へのリンク
積雪の恐羅漢山で読図山行
と き  2013年2月17日
天 候  晴れ
メンバー  CL斉藤(宗)  SL江本  池本 今井  三浦(比)  新本  斉藤(滋)
 井之上  Ks(HC山歩)  Mu(一般)
行 程  牛小屋高原P(9:05)~ 任意の場所から取りつき(9:30) ~ 北東尾根(10:10) ~
恐羅漢山頂上(11:18) ~ 鞍部で昼食(12:00-12:20) ~ 旧羅漢山(12:38) ~
1271m分岐(13:18) ~ シシガ谷入口(14:18) ~ 十方林道 ~
二軒小屋駐車場(14:50)
 内 容

 
M担当の読図山行の日が近づく。どうか沢山の雪が積もりますように・・・。
 北海道・東北には大寒波が押し寄せ、悲しい出来事もあったのに、西日本は降雪が少なくスキー場の閉鎖も多い。日帰り圏内で読図に適した雪山があるだろうか?
 雪解けが急速に進んでいる。やきもきしながら日を過ごし、どうにか間に合った。西中国山地の最高峰、恐羅漢山に出かける。
 
 登山口の牛小屋高原駐車場に到着し、身支度を整え夏焼峠へのルートに入る。スキー場を過ぎて間もなく、Mが本日の読図山行の方法を説明する。
 メンバーには事前に電子国土ポータルやカシミールから取り込んだ地図と鉛筆持参をお願いしてある。

 夏焼峠に向かう一般登山道から外れて、いきなり目の前の支尾根に取りつく。この支尾根は恐羅漢山の東北尾根に続くのだが、地図には登山道は記入されていない。
 地形を確認しながらどう歩いたのかを、持参した地図に記入してもらうようMが説明する。それには地図上の現在地の確認が必要だ。
支尾根に取りつく
 先行者のトレースは全く無く、積雪の状態も申し分ない。あまりの好条件にMもご機嫌である。大きなヒントをもらいほぼ間違いないだろうと、持参の地図に鉛筆で記入する。
 ワカン初めてのメンバーもいて、交代ラッセルで進む。力が有り余っている者は列を離れて一人ラッセルを楽しんでいる。

 途中休憩をとりながら、支尾根を登り切り主稜線に到達する。広々とした場所、さて地図上の何処か?
 ここで、現在地を地図に記入するよう言われる。幸い今日は周辺の地形が見える。今まで登ってきた支尾根と周辺の地形を眺めながら総合的に判断して書き込む。いつものことだが100%自信があるわけではない。

 今まで何度か読図山行を経験したので、ごくごく基本のことは少しは分かっているのだが、まだ経験の浅いメンバーは真剣そのもの、Mの説明も熱がこもる。そんなことは十分マスターしているベテラン組も神妙に耳を傾けていただき有難い。
シルバコンパスの使用方法を学ぶ
 先ほどから抜きつ抜かれつの団体さんは、なんと長崎からのパーティとのこと。長崎の山にはまだ一度も登ったことがないが、雪が積もることは中々ないだろうな。みなさん、とても楽しそうだ。
 「山口県には山はありません。」と他県の方によく言ってしまうが、県境の辺りやお隣の県には素敵な山が沢山あるなぁと有難く思う。
山頂への最後の登り
 木々の丈も低くなり頂上は近い。みんな元気が有り余って(Mと私以外)先行者のトレースを辿らず、それぞれ真新しい雪を踏んでいる。
 風もなく穏やかな山頂に到着する。記念の写真を撮り少し南に移動する。無雪期は藪で覆われているが積雪期の今なら楽に行ける展望の効く場所だ。

 ここでクロスベアリング法(現在地の確認方法の一つ)の説明がある。条件が揃わないと(目視できること)出来ないが、マスターすると心強い。
 5万分の1の地図を囲んで、みんな熱心にお勉強。(Mはますます張り切っている。)
クロスベアリング法の説明
 昼にはまだ早いので、旧羅漢山に向かう。恐羅漢山々頂からは旧羅漢山が良く見える。
 ここでまたまた、シルバコンパスの簡易設定(目視して目的地にコンパスを設定する方法)の勉強だ。(私は1通りを覚えるだけで大変だったのだが、みなさん理解が早い。)
旧羅漢山に向かう
 杉の木立に囲まれた鞍部まで下る。風の当たらない広場を見つけ昼食タイムとする。
 自然に10人の円座となり全員に暖かい陽が当たる。雪山には珍しい穏やかな昼食風景に心も安らぐ。
     
