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大海山(亀尾山新コース)
ミニゲレンデから大海集落を見下ろす
山行日  平成28年6月14日(火)
天 候  晴れ
メンバー  斉藤(滋)
行 程  大海山砂防公園駐車場(10:15)~ 勘十郎岳(10:50-11:05)~ 
直登コース分岐(11:50)~ 大海山々頂(12:20-12:40)~ 
大望岩(12:50-12:56)~ 台道登山口への分岐(13:00)~ 
台道登山口(13;45)~ 上新館橋(14:00)~ 秋穂30番札所(14:25)~
大海山・勘十郎周回コースに合流(15:05)~ 大海山砂防公園駐車場(15:48)
 最近、魚釣りに夢中のMは梅雨の天気と暑さを理由に山に出かけようとしない。毎日釣りに出かける訳ではないが、自宅で釣り道具作りに没頭して、いくら山へと誘いをかけても暖簾に腕押し、心は完全に海に向きっぱなしだ。
 このままでは筋力がどんどん落ちてその内登れなくなるのではと不安になる。よし! それならば久々に単独行!と格好よくいきたいが悲しいかな気力も体力も落ちた現実に大見得をきることが出来ない。こうなったら仕方ない、近場の大海山ならなんとか歩けそう。意を決して(オーバー?)一人で出発する。
 大海山の砂防公園駐車場には今日も沢山の車が並んでいる。
 暑くなったこの時期、遅い出発は私だけと思っていたが一台の車がやって来てモタモタ準備の私をおいて出発された。私も後を追って勘十郎岳へと向かう。と傍らの白い花が目に飛び込んで来る。
 クチナシの真っ白い花が素通りさせない。そうだ今日は1人、時間制限も無ければ追いつく必要もないんだと早速カメラを取り出す。甘い香りが仄かに漂う。ふと足元を見ればオカトラノオも咲いている。こんな状態では先に中々進めない。
 
 勘十郎岳山頂の手前で山口山岳会のNさんとすれ違う。もう大海山から周回して来られたようだが「あれ?今日はご主人は?」と訊かれる。「魚釣りに夢中で付き合ってくれないんです」と答えると心配そうに立ち止まって振り返っておられる。
 久しぶりの登山で、すでにヨレヨレ状態(なにしろ暑さに弱い)の私を見て心配してくださってるのだろうか。どうにか勘十郎岳に到着し大休止する。
 先行のご夫婦はすでにお弁当を開いて美味しそうにオムスビをほおばっておられるが、「今日は1人ですか?」と声をかけられびっくり! 私は物覚えが悪く、何度かお会いしても覚えられないがみなさんは凄い。もっとも白い髭のおじさんといつも同じ服のおばさんコンビは目につきやすいのかもしれない。
 勘十郎岳から下っているとまたまた常連のKsさん、Knさん一行に出会う。訊かれる事は同じで「1人です」と答えると「単独行ですか。加藤文太郎ですね」と冷やかされる。数年前まではお互い1人で来ることもあったが今は《2人で1人前》の状態なので、半人前だと??と思われるのかな。
あちこち咲いている可憐なオカトラノオ
 展望の開けた中岳を通過しやっと大海山への主尾根に乗る(三叉路)右折すればいつもなら15分の頑張りで山頂だ。が此処には以前から気になっている標識がある。
 山頂とは反対方向に案内されている《←直登コース亀尾山へ》の標識だ。直登というからには岩場など急峻な地形を一気に登るイメージだが、歩いた人の話ではアップ、ダウンもあり時間もかかるとのこと。ミーハーの私はそれでも一度歩いてみたいと思っていたが、Mがまったく興味を示さず未踏のままだ。そうだ、またと無いチャンス! 今日は歩いてみよう。

 標識通りに山頂方向とは真反対(北)に尾根を行き間もなく右折、晴天にも関わらず暗い林の中の踏み跡を慎重に下る。かなりの急坂だ。下りきった辺りから予想通り今度は右(南)に方向転換、小さな流れに沿って緩やかに登って行く。
 暗い谷間のジメジメした雰囲気の中、踏み跡を外さないよう進むが、大海山を初めて登る登山者が直登≒近いと判断してこのコースに踏み込めばドキドキするかも知れない。
 ノーマルなルートならもうとっくに山頂に着いているなと暗い林の踏み跡を登る事しばし、ようやく前方が明るくなる。大海山々頂に到着だ。所要時間はいつものコースの倍。これといった目新しい物を見つける事もなく私が抱く《直登コース》のイメージとは違っていた。「あなたの予想が当たっていたよ」とMには報告しよう。歩いたからこそ分かった事だけど。
ジメジメした沢沿いをたどる
 山頂でお弁当を食べていたら携帯が鳴る。珍しいMの「大丈夫か?倒れちょらんか?」の気遣いに、いくら誘っても付き合ってくれなかったくせに今さらと「元気、元気」と返事する。2時間以上もかかってヨレヨレで着いたと言いたくない。「下山は台道コースを下るよ」と最近出来た新コースに挑むことを告げると「年なんじゃから水分摂って熱中症に気をつけよ」と来た。確かに今日は暑い!

