へのリンク
南アルプス(北岳・間ノ岳・塩見・荒川・赤石・聖岳)縦走
その③ 中岳避難小屋~赤石岳~百間洞山の家~聖岳~椹島~静岡
日 時  平成28年7月21~23日
メンバー  福山 清二
行 程  7月21日(中岳避難小屋~荒川小屋~赤石岳~百間洞山の家):天候 晴
中岳避難小屋 7:30~荒川小屋8:50~赤石岳13:00~百間平14:50~
百間洞山の家15:30(泊)

 7月22日(百間洞山の家~中盛丸山~兎山~聖岳~聖平小屋):天候 曇
百間洞山の家3:00~中盛丸山6:20~小兎岳8:20~兎岳9:50~聖岳13:20~
聖平小屋16:00

 7月23日(聖平小屋~聖沢登山口~椹島~静岡~厚狭):天候 雨のち晴
聖平小屋3:00~吊橋5:00~聖沢登山口8:20~送迎バス~椹島10:00~椹島13:00~
送迎バス~畑薙第一ダム14:25~静鉄バス~静岡17:40
 内 容

 7月21日

 荒川中岳避難小屋2階で朝を迎えた。窓から悪沢岳その向こうに朝焼けの雲海が見えた。屋外に出たら頂上方向に綺麗な満月がくっきり、幻想的な光景に嬉しくなって避難小屋とペアで撮った。
 富士山が見えるとの声にその方向を写したが朝焼けの雲海ばかりで富士山が見当たらない。よく見ると雲海に埋もれる感じで富士山があった。もちろん富士山の方が700mも高いので錯覚なのだが不思議な気がした。
中岳避難小屋と早朝の満月
朝焼けの雲海に埋もれた(?)富士
 今日は荒川小屋~赤石岳~百間洞山の家までだから少しゆっくり出発で大丈夫と6:30に避難小屋を出た。1~2分で頂上、そうだ昨夕はガスっていたため写真を撮ってなかったのでと360度の景観を写した。
 そうだここはネットも入り天気予報も確認できるとスマホの機内モードを外したら溜まったメールがどっさり入ってきた。返信ついでに撮ったばかりの写真を添付して数人にメールを送信した。
 7時前後の荒川中岳頂上は縦走者も多く、何組かの方々から写真撮影の依頼も受けて、なんと1時間も滞在してしまった。
中岳頂上、後方は赤石岳
 荒川小屋までは急な下降が続く、急いだら危険、小さなケガもしないように慎重に下りた。期待していたお花畑は残念ながら、お花畑とは程遠い状態だった。小屋で今年はもう咲き終わったと聞いていたので雪解け直後はお花畑状態だったのだろう、今冬は雪が少なかったのが影響したようだ。
堂々の赤石岳と荒川小屋
 しばらくして荒川小屋に着いた。9時だったが名物のカレーライスを注文することが出来た、昼には早いしダメかな?と思っていたが下界と同じ本格的なカレーライスは嬉しかった。
 テン場の先にある水場は水量が豊富、美味しく頂き2Lを補給した。出発しようとザックを置いた小屋の広場に戻ったら若者が大きな新鮮キュウリを食べていた。塩、マヨネーズ、味噌から選べたが味噌付きキュウリで美味しく頂き元気よく赤石岳に向かった。
 2,610mの荒川小屋から3,120mの赤石岳までは510mの高度差がある、一部に急登もあったが、全体的には登りやすい登山道を順調にたどった。
 素晴らしい景観の中を頂上近くまで進んで行くと、昨朝、小河内岳避難小屋から見えた赤石岳頂上直下の雪渓のそばを通過した。小さな雪渓なのに、あんなに遠くから眺められていた雪渓を間近に見ることが出来て嬉しかった。
 近くには今日にも消えそうな別の小さな雪渓も幾つか残っていた。3,000m地点であっても直射日光をまともに受けて数日内には消えてしまうだろう。
 すぐに、赤石岳頂上に到着した。すぐ下の赤石岳避難小屋に行き、リンゴジュースを飲み、主人に百間洞のトンカツが食べたいのだがと話すと、「コースタイムは2時間半なので今からなら十分間に合う。しかし、16時が1分でも過ぎると食べられないらしいから着いたらすぐに受付を済ませること。」と教えてもらった。
赤石岳頂上と避難小屋
 百間平までは、ほとんどは下りで快調だったが、百間平から百間洞山の家までは急な下りが延々と続きうんざりするほど続いた。谷底まで下りないと水場がないのだろうと理解はできたが、正面の山に明日の縦走ルートの登りが延々と続くのが確認出来た。高度差は約400m、縦走だから山もあれば谷もあるのは当たり前だ。テント場を通過したが一つも張ってなかった。
 百間洞山の家に15:30分に到着してすぐに受付を済ませた。山の家のすぐ前は渓流、洗濯も出来た。
百間平から、明日縦走する兎岳等の峰々
 百間洞山の家の夕食は、直前に揚げた大きな草履トンカツとネットで知ってからは是非食べたいと期待していた。
 しかし、椹島からの縦走者からか宿泊者が多く食堂も1回8人づつで3回目だった。ただし、1人だけで最終だった。
 揚げたばかりの厚い大きなトンカツに千切りキャベツがどっさり、味噌汁も大根おろしも、沢庵も美味しかった。あまりに量が多くて食欲はあったが不覚にも鶏肉と玉ねぎの煮込み、蕎麦には手をつけることも出来ないほどだった。
百間洞山の家の名物トンカツ
 7月22日

 今日は聖岳を越えて聖平小屋までの、大きなアップダウンの繰り返しと聖岳の長い急登と聖平小屋までの長い下降なので余裕をもつため百間洞山の家を3時に出発した。
 あいにくの雨だったが、キャップランプを頼りに昨日確認した縦走路をイメージして400mの急登をじっくり進んだ。雨はすぐに止んだがガスが濃くなり、時々周囲の山が現れる状態になった。
 ゆっくