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北海道の山 ⑦ ニセコアンヌプリ・神仙沼
神仙沼自然休養林を行く
と き  2013年7月23日 ~ 7月24日
天 候  23日 晴れ    24日 雨 後 曇り
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)               
行 程  7月23日

 札幌 ~ 小樽 ~ 湯本温泉野営場 テント泊

 7月24日

 湯本温泉野営場(6:30)~ ニセコ野営場登山口(6:45-7:00)~ 
ニセコアンヌプリ山頂(8:45-9:10)~ ニセコ野営場登山口(10:10)
~ 車 ~ チセヌプリ登山口(11:00-11:20)~ 神仙沼周回 ~
チセヌプリ登山口(12:30)~ 小樽泊
 内 容

 7月23日

 初めての北海道、張り切っていたもののそろそろ里心が付き始める。めったに来られない(最後かも・・・)のだからと欲張ってみたものの、頭の片隅で家の事、家計のことがチラつき始める。ノーテンキなMはまだ帰る気は無さそうだ。こうなったら話し合いで決めるしかない。帰りのフェーリーが小樽発なので、札幌から小樽方面に向かい、Mや娘のNがスキーで訪れたことのあるニセコの山に登ることで、なんとか円満解決。ニセコアンヌプリとチセヌプリと舌を噛みそうな山に登ることにする。
 観光客がいっぱいの小樽の街を抜け、羊蹄山を眺めながら高原の道をひた走る。さすが百名山だけあって堂々と聳える羊蹄山の雄姿は直ぐに分かる。せっかくのチャンスなのに挑戦意欲が湧かないのは情けないが、Mは数年前に登頂済みなので私のような思いはないだろう。

 今夜の宿泊地は湯本温泉野営場、北海道での初めての無料キャンプ場利用である。
 お仲間は一組のご夫婦・単独行の男性が2人、みなさん2週間以上北海道で過ごしておられるという。夕食の準備中「山口からかね?」と年配の男性から声がかかる。聞けば通りがかりに、山口ナンバーの車を見かけたので立ち寄ったとのこと。山口市阿東町の方で、毎年1ケ月北海道で過ごしておられるという。お供は一匹のワンちゃん。喧嘩も無く気ままな旅かもしれないが・・・私には無理だ。

 ささやかな夕食を終える頃、豪華なデザートが届く。埼玉のご夫婦からメロンの差し入れだ。
 ご主人が山登りの間、奥様は富良野のお花畑で楽しく待たれたという。お2人の雰囲気そのままの甘い味、美味しい!
湯本温泉野営場  夕食を終えてくつろぐ
 7月24日

 今日も快晴・・・と信じて疑わなかったニセコの空はどんより暗く小雨が降っている。連日好天に恵まれ、いつの間にかそれが当たり前と思ってしまっていた。最後の最後になって降られるとは残念だが、少しホッとするのは何故だろう?
 まずチセヌプリに登り、ニセコアンヌプリで締めくくろうと話していたが、どちらからともなく今日でおしまいにしようと決める。

 有名なニセコアンヌプリのスキー場で滑ったことのあるMは、当時のことを懐かしみ話す。
 猛烈な雪煙の中、浮遊感を通り越して地に足(スキー板)が着かず、無我夢中で滑り下りたが(?)芸北や大山のスキー場では考えられない経験をしたらしい。そんなスキー場を見てみたいが、五色温泉からの登山口は反対側で、温泉と山の家だけが建つ寂しい場所だ。駐車場は有料で雨にも負けず早朝登山を終えたパーティーが、雨具を脱ぎ着替えをしている。
 このガスではおそらく山頂まで頑張っても何も見えないだろう。昨日のうちに写真を撮っておくべきだった・・・と後悔しても始まらない。ほんの少し、あれでも・・・もしかして・・・と心掛けていたならば青空の下スッキリと延びる美しい稜線の写真を残せただろう。
     