昼食タイム
 カロリー補給が終わり後半戦がスタートする。トレースは何本か残っているが、元気な者は張り切って先頭を進み、あっという間に旧羅漢山に到達する。
 山頂大岩の西側は展望が開け思い出の山々が見える。冠山・大神ヶ岳・半四郎山・広見山・十種ヶ峰・・・出しゃばってはいけないと分かっていても、ついつい口に出る。(みんな優しいので、分かっていても頷いてくれている。)
旧羅漢山々頂
 Mの計画ではここからの引き返しだったようだが、時間はまだたっぷりある。引き返しを伝えればブーイング必至と悟ったか、十方山登山口シシガ谷方面へ下り、林道経由の周回コースにとあっさり予定を変更する。
 山頂からのトレースは続いている。がしばらくすると先を行くメンバーの声がする。「踏み跡が消えた。」(先行者は引き返したのか。)

 トレースを当てに歩いていた訳ではないが、トレースがあれば、うっかり辿ってしまう。(ラッセルの苦労が無い方へついつい・・・。) 
 数年前雪の中、7名かのボーダーが誤って匹見側に下り、遭難騒ぎがあったが、ここは非常に迷いやすい地点だと思う。我が家も4、5年前の積雪期に危うく匹見側に下りかけたが、早めに気づいて修正した経験がある。特徴のない平坦な尾根で、現在地の特定がとても難しい。

 今日はリーダー会のメンバーが揃っているし、GPSも4人が所持、不安はまったく無い。(奥の手のGPSは出番はないだろう。)

 消えたトレースの辺りで思案しているとMの姿が無い。こんな時にトイレ?と思ったら、見通しのいい場所でコンパスとにらめっこ。クロスベアリング法で現在地の確認か?
 確認できたのか、今までの進行方向から左(東側)に向きを修正し斜面を一気に下る。(この時点での判断の仕方を、みんなに伝えられなかったことが悔やまれると、Mの後での話だが、そこまで余裕が無かったとのことだ。) 

 迷わずMは下ったが、間違っての登り返しはイヤだ。「下りて来い。」と言われても躊躇する。他のみんなはどんどん下っている。仕方ない、置いていかれそうだ。渋々下る。
 下り立った場所はだだっ広い林の中。「あそこにプレートがありますよ。」江本さんの声にホッとする。そのうち赤テープも現れる。本来のコースに乗れたと確信する。 
恐羅漢山周回トラック図
 Mもホッとしたのか、後ろを振り返り「登山届を出しておいてよかった」と笑いながら言う。
 当然冗談と思ったので、後ろから「SOS 出してもだめよ。救助隊はここにいるからね。江本さん・池本さん・今井さん」と返答する。しかし、真面目な新入会員の井之上さんは、Mの言葉を真に受け、一生懸命赤テープを捜したそうだ。(すみません。)

 本来のコースに乗ったものの(と言っても登山道は雪の下)、まだまだ油断はできない。慎重に進んでいると下から多人数(16名)のパーティが登って来る。あぁ、これで悩むことなく下れると一瞬ホッとする。きっとリーダーのMもそうだろう。でも、もう読図も終わりだなと少しがっかりする。(好天・強力メンバー・GPS4台 読図山行には絶好の条件が揃っているのに。)
 
 こちらがホッとしたように、相手パーティもホッとされた様子が、すれ違う時に交わした言葉に表れている。出会えてお互い良かったと思う。相手パーティの苦労の蛇行を所どころ修正しながらどんどん下り、十方林道に下り立つ。
十方山を背景に記念写真 (Ksさん撮影)
 ここから単調で長い歩きが待っている。二軒小屋から駐車地までは長くて急な登りである。疲れた体には堪えるだろう。しかし超余裕で下山した池本さん・今井さんが牛小屋高原駐車場の車を、二軒小屋まで降ろしてくれるとのこと。本当に有難い。
 車のカギを受け取った2人は脱兎の如く雪道を走り去って行く。信じられない、あのパワー。私にとって目いっぱいの今日の行程も、あの2人には、物足りない山行だったかな。

 二軒小屋駐車場に帰り着き、間もなく2台の車が到着する。彼ら2人はあの坂を一気に駆け上がったのだろう。
 
 帰宅後、歩いたコースを地図の上に書き込んでみる。いつものように書き込み後GPSの軌跡を出し、比べてみる。なんど挑戦しても満点は取れない。読図は本当に難しいと思う。 メンバーにもトラック図を送る。みんなは、どうだったかな?

 リーダー会最後の担当山行を無事終え、Mもホッとしたようだ。

 
( 文・写真:斉藤(滋) トラック図:斉藤(宗) )
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu