へのリンク
富士山合宿(冬期高所登山訓練)
期 間  平成24年11月30日(金)~12月2日(日)
天 候  1日 曇時々晴 風強い 2日 晴後曇
メンバー  村上知之(SL)、藤井祐介、田村敦子、今井厚 【宇部山岳会】
 鹿野陽介(CL)、稲垣優 【CC:INA★PINA】
行 程  【11月30日】
   21:00 セミナーパーク集合~防府東IC(山陽自動車道~名神高速道路
~東名阪自動車道~東名高速自動車道)

 【12月1日】
   06:00 御殿場IC~ 07:30 富士吉田登山口(馬返し駐車場)~ 
08:20 先発隊;藤井、田村、稲垣 馬返し発~ 10:50 5合目佐藤小屋
(鹿野、今井は富士急ハイランドへ村上を迎えに行く)
10:00 後発隊;鹿野、村上、今井 馬返し出発~ 11:50 佐藤小屋(先発隊と合流) 
12:10 佐藤小屋発 吉田ルート~ 12:45 六合目(アイゼン装着)~
 15:40 八合目山小屋(太子館;標高3050m)テント泊 ~ 17:30 就寝

  【12月2日】
   05:30 起床~ 07:15 下山開始~ 10:30 佐藤小屋着
   2班に分かれて佐藤小屋出発
① 村上、鹿野、今井 馬返し着 11:30 →村上を富士急ハイランドに送る
② 田村、藤井、稲垣 馬返し着 13:00
 13:45 馬返し駐車場~ 御殿場IC~(東名高速、東名阪、新名神、中国、山陽自動車道)
 23:50 防府東IC~翌 00:15 セミナーパーク
 内 容
 
 雪山シーズンに向けたトレーニングとして、厳しい冬の富士山に行ってみませんか?と誘われ、あまり深く考えずに軽い気持ちで参加を決めた。
 下調べを進めると冬の富士山は強風、高山病、滑落など、登山には極めて厳しい山でことであることがわかり、気持ちを引き締めて臨んだ。
 実際に登って、この厳しさを身を持って知ることとなった。
 
 30日21時
 セミナーパークに集合。
 CL鹿野は急な業務が入り一時は参加が危ぶまれたが、かろうじて間に合い慌ただしい出発となった。
 
 翌12月1日
 東名高速御殿場ICで降り国道138号線を富士吉田に向かって進むと、雪をまとった美しい富士山が見えて気持ちが高揚する。
 7時過ぎ馬返しの駐車場に到着した時すでに満車状態であった。
 登山準備を行い、田村、藤井、稲垣の3名は佐藤小屋に向けて出発。鹿野、今井は出張先の東京から参加する村上と合流するため富士急ハイランドに向かう。
 再び馬返し駐車場に戻った時はさらに車が増えて、空いたスペースを探すのに苦労した。
 
 10時に馬返し出発、ハイペースで歩く鹿野のおかげで約1時間50分で佐藤小屋に到着し、先発隊と合流。
登山者で賑わう佐藤小屋
 12時10分頃
 本日の目標である八合目を目指して吉田ルートを上がる。六合目付近から地面が凍結したところも出てきて、アイゼンを装着する。
 
 標高があがるにつれ、登山道の傾斜も強くなる。
 田村の調子が悪くなって、メンバーの歩行ペースに差が出始め、さらに風が出て気温も低くなるなど気象条件も悪くなってきた。
六合目の登り。一部地面が凍結している。
 七合目の東洋館(14:00頃)で、田村をこの先進ませるかどうか協議し、軽い荷物に変えて負担を少なくしたうえで、テントが張れそうな場所までがんばって進んでもらうこととした。
 この先からの登りはさらに体力的にきつくなって、自分は休み休みでないと心臓が苦しく前に進めない状態であった。
 ただ、吉田ルートは七合目から山小屋が多く、適度に(休憩等の)目標となるため精神的には少し楽である。
 
 15時30分頃、標高3050mにある太子館に全員到着。小屋の前にテントを張れるスペースがあり、風の通り道であったが、テントを張ることにした。
 
 小屋の前の斜面をヘリコプターが飛んでいた。この時はなぜ飛んでいるのかわからなかったが、翌日理由がわかった。
山小屋前にテント設営(12月2日朝撮影)
 整地してテント2張りの設営を済ませた時点で、自分は体が冷え切り手足の感覚も鈍くなっていた。
 テントに入ってフリース、ダウンを着込むが、しばらくは寒さで動けないでいた。
 
 風でテントがひどく揺すぶられるため、別々のテントで夕食。暖かな食事を食べてようやく一息つけた。
 17時半には寝袋に入ったが、足先の冷えと風でテントが大きく揺れて、なかなか寝られなかった。
 
 翌日の行動は、2日3時時点の気象で山頂を目指すか、中止かの判断することにした。3時時点ではまだ風が強かったため、山頂は断念して下山することになり、夜明けまで(寝て)待つこととなった。
 
 2日 5時30分起床。高山病なのか少し頭痛がする。
 シュラフの足元に置いていた食事用の水を凍らせてしまったので、雪を溶かす作業が余分に加わり、他のメンバーに迷惑をかけてしまった。
 
 7時すぎに下山開始。風も緩み晴天でコンディションの良い日となった。
八合目から山頂を臨む。近くに見えるが3時間ほどかかるとのこと
冬の富士山は厳しいが、美しい山だと思う
 山小屋直下のルートは急斜面となっており、トラバース気味に傾斜を緩めて下りるつもりで、ピッケルのピックを刺そうとしたが、刺し損ねて前のめりにバランスを崩し、斜面を滑り落ちてしまった。
 幸い加速がつかないうちに下にいた鹿野に止めてもらったが、ピッケルを手から離してしまい初期制動はまったくできなかった。
 
 自分がトラバースに失敗したため、後に続くメンバーは後ろ向きで山小屋直下の急斜面を下りた。
八合目付近の斜面を下る。この後、藤井が下の山小屋あたりまで滑落する
 しばらく歩いていると、後方の藤井が50mほど滑落し、露出した岩に当りバウンドした後でなんとか止まった。
 滑落のケガとして鼻から出血と左大腿部を痛めた。
 その他、右足のアイゼンの破損、パンツ、スパッツが破れ、ヘルメットはへこんでおり、滑落すればただでは済まないことを痛感させられた。
滑落現場。真ん中の3人がいるあたりで停止した
アイゼンの応急修理を行うメンバー
 この頃上空をヘリコプターが飛んでおり、下からきた登山者の話では、昨日、八合目から六合目まで滑落する事故が起きたが強風で救助できなかったため、天候が回復した本日、遭難者を収容しているとのことであった。
 滑落を間近に目撃したこともあって、その後は佐藤小屋まで慎重に下りた。
 危険個所では、経験の浅い田村を村上がスリングテープで真後ろ1mから確保しながら下りた。藤井は左足を痛めていたがなんとか自力で下山した。
 
 今回の山行は、自分の未熟さを改めて痛感する機会となった。
 メンバーは、富士山経験者3名(鹿野、村上、藤井)、初心者3名(田村、稲垣、今井)という構成であった。
 ベテランのリードがあったからこそ、自分は八合目まで登ることができたと思う。八合目から上はもっと条件が厳しくなるため、今の自分の実力では、山頂までたどり着けたか、また安全に下りることができたか自信はない。
 技術、体力ともにトレーニングを積んで、再挑戦してみたいと思う。

 
( 文:今井、写真:今井、稲垣 )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu