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雪の比婆山敗退記
笹尾根方面の霧氷
山行日  2015年1月3日
天 候  曇り時々晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  県民の森公園センター(9:00)~ スキー場・管理道分岐(9:15)~ 
管理道終点(12:45-12:55)~ 県民の森公園センター(14:25)
 内 容
   昨年は正月早々比婆山で怪我をして、雪山シーズンを棒に振ってしまった(Mも巻き添えで共倒れ)1年ぶりに取り出した木製のワカンにMがアマニ油を塗ってくれたが果たしてラッセル出来るかな? 不安>期待の状態で新年を迎え、例年通り比婆山へ出かける。

 風邪気味で留守番のNを部屋に残しMと2人で公園センターを出発する。
 年末から降り積もった比婆山スキー場の積雪は1mを越し、家族連れのスキーヤーやボーダーが行き交う中、違う出で立ちで歩き始める。例年見かける数人の登山者がまったく見当たらない。トレースの無い毛無山、出雲峠への林道を右に見送りスキー場方面に向かう。

 スキー場手前の分岐に到着、左に管理道が延びている。秋に熊野神社から入山し竜王山、立烏帽子、池ノ段を経て越原越え(おっぱらごえ)から下って来たあの時の管理道だ。
 今日はこの管理道に入り、終点から越原越え付近の主稜線まで登り、御陵を経てスキー場へ下る予定だ。此処までしっかりと圧雪された道を苦も無くやって来たが、降り積もった雪がそっくりそのまま盛り上がったように延びている管理道は、誰も寄せ付けない雰囲気だ。トレースは無いと覚悟していたが、かなり厳しそう・・・。
ラッセル開始
 ワカンを装着し大きく一歩踏み出す。
 いきなりの膝上ラッセル、一歩一歩が深く重い。夢描いた快適なラッセルとは程遠いノロノロ前進、今の内に引き返し慣れた毛無山に転戦すべきか・・・。
 「行けるかねぇ? 止める?」弱音が今にも口から出そうだが、Mが黙って後ろに付いて来る。このまま行くしかない。ラッセルは嫌いじゃないが、3人で交代がNの不参加で2人きりになり正直きつい(いつの間にかNもラッセル要員になっていた)
まだまだ余裕(?)
延々と続く雪道
 行けども行けども同じような景色が続く。
 無理をしないで100歩毎の交代ラッセルを繰り返す。秋に鼻歌交じりで歩いた道を喘ぎながら進む。
 このペースでは越原越えまでが関の山か・・・と内心思う。運が良い事に今までは、家族だけの弱小パーティーながら、毛無山、烏帽子山、御陵など順調にピークを踏んでいる。考えてみると程々の積雪であったり、途中まで先行者のトレースに助けられたりでラッキーだったと気づく。
 予想以上の積雪、Nの不参加で改めて自分たちの力不足を実感する(いつまでも若くない・・・)
     
頑張るM
 いつの間にか時間が経っている。せめて越原越えまでは・・・の思いも萎えて来る。
 もう着く、もう着くと進んでも一向に林道終点に行きつかない。人間の記憶とはこんなにも当てにならないものか(多分私だけだろうが)「あっ! 今度こそ終点は近いよ。だってあの木見覚えがあるもん」と何度Mを喜ばせ、ぬか喜びさせてしまっただろう。(ごめん。また記憶違い) 
     
Gも頑張る
 「やっと着いた!標識が見える」Mの言葉に顏を上げる。
 100歩交代を50歩交代にしてとうとう辿り着いた林道終点。あたかも目的地に着いたような安堵感を覚える。
 懐かしい標識の傍で記念写真に納まる。雪の深さを測ろうとストックを刺すとスッポリと埋まる。ここからが本格的な山道、標識によれば越原越えまで800m、時間的に無理だが行ける所まで行くのか? 
林道終点に到着
 「此処で終わりにしよう」Mの決断に頷く。
 無理もないと思う。林道ですら悪戦苦闘なのに、傾斜のある山道に挑んでも時間切れは必至だ。比婆山での記念すべき(?)敗退!終点の先に広がる厳しい光景をしっかりと心に刻みUターンする。
帰り道はのんびりと
 初めての敗退に足取りも重くなる。
 雪山の最大の楽しみである下りのショートカットも今日は無し。忠実に往路を引き返す。
 気づけば行動食も殆んど口にしていない。自他共に認める食いしん坊が食べる事も忘れラッセルしたとは。腰は下ろせないが一休みして温かい物でも口にしよう。目の前は笹尾根か霧氷が美しい(せめてもの慰め)
伊良谷山方面が見える
 1シーズンのブランクを経て挑んだ比婆山だったが敢え無く敗退。改めて雪の怖さを知る。
 力不足と分かっていても登れなかったショックは大きく、雪山がドンドン遠のいて行くような寂しさ・・・。こうなったらもう一度初心に返るしかない。初めて雪山に挑戦した日を思い出しもう一度出直そう。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗)・斉藤(滋) )
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