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深谷峡~甲羅ガ谷左俣(錦川水系)
山行日  2015年8月29日(土)
天 候  晴れ後雨
メンバー  内田、鹿野(会員外)
行 程  山口~山口IC~六日市IC~向峠に駐車~深谷温泉郷から入渓(6:10)~大堰堤(6:30)~
深谷大橋下通過(7:10)~ドードーの滝入口(7:45)~堰堤(9:10)~甲羅ガ谷橋(9:30)~
休憩~金山谷登山口(9:55)~甲羅ガ谷に入渓(10:00)~(10:10)F2(11:05)~
(11:20)F6(11:50)~三俣(12:00)~(12:05)F8チムニー(13:10)~登山道(13:45)~
小五郎山山頂(14:30)~向峠(15:15)~六日市IC~山口IC~山口
 大型の台風15号が過ぎた週末、4日前の台風による降雨の影響がどれくらい残っているか不安は残るものの、沢に行くことにする。
 行先は前から気になっていた深谷峡。それに加えて、今回、鹿野の提案で甲羅ガ谷左俣への継続遡行をすることとなった。
 入渓地点である深谷温泉郷に荷物をデポし、向峠に車を停めてから戻る。
 朝の気温はかなり涼しくなっており、ジョギングには最適だ。
 入渓地点では沢靴を履いた人と出会ってびっくり。聞けば、オオサンショウウオを見るため沢に入っていたとのこと。少し話をしてから入渓。
 岩に付いた苔や草が水に浸かっていることから判断するに、平水時より10cmは増水している印象。大きな岩の間を激しく水が流れている様子はなかなか迫力がある。
 台風の大水の影響か、水質は非常に良く、岩もきれいに洗い流されているようだ。
 反面、水温は低く、水量が多いので渡渉にいちいち時間がかかる。そのため中盤以降は鹿野が走りだし、ついて行くのが精一杯。
 ドードーの滝の入口に辿りつくまでに、じわりと体力を消耗してしまった。
大堰堤
 蛇ノ谷との出合を過ぎたところがドードーの滝入口だ。
 水の流れが白く泡立ち、激流と化している。
 岩の上を歩けば何ということもないが、あくまで水線を進む。遡行図に表記がない入口の滝とそのすぐ上の滝も、今回の水量ではなかなか厳しく、体温を奪われる。
ドードーの滝入口の次の滝
 次のドードーの滝F1は泳いで左岸から上がり込む。F2も直登できないため、そのまま左岸の岩上を進んだ。
 その奥の滝も泳いで滝の右に取付いたものの、荒れ狂う目の前の激流を越えることができず、滝の落ち込みを狙って右岸に渡る。
 水と空気が激しく攪拌され、真っ白になった落ち込みに飛び込むのは覚悟が必要。
 取付く前に流されれば、F2下まで落ちかねないので、ロープを結んで激流を渡った。全身を張りつめさせ、必死になって難所を突破する感覚が面白い。
滝の落ち込みに飛び込む
 そこから右岸を高巻き、滝の少し上に懸垂で降り立ったら、再び沢の中を進む。左手に尾路地谷の出合を過ぎると、両岸から幾筋もの細い滝が流れ込む幽玄の空間が美しい。
 その後、何度も水に浸かりながら、最後に廊下を抜けると堰堤が現れた。ホッと一安心。
激流の奥に幽玄の空間
 そのまま遡行を続け、甲羅ガ谷橋で一旦休憩。
 たまたまお会いした地元のおばあさんに挨拶してから、甲羅ガ谷へ向かう。
 金山谷の登山口からオンドル跡へ進み、沢に降りた。
 すぐにF1フェース状5mとF2スラブ&樋状20mが現れる。これから登攀の連続だ。
 F1をフリーで越えた後、F2下部は右岸のスラブを進み、中間部の滝の落ち口からロープを出した。慎重にカムで支点を取りながら右岸から左岸へ移り、最後は水流の中にカムを突っ込みながら進む。
 思ったよりも上部が長いので、カムが足りなくなるとドキドキしながらF2を抜けた。
     
F2はスラブを進んでここから滝に取り付いた
 下部に倒木のかかったF3はスラブを避けて右岸から巻くと、F4の上に出てしまった。少し心残りだが、気を取り直して先へ進む。
 F5幅広のフェースは好きなところを越え、F6スラブ状20mでロープを出す。下部で右岸の立木を支点としたが、スラブに戻るのが怖いので、無理しない方が良かったかもしれない。ただし、その場合でも中間のクラックに突っ込んだカム以外は支点がとれない。
     
F6スラブに苦労する内田
 気づかないままF7を過ぎると三俣となる。手前右はガレ沢で水流はない。
 その左奥が右俣と左俣の分岐となり、水流は2:1で右俣の方が多い。右俣の奥にはF8からF10下部が見える。
 ここは予定通り左俣へ。奥には水流がⅤ字滝となっているのが見えるが、近づいていくとその大きさに圧倒される。
右俣と左俣の分岐
 見たところ簡単そうに思えたが、ここはロープを出して鹿野がリードでいく。
 巨大なV字滝の水流の中に支点をとりながら、じわじわと着実に進んでいく。
 中間の核心を見事なクライミングムーブで抜けた後、水の流れる右ではなく、そのまま涸れたガリーを直進。ガリー突き当りの岩を乗り越すところが最後の核心か。終了点としたところまで50mロープでぎりぎりだった。
 セカンドで続くと、見た目と違って非常に厳しい。中間まではフレアーしたチムニーのため、ザックやギアが邪魔をする。
 西中国山地の沢にはファジーな岩登りと書かれていたが、まさにその通り。中間と最後の核心では、泣きそうになりながら、全身を使って身体をずり上げた。
チムニー状のⅤ字滝
渾身のムーブで核心を越える鹿野
 核心の滝を越えても、滝は続く。
 雨の降る中、どんどん先を行く鹿野に遅れまいと必死になってついて行くと、ようやく登山道に出会った。
 ここで装備を解除して靴を履きかえる。一休みしてから、小五郎山山頂へ向かうが、疲労で足が上がらない。ボロボロになりながら、鹿野に遅れて山頂を踏んだ後、向峠まで一気に下った。
 今回、激流系となった深谷峡と登攀系の甲羅ガ谷、どちらも難しかったが、覚悟を決めて難所を突破することで、素晴らしい遡行をすることができた。
 抜群の体力と技術で引っ張ってくれた鹿野さんに感謝したい。
( 文:内田、写真:内田・鹿野 )
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