入山届に記帳する
霧雨の中歩き始める
 登山ノートに記載し歩き始める。
 間もなく若い山ガール3人に追い越される。石ころだらけで単調な尾根伝いの登りが続くが、オトギリソウやヒヨドリバナ、名前を知らない花々がそこかしこに咲いていて慰められる。
 それにしても羊蹄山を眺めることが出来ないのが残念至極、車窓からでなく明日は落ち着いて撮れるのだからと決めてかかっていたアホな自分が腹立たしい。(いつ撮るの? 今でしょ!となぜ思わなかったのだろう。)
ヒヨドリバナ
雨に濡れる花、(クロマメノキ?)
 霧の山頂には人影が無い。《→スキー場》の標識を見て懐かしそうに→方向(南)を見つめるMだが、リフト終点の降り場がぼんやりと見えるだけと言う。
 コンクリート作りの避難小屋も霧の中。ドアを開けると壁際の椅子に先客3人、登り初めに抜かれた山ガール達だ。昨日仕入れた地元のサクランボをみんなで食べる。寂しい山頂と違い小屋の中は賑やかに話が弾む。
霧の山頂
 待っていても晴れるわけではなく、下山にかかる。登りが単調なら下りもそうだが、この悪天の中登って来る人がいる。自分達もそうであったように、山頂に行き着くことで得られる何かしらの達成感を求めているのかも知れない。

 登山口に帰り着くと雨が止む。予定を一日早め明日の小樽発23時30分のフェリーを予約する。(偶然だが、好判断の結果となる。一日遅れていたら大荒れの日本海の船旅になっていた。)
 今夜の小樽の宿もなんとか予約出来、気持ちに余裕が出来たので、チセヌプリの神仙沼散策へと向かう。湿原散策が好きな私と違い、Mは「田んぼみたいな所を歩いてどこがいい?」といつものセリフ。
 「お前一人で行って来るか?」と登山口の駐車場でなかなか腰を上げない。「私一人が行って熊に襲われたらどうするんかね?」と言えば、「お前なんか襲う熊はおらん」と言いたい放題。

 その気になってくれるのを待つことしばし、と近くに停車中の我が家と同じデリカD5の主がMに問いかけて来る。《セカンドシートの窓の網戸はどうしたのか?》という質問に嬉しそうに答えるM。夏の車中泊の悩みが暑さと蚊、いつも悩まされていた。Mがその悩みを解決しようと窓を開けても外側に網戸があるように工夫した。しかし涼しい北海道では出番が無く、一度も試さず陽の目をみないままの状態だ。良かったね、苦労の作を気づいてくれる人がいて。

 気をよくしたMに付き合ってもらい散策スタート。ダケカンバの林に続く木道を行くと湿原が広がっている。青々とした草原のそこかしこに池塘が点在し、爽やかな風が吹き渡る。
 「うわぁ 来て良かった!」と目の前の景色を素直に喜ぶ私に「田んぼのどこがいい」と言いながら、しっかりと田んぼの写真を撮っているへそ曲がりのM。
 私は絵本の中を歩いている気分で進む。チセヌプリの森に囲まれて、ひっそりと水を湛える神仙沼に辿り着く。
ひっそりとした神仙沼
湿原に咲くトキソウ
 チセヌプリの山頂には立てなかったが、もう思い残すことはない。ニセコパノラマラインを走り小樽へと向かう。

 道内1512Kを走行し無事帰路につく。
 思えば、フェリー発着の舞鶴に向かう出だしから車のトラブル(メーカーのリコール対象)が発生し、山旅そのものが危ぶまれた。三菱の舞鶴支店の迅速・親切な対応で事なきを得て、以後順調に旅を続けることが出来た。全国各地から長期滞在の人が集まる北海道。その訳が分かるような気がする。雄大な山々・何処までもまっすぐに続く道路・美味しい食べ物・往復のゆったりとした船旅(日本海を眺めながらの入浴が印象的)・・・何もかもが新鮮で驚きの連続であった。

 今、山旅を振り返れば、たくさんの笑顔が浮かんでくる。利尻で、礼文で、大雪山・・・でたくさんの優しさに出会うことが出来た。心の中に湧き上がる感謝の思い、何処にどう伝えたらいいのか分からない・・・。
文・斉藤(滋)  写真・斉藤(宗) 斉藤(滋)
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