へのリンク
以東岳 (新潟県/山形県 朝日連峰)
タキタロウ伝説の大鳥池
と き  2012年9月27日 ~ 29日
天 候  27日 晴  28日 晴時々曇  稜線 霧雨強風  29日 晴後曇後雨
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程 9月27日
 鶴岡運動公園(8:05)~ 鶴岡IC ~ 山形道 ~ 庄内あさひIC 
~ 泡滝ダム駐車場(11:20-11:45)~ 冷水沢吊橋(13:10)~
七曲り(14:30)~大鳥小屋(15:15)
9月28日
 大鳥小屋(5:40)~ 三角峰(8:00)~ オツボ峰(8:35)~以東岳(10:15)
~ 以東小屋(10:25-11:00) ~ 大鳥小屋(15:15)
9月29日
 大鳥小屋(7:15)~ 七ツ滝沢吊橋(8:30)~ 泡滝ダム駐車場
(10:25-10:35)~庄内あさひIC~山形道 ~ 寒河江IC ~
 R112・13・121 ~ 熱塩温泉(16:00)泊
 内 容
 9月27日

 大朝日岳登頂で疲れたのか、車中泊でもぐっすりと眠れた。簡単な朝食を済ませ、ザックの荷物を整理して次の山行に備える。予想に反して鶴岡の空は青く晴れわたっているが、目指す以東岳の辺りはどうだろうか? 攻めるか休むか天候次第だが、さっぱり分からない。コンビニで食糧を調達しながら、店員さんに天気予報を訊いてみると「いいんじゃないですか」とのこと。次にスタンドで給油しながら同じことを訊く。パソコンに向かって調べて頂いた結果、「晴れですよ。」と想定外の返事だ。

 昨日の内に濡れた衣類を洗濯し、靴を乾燥していて良かった。膝のことを思えば一日位休みたいが、好天を見逃すわけにはいかない。急遽以東岳の登山口の泡滝ダムに向かう。途中、大鳥小屋の管理をしておられる朝日屋旅館(佐藤さん)に立ち寄る。入山の連絡をすると「明日は管理人さん【佐藤さんが委託しておられる】が上がりますよ。」と教えてくださる。大鳥小屋にはビールがあるそうで、「明日は飲めますよ。」にMの口元が緩む。

 それにしても狭い道に緊張する。古寺鉱泉~泡滝ダム間の車の回送代は25,000円位らしいが頷ける。沢沿いのジャリ道は大雨が降れば川になりそうだ。さっさと登って台風が来る前に下りておかないとと思う。

 人里離れた小さな泡滝ダムの駐車場には、10台位車が並んでいる。大朝日岳の教訓を踏まえ、着替え食糧を多めに詰め込む。今日は、標準タイム3時間半のコースなので、少し位重くてもなんとか頑張られるだろう。悩んだあげくワンカップもザックに忍ばせる。
 平坦で単調な長い沢沿いのコースだが、時々小さな滝や水場が現れ慰めてくれる。わざわざ水を担ぐ必要はなかったが、面倒なので捨てずに歩く。
沢水で喉を潤す
 時々すれ違う軽装者は釣り人らしく足元は沢靴だ。明るい内に着けばいいと七曲の急坂もゆっくりと登る。見つけた!小屋まで10分の標識。さっきまで言葉も出なかったが途端に元気にペースが上がる。

 大鳥池の畔に立つ小屋(タキタロウ山荘)の先客は一組のご夫婦で、ご主人は今日以東岳に登られたそうだ。稜線はものすごい風と霧雨だったそうで、冗談のつもりで、「風速30m位ですか?」と言うと「はい。」と返事が返って来る。そういえば台風の影響か、小屋の傍の大木も今にも折れそうに枝が撓っている。

 暗くなるまでに単独行の男性が2人(釣りの常連さんらしい)到着で、今日も100人収容の小屋に広々と陣取る。水洗トイレ、水道完備の快適な山小屋だ。家では、料理をほとんどしないMが、今日も張り切って湯を沸かす。(家でもお願いします。)お礼にワンカップ出そうかな・・・。いや、明日の登頂祝杯用に取っておこう。
張り切るMシェフ
 9月28日

 今日は以東岳へピストンだが、昨日得た情報では稜線は荒れ模様らしい。標準タイムでも7時間かかるコースなので、明るくなるのを待って早発ちする。 漫画”釣りキチ三平”の舞台となった大鳥の池に人影は無い。幻の魚タキタロウ伝説で有名だそうだが、これも全く知らなかった。(事前の勉強が大切なことをまたまた実感)     

