藤(滋)   写真・斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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