 食後のフルーツのスイカで元気回復、お不動さん方面コースへと下山を開始する。
 間もなく今から下る台道コース分岐に到着するが少し寄り道しよう。そのまま不動コースを少し下って大望岩(通称)に寄ってみる。
 常連のKnさんがこの岩場を見つけ藪刈りで道をつけ、大望岩と名づけたのがAさん、「初心者の岩トレ場にいいかも」と我が家に情報提供はKsさん。大海山3大常連さんが目を付けたこの岩場にはMも大いに興味を持ったようだ。
 高所恐怖症の私でも、ここならトレーニング出来る(ホールド、スタンスがいっぱい)と思ったのかもしれない。岩場の基部へ下れるようにMと2人で数日通い、せっせと藪刈り作業(自宅の庭は狭くても草ボウボウなのに)どうにかゲレンデぽくなって来た。此処ならこっそり初歩の初歩的トレーニングが出来そうだが未だ実現はしていない。
大望岩のミニゲレンデ
 分岐まで引き返して台道への新コースに入る。
台道への分岐標識
 すでに歩いたKsさんの話では山口市と防府市の境界尾根を下って行く展望の無いコースだそうだ。
 境界杭などの作業道なのか所々踏み固められて歩きやすい場所もあるが、利用者が少ないのか不安定な足場もあり快適とはいえない。
 帰るべき方向とはま反対にまったくひと気が無い尾根を下りながら、こんな所で怪我でもしたら誰にも気づかれないと慎重に歩を進める。1ヶ所防府側に展望が開けたが同じような林の景色に飽いてしまう。それにしても長い下りだ。
時々歩きやすい所もある尾根道
 少し前方が明るくなった。藪っぽい小道から飛び出ると目の前に田んぼが広がっている。あまり期待出来そうに無い新コースにチャレンジしたのも、この瞬間の光景を見たかったからかもしれない。
 下山地点はどんな所でどんな景色が待っているのだろう? 一度は自分の目で確かめてみたい私は典型的なミーハーだ。いろんな情報を得ても地図を見たり他の人の話を聞いてすぐに飛びつかないMとの違いだ。
下山地点は田んぼ
 畦道を歩いて新館橋の所でトラックが行き交う25号線に出る。
 真夏のような日射しの中トボトボ歩き秋穂30番札所入口に向かう。振り返れば歩いたばかりの新コースの尾根が見えている。大海山に登り始めて新たに開かれた立岩コースや仏岩コースはそれぞれ見どころがあって何度も登ったり下ったりしているが、正直言って今日のコースをもう一度歩く気力が今は湧いて来ない。
 物の価値観は人それぞれで一概に決めつけることは出来ない。きっと労力をかけ一生懸命整備された方はそれなりの目的と思いがあったのだろう。この新コースにも関心を示さなかったMの顔が思い浮かぶが、私は未知のコースを歩いた事で気が済み満足する。
 熱いアスファルトの25号線から離れ再び山道へと入り30番札所に辿り着く。
秋穂30番札所で一休み
 保冷バッグから冷たいトマトを取り出し、かじりながら帰りのコースを考える。秋穂道の駅に出れば平坦だが炎天下の県道歩きになる。木陰の登山道を大海山の一般登山道に登り返し砂防公園まで帰る方がいいだろう。
 疲れた体に登りは大儀だが時間制限はないのだからとマイペースで歩き始める。途中、周りの藪を整備したら見事になった桜の巨木に再会する。思い切り枝を広げた緑いっぱいの姿に嬉しくなる。さぁ頑張って登り返そう。
疲れを癒してくれる花
 砂防公園駐車場まで帰ると愛車ミニカがポツンと待っている。午前中ほぼ満車だった車はおそらく昼過ぎには消えていただろう。常連のみなさんは毎日のように2時間足らずで周回されお昼には帰って行かれるが、時計を見ればもうすぐ4時。少し遠回りしたとはいえ、よくもまぁのんびり歩いたものだ。
 大海山に次々に現れる新コース、どのコースが残り、どのコースが消えていくのか・・・訪れる登山者が決めていくことだろう。
( 文・写真  斉藤(滋) )
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