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大万木山(島根県飯南町)
輝く若葉
山行日  2014年5月16日
天 候  晴れ
メンバー  三浦(比) 斉藤(宗) 斉藤(滋) Ks・Iy(会員外)
行 程  宇部(5:00)~中国道・R54~ 登山口(9:20-9:40)~地蔵尊展望台
(10:50-11:00)~ 大万木山頂(11:38-12:05)~渓谷コース分岐
(12:24)~位出台渓谷小屋(13:07)~ 登山口(13:51)
 「骨折が治ったら何処か泊まりがけで出かけましょう。」あいつぐ怪我で挫けそうになる気持を支えてくれた、山仲間のこの言葉。「今度怪我したら俺はもう知らんぞ」荒々しいMの言葉とは大違いだ。
 重い荷物は担げないがようやく登れそうな気がしてきた。ご厚意に甘えて泊まり山行に付き合っていただこう。
 松江道が無料の間に走っておこうと三瓶山と大万木山のセット山行を計画する。どちらも長い間ご無沙汰の山だ。ワクワクしながら出発の朝を迎える。

 道路地図とにらめっこのMが「松江道を行くより下道を行く方がいいな」と言う。
 まだ走るチャンスがない松江道を楽しみにしていたが、なるほどMの言う通り54号線経由の方が良さそうだ。前回(15年前)は岡山の山友達から「島根に出張するので、三瓶山に付き合って」と誘いがあり、盛夏まっただ中(8月)の過酷な三瓶山、大万木山登山となった。
 頓原の道の駅で待ち合わせたが、その時買った特大の桃の味が忘れられない。炎天下の登山でバテ気味のメンバーを救った、あの特大の桃の話は山仲間内では語り草となっている。5月では桃は無いだろうが下山後に懐かしい道の駅に寄ってみたい。
 休日でもないのに大万木山登山口の駐車場には数台の車、登山者が既に歩き始めている。大げさにザックに2つも鈴をぶら下げて来たが、これでは熊には出会いそうもない。
 今日は前回、通行止めで登れなかった滝見コースを行くとしよう。久しぶりに1000m超えピークに挑戦とあって、不安と期待が入り混じる。
 遅れないよう気合いを入れて・・・と歩き始めたが、次から次へと現れる野の花に目が行き足が停まってしまう。見たことがあるような、ないような可憐な花々・・・。早速帰って名前を調べよう。(と思うのだが、殆んど調べたためしがない)
イチリン草
 沢沿いの道をウグイスやホトトギスの鳴き声を聞きながら進み、小さな滝(権現滝)を左に見る。
 岩間からの清らかな流れが爽やかな風を運び、空気が美味しい! 見上げれば、覆いかぶさりそうな新緑の樹々。PM2.5とは無縁の別世界だ。なんて贅沢! 宝石も高価な服も持っていないが、これ以上の贅沢は無いと心底思う。(継ぎはぎだらけの登山ズボンとシャツで大海山に登る年金生活の身だが)新緑の中に続く小道、前を行くメンバーも後ろから来るメンバーも、そのまま緑色に溶け込みそうだ。
新緑のトンネルを行く
 そろそろ水分補給をしたいと思ったらグッドタイミング、お地蔵様の祠がある広場に飛び出る。
 荷を少しでも軽くするチャンス、遅れを取らないよう素早く持参のおやつを出す。(遅れを取ると最後まで担ぐはめに・・・)保冷バッグに冷凍したペットボトルと入れていたので3流のメロンも冷たく美味しい。比呂子さん、Iyさん、お先に荷を減らさせていただきすみません。(この後、山行後半の休憩タイムにはキュウイ、手作り寒天・・・等々美味しいおやつが続々)
地蔵尊展望台で一休み
 緩やかな登りのブナ林が続き、青空に輝く若葉をついつい見上げてしまう。
 こんな時は要注意・・・と慌てて足元を見ると傍らに見たこともない白い花。前を行く男子2人は話に夢中のようでまったく気づいていない様子。「この白い花見た?」と声をかけると後ろから「あっ! サンカヨウ」とIyさん。えっ!これがサンカヨウの花・・?と突然の出会いに少し戸惑う。(大万木山のサンカヨウはかなり有名と帰宅後知る。サンカヨウという花を最近教えてくれた友の話を間違って記憶してしまい、6月頃の花で別の山に咲くと勘違いしていた)Iyさんは見たことがあるそうだが、大万木山でも咲くとは知らなかったようだ。
初めて出会ったサンカヨウ
 思いがけない出会いに感激し、1本のサンカヨウを取り囲み撮影していると、辺り一面サンカヨウの群落だとようやく気づく。
 小さな蕾をつけているものの、まだ少し早いようで葉と同じ緑色のため見過ごしてしまっていた。よくよく見ると所々しっかりと開花し、純白の可憐な花びらをみせてくれている。休日でもないのに・・・と思った多くの登山者のみなさん、きっとこの花がお目当てだったのだろう。
山頂間近のブナ林を行く
 山頂避難小屋を通り過ぎ、山上台地を進み広々とした山頂(標識)に到着する。
 沢山のグループがそれぞれ思い思いの場所でお弁当タイムを過ごしている。
 15年前の山頂は、木立に囲まれただけのこじんまりとした寂しい佇まい、登山者も自分達だけだった。いろいろな種類の蝶だけが賑やかに飛び交っていたのを思い出す。
 その後の登山ブームで訪れる人が多くなり、公園のような山頂になったのかもしれない。
大万木山々頂
 下山は大きく周回して渓谷コースを下る。
  前回登ったコースだがほとんど覚えていない。(1996年発行のガイド本《島根県の山》による渓谷コースと、今回のGPSの軌跡はかなり違っている。山頂近くのコースが、いったん草刈峠方面へと変更されたようだ)
大万木山周回トラック図
 さすが1000m超えの山とあってシーズンを過ぎたはずのコシアブラが目に入る。丁度食べ頃とあって気にかかるが、摘まれた後に必死に伸びている芽を摘む気にはなれない。来シーズンを楽しみに待つとしよう。
渓谷コースの避難小屋
 渓谷コースの避難小屋を過ぎ、権現・滝見コースへと繋がる横手コースに入る。
 山腹をトラバースしてアカマツの森を抜け朝の登山口に帰り着く。真っ白なサンカヨウをはじめ沢山の花々と新緑に出会えた15年ぶりの大万木山。身も心も緑色に染まったような、優しく大らかな山だった。
( 文・写真 斉藤(滋)  トラック図・ 斉藤(宗) )
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