 池の畔を離れブナの林の急坂を登る。昨夜から続く風も木立の中は大丈夫だが、高度を上げるにつれ強くなり霧雨で視界も悪くなる。こんな悪天の日に登るのは2人だけと思いこんでいたら、若い男性に抜かれる。小屋の近くのテント場で夜を明かしたそうだが、やはり風が強くて困ったらしい。大朝日岳まで縦走とのことで、霧の中に姿が消える。

 オツボ峰に到着するも相変わらずの風と視界の悪さに、何のために登っているのか分からなくなる。主稜線に吹き上げる風に吹き飛ばされないようMから体勢を指示され、黙々と進む。・・・といきなり霧の中から3人の男性が現れる。あちらもこっちを見て驚いている。すれ違いに「風が強いので、くれぐれも気をつけて」と声がかかる。
 あちらは下山なので、気分的には余裕があるのだろう。「有難うございます!」と答えた筈だが、顔は半ベソだったかもしれない。
吹き荒れる稜線
 山頂まで「1時間以上はかかるでしょう」と言われ、その分歩いたと思うが景色は全く変わらない(霧の中)。大きな岩かげで休憩し(不思議なほど風が来ない)現在地を確認する。何も見えないので確信は無いが山頂は近い筈だ。霧の中に次々と現れる小さなコブを越していたら杭が一本目に入る。山頂? 標識を捜しても他には何も無い。杭の消えかかった字を読んだら以東岳と読める!

 ついに着いた。「山頂よ~!」とMに声をかける。「おお!着いたか」と2人で握手。登頂の喜びもつかの間、何処かに飛ばされそうな容赦ない風の中、いっときも早く逃げ込みたく以東小屋へと急ぐ。霧の中に浮かんだ寂しげな以東小屋。誰もいない筈と思ったら、いた。今朝の若者だ。予定では狐穴小屋泊まりらしいが、強風のため出発を見合わせているとのことだ。風は治まりそうにないが。
霧に浮かぶ以東小屋
 若者に見送られ、以東小屋を後にする。風は相変わらず強いが、下りは気分が楽だ。(足には堪えるが)登りでは手に出来なかったカメラを手にし、登頂の証しを残したいとシャッターを押してみる。霧でレンズが濡れ、写真にならないだろうと思いながら、無駄な動作を繰り返す。
 以東岳の山頂からは、熊の敷皮の形をした大鳥の池が俯瞰できた筈だった。好天なら日本海までも見渡せる大展望が広がるという・・・。
ブナ林を大鳥池へと下る
  突然大鳥池の対岸から喚声が上がる。(後で聞くと45センチのイワナが釣れた瞬間だった。)
タキタロウ山荘に帰り着く
 小屋に帰り着くと管理人さんが登って来ておられ迎えられる。荷物を片付け先ずはビールを購入(500円 自家発電の冷蔵庫で冷え冷え)悪天ながら登頂を祝し乾杯する。今夜も宿泊者は8人だけ。(我が家以外は釣り人)単独の若い釣り人と語り明かす。今晩は管理人さんのお陰で電灯が明々と点く。
 明日は下るだけで気分は楽だ。ビールに大満足のM。出しそびれたワンカップをそっとザックにしまい込む。
 9月29日

 下山の朝。ゆっくりと小屋での最後の食事を摂る。二晩共に過ごした釣りキチのお兄さんが、今日も竿を手に出かける。窓から別れを惜しむ。
 少しは軽い筈の背中の荷は変わらない気がするが、水だけは余分に持ってはいない。
 七曲の下り以外は平坦な下山路だが、距離は長い。土曜日のせいか何組もの登山パーティーとすれ違う。今夜は小屋は賑やかだろう。
紅葉の始まり
大文字草を見つける
 下り始めると青空が広がり、後髪を引かれる思いだったが、愛車に帰り着き走り始めると雨となる。急いで下山しなくても、もう1泊なんとか出来たのでは・・・そんなもやもやもこの雨で吹っ切れる。山頂の草紅葉は見られなかったが麓の田んぼは黄金色だ。

 今夜は何処に泊まろうか・・・。飯豊山に登った時に泊まった宿に、コインランドリーがあった事を思い出す。電話で予約できた。
 行き先決定。熱塩温泉に向かう。Mの憧れだった朝日連峰。稜線は雲の中だ。
( 文・斉藤(滋)   写真・斉藤(宗) 斉藤(滋) )
←大朝日岳(山形県 朝日連峰) 一切経山(福島県 吾妻連峰)→
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu