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櫃ヶ山(岡山県真庭市)
山行日  2015年10月12日
天 候  曇り時々小雨
メンバー  斉藤(宗) 斉藤(滋)
行 程  舞鶴若狭自動車道 西紀SA ~ 中国道 ~ 米子道湯原IC ~ 櫃ヶ山久納登山口
(9:40)~ 林道交差(10:15)~ 天狗の森分岐(11:35)~ 天狗の森(11:50)~
 天狗様本堂往復 ~ 櫃ヶ山々頂(12:40-13:10)~ 大庭皿集落跡(14:40)~
 登山口(15:10)~ 湯原IC ~ 米子道 ~ 蒜山IC ~ ペンションS(泊)
 火打山雨飾山からの帰り、寄りたい所があって中国道から米子道に入る。
 目的は蒜山高原にあるペンションSを訪れることだ。初めて泊まったのはまだ現役で仕事をしていた頃で、厳冬期の下蒜山と中蒜山に登った時だ。その後も蒜山、毛無山、櫃ヶ山、星山など山仲間と登るたびに宿泊しお世話になった。
 奥様の手作り料理が美味しく、山ではなく「ペンションSに行こう!」と言っては出かけたものだ。しかし7年前家族でお世話になってからはご無沙汰続き、久々にお元気な姿にお会いしたい。

 突然の連絡にも関わらず気持ちよく宿泊OKを頂いた。よしっ! 蒜山縦走して元気なところをお見せしたい・・・といきたいところだが無理は止そう。まだ2人共症状は出ていないが、火打山と雨飾山の疲れから何時かみたいに足がパンパンに腫れたら困る。櫃ヶ山なら大丈夫だろう。クールダウンには丁度いい山だ。
櫃ヶ山周回 トラック図
 湯原ICで高速を下り、記憶を辿って久納登山口へ向かう。3連休最後の日、登山口駐車スペースには先行者の車が3台停まっている。遅い出発なので追いつくことはないだろう。
 天候はスカッとしないが大した崩れはなさそうだ。地元のおばあちゃんと挨拶を交わし山道に入る。暫くの登りで記憶に無いアスファルトの林道に飛び出る。新しく出来たのだろうか、Mが早速GPSに入力する。
 林道を横切ってからは記憶通りで櫃ヶ山ピークを背にトラバース、目的地からドンドン遠ざかって行く。(ように思える。前回は少し不安だった記憶がある。)登山道は一気に高度を上げないで少し回り道して緩やかな尾根に上がる。

 主尾根に取りついて間もなく5合目の標識が現れる。尾根を覆う背丈ほどのカヤが一直線に刈られ急坂を駆け上がっている。が2人共駆け上がれない。一歩一歩踏み出すのがやっと、なにしろ急なのだ。溜息が出そうなので上は見ないことにして、ゆっくりだが休まず進む。
 狭まった登山道が急に開けたと思ったら6合目、櫃ヶ山の山頂が見える! 一休みしよう。
山頂が見えて来た
 再び林の中を行く。朱く色づいた実が可愛くぶら下がっていたり、大げさに塊になっていたり(何でも程々がいい)ガマズミ? オオカメの木? うろ覚えの名前が思い浮かぶが、一つとして確かな答えが出ない。以前はこんなじゃなかったが、記憶装置が作動しなくなって教えてもらっても、本で調べても、その場限り。嫌なこともこれ程さっぱり忘れる事が出来るといいんだが。

 ←銀令水、↑櫃ヶ山、→天狗の森、の三叉路に到着。銀令水って美味しいかな? 興味はあるが今は渇水期、お茶は十分持っているし今回はパスしよう。↑と直進すれば時間短縮できるが遠回りでも天狗の森を歩きたい。カヤトの山には珍しい原生林が待っている筈だ。
天狗の森に向かう
 864mピークを巻くようにコンター沿いに進む。明るい尾根道と対照的にブナ、ミズナラが立ち並ぶ森の中を行く。
 天狗の森の案内板がひっそりと立っている。この森にいるのは二人だけ、誰一人出会っていない。
カツラの巨木
 この静けさに姿は見えねど天狗様がおられるのではと有り得ない事を想像してしまう。(少し緊張)
 傍らに建つ古い小屋を覗くと特大の下駄が置いてある。(天狗様へのお供え?)標識に誘われ天狗様本堂にも立ち寄って見る。石ころだらけの悪路を辿ると垂直の岩壁を背に小さな祠がポツンと建っている。大きな下駄に小さな祠? 昔話の世界に入り込んだような妙な気分だ。 
天狗様の下駄?
 少し登り返しメインルートに合流する。山頂は目の前だが苦手な階段が続いている。
 空模様が怪しくなって気持ちは急げど足はおっとり、降らない内に登りたい。
もうすぐ頂上
 ようやく辿り着いた山頂はどんよりとした曇り空、人影もない。
 いつも楽しみなピーク捜し(大山、蒜山など)もせずポツポツし始めた空模様を気にしながら急いで行動食を口にする。晴れていればゆっくりと休み、大展望を楽しむのだが。
星山(左奥)へと続く稜線
 下山は往路とは反対方向、星山への縦走路に入る。有難いことに雨は大降りにならないまま上がりそうだ。
 笹原の縦走路を下り鞍部から竜頭の滝方面に方向チェンジ、いきなりの急坂を木に掴まりながら下る。色づき始めた広葉樹の穏やかな林に心安らぎ、大好きな中国山地の山に帰って来たとホッとする。
キノコ発見!
 しっかりと踏み跡はあるものの所々荒れた下山道は以外に長い。
 足場を流れる水、朽ちかけた丸太橋、暗い植林帯と悪路は続くが黙々と下る。往路で出会った林道をここでも渡りまだまだ下る。
 ようやくあちこちに古いが立派な石垣が現れ始める。見覚えのある崩れかけた古い土蔵を見ながら廃墟と化した大庭皿集落跡を通過する。こんな山の中でどのような生活があったのだろうか? 
大庭皿集落跡を通過する
 やっと竜頭の滝分岐に到着。「もう滝はええじゃろ」のMの提案に即同意する。確かあまり大した滝じゃなかったし、そのあとの車が走る国道歩きはごめんだ。分岐を左に取り平坦な山道を歩き出発地の久納登山口に帰り着く。

 ペンションSは蒜山ICからほど近い。秋の行楽シーズン、今朝までは大忙しだった筈だが変わらぬ笑顔で迎えていただく。
 我が家一組のために用意してくださったお風呂に入り、夕食のメインすき焼きをいただく。珍しいギンシメジは敷地続きの林で見つけたとのこと。美味しい!
 7年ぶりの再会に話が尽きないが、「この山旅で、あっち、こっちの温泉に入りましたが、今日のここの風呂が最高です。本当に気持よかった!」のMの一言に場が和む。10日間の山旅を締めくくる、嬉しい再会だった。
( 文:写真 斉藤(滋)  写真:トラック図 斉藤(宗) )
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