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裏銀座~雲ノ平・高天原~読売新道《前編》
と き  2013年9月10日~9月12日 前編

       9月13日~9月15日 後編
天 候  9/11 晴れ、 9/12 曇り時々雨
メンバー  加藤洋明、田村敦子、森本俊輔(会員外)               
行 程  【9月10日】
 20:00 セミナーパーク発⇒高速道路

 【9月11日】 
 6:45 JR信濃大町駅前よりタクシー乗車 = 7:30-35高瀬ダム堰堤~
8:10-20ブナ立尾根取り付き ~ 10:30-40中休み ~ 13:30-50烏帽子小屋~
~ 14:05ニセ烏帽子岳 ~ 14:40-15:10烏帽子岳 ~ 15:55烏帽子小屋

 【9月12日】
 3:45烏帽子小屋 ~ 5:05三ツ岳北峰 ~ 7:55-8:05野口五郎小屋 ~
8:27野口五郎岳 ~ 9:00竹村新道分岐(加藤さんと別行動)~
10:45東沢乗越 ~ 11:45水晶小屋 ~ 12:40ワリモ北分岐 ~
13:10ワリモ岳 ~ 13:55-14:00鷲羽岳 ~ 15:00三俣山荘(17:30加藤着)

 読売新道の開削経緯を知って以来、いつかこのロングトレイルに挑戦してみたいと思っていた私と、裏銀座から読売新道を下る計画を長年大事に温めていた加藤さんの思惑が、私の何気ない一言から見事にマッチ。せっかくなら雲ノ平も!温泉も!と少々欲張りな秋山合宿が実行されることとなった。
 【9月10日(火)】

 20時にセミナーパークを出発。
 加藤さんのデリカD5の後部座席をフラットにして広々、快適に過ごさせてもらう。申し訳ないことに一度もハンドルを握ることなく爆睡。
 【9月11日(水)】

 加藤さんと森本さんのパワフルな運転で4:20、梓川S.A.に到着。ここで仮眠をとった後、JR信濃大町駅前で車を預け、タクシーで高瀬ダムへ向かう。
 ダムの堰堤で風に吹かれているとかなり肌寒く、早々に身支度を調えて歩き始める。ダム堤の西端、不動沢トンネルを抜け不動沢の吊橋、濁沢の丸太橋を渡ると間もなくブナ立尾根の取り付きに到着。
 本格的夏山シーズンはすでに終わっている上、平日でもあるためか、登山者に殆ど出会わない。静かな樹林帯をゆっくり登っていく。
濁沢の丸太橋を渡る
 南沢岳や不動岳が見えるようになる頃には山頂にかかっていたガスもすっきり晴れる。ベニバナイチゴやブルーベリーの実を見つけては喜び(主にオジサンふたりが)、気が付けば主稜線の2551m標高点に着いていた。
 そこから西側に僅かに下ったところにある烏帽子小屋にザックをデポして烏帽子岳をピストンする。

 燕岳周辺と良く似た雰囲気の砂礫地を、サブザックひとつ背負ってどんどん進む。
 ニセ烏帽子岳ピークに立つと目の前にドンと現れる烏帽子岳のオベリスクが本当にかっこいい。
     
烏帽子岳のオベリスクをニセ烏帽子岳より望む 後方は後立山
 烏帽子岳の頂上へはオベリスク東側の鎖場から登ることができるが、「自己責任で登ってください」との看板とおり、岩登りの技術が必要になる世界だ。
 しかし、そのいちばんてっぺんに立ったときの爽快感はこの上ない。他に登山客もなく、立山、鹿島槍、白馬等々の素晴らしい展望を満喫する。
烏帽子岳山頂からの素晴らしい展望
 烏帽子小屋に戻り、テント泊の受付をしているとテレビから明日は雲行きが怪しくなるという天気予報が聞こえてくる。小屋の前に立てば夕陽の中に赤牛岳の稜線が美しく目に映るのに本当だろうか。

 小屋から数分南に下ると砂地のテント場。小屋の周りもそうだったが、テント場にも丁寧に箒がかけられ、小屋の主人のやさしさが心に沁みる。
 加藤さんお手製のサラダやハヤシライスでお腹を満たし、きらめく星空のもとで早々に眠りに落ちる。
 【9月12日(木)】

 夜半から風が出、かすかな雨音で目が覚める。予報通りか・・・。
 1:40には起床し、あまり欲しくはないが朝食を摂ったのち、ヘッドランプを点けて出発。テント場の南にあるひょうたん池を過ぎてしばらくはガレ場が続くが、やがて歩きやすい砂礫の稜線に出ると西から吹きつける風が冷たく頬を打つ。
 三ツ岳北峰の手前で夜明けとなる。ガスが濃く、改めてがっかり。
 三ツ岳はその名の通り3つのピークからなる。地形図では三角点は本峰にあるのだが、縦走路は本峰の西側斜面を横切っている。
 ピークハンター加藤さんはきっちりピークを踏みたいとのことで、視界不良の中、岩とハイマツで踏み跡が不明瞭なピークへのルートをうろうろしながら進んでいく。
 行く先が不安になった私と森本さんは途中で来た道に戻る旨を告げ、縦走路を南に進んで西峰との鞍部で加藤さんを待った。が、しかし・・・遅い。
 悪い考えが頭をよぎったりもしたが、意外な所から加藤さんがひょっこり現れ胸を撫で下ろす。迷った挙句に三角点が結局分からなかったようで、時間をロスしただけの三ツ岳通過だった。
 三ツ岳と野口五郎岳の間は二重山稜が発達した地形で、ペンキ印も少なく、もう少しガスが濃ければ迷うかもしれないな、と思いつつ黙々と野口五郎小屋へ急ぐ。
 小屋で一息いれた後、誰もいない野口五郎岳でお互いに記念撮影をし、真砂岳はピークを巻いて竹村新道との分岐へ。ここで南真砂岳(日本百高山)のピークハントに行く加藤さんと別れて森本さんとともに縦走路を進む。
東沢乗越への岩稜を登る
 痩せた尾根に岩塊が積み重なった箇所(特に左側は切れ落ちている)を慎重に通過。水晶小屋のある赤岳へのザレた急坂を疲れた身体に鞭打って登りきり、やっと気が休まる。
野口五郎~真砂岳~東沢乗越~赤岳への稜線9.14撮影
 にわかに人の増えた水晶小屋からさらに南下。相変わらず何も見えないのでひたすら自分を励まし歩くのみ。ワリモ岳を過ぎてすぐに頑丈なロープがつけられた場所をドキドキしながら通過するといよいよ鷲羽岳への最後の大きな登り。
 疲労もピークでのろのろ歩く私を森本さんが励ましてくれるのだが、どうにも歩みが遅くて迷惑をかけてしまう。
 なんとか鷲羽岳の頂上に着いた時は、念願の山の頂上に立てたことが素直に嬉しかった。
 8月に北ア大縦走をした中村さんは混雑していたと言っていたが、ありがたいことに今日は私たちだけの静かな鷲羽岳山頂。展望はまったくないが、幸せな気分に浸る。
鷲羽岳山頂にて
 三俣山荘まであとは下るだけ。15時頃から本格的な雨になる予報だが、その前にテントが設営できそうだ。
 山荘で幕営手続きをしていると、ガスが切れて遠くに硫黄尾根が見えたり隠れたり。完全にガスが消えることはなかったが、予想に反して天候が大崩れしなかっただけでも良かったと思う。

 私たちより2時間半遅れて加藤さんも無事にテント場に到着。わざわざ時間をかけてピストンした南真砂岳は山頂が崩壊していたようで「無意味だった」と嘆く加藤さんの元気に感服させられっぱなしだった。
トラック図
文、トラック図:田村、 写真:加藤、田村、森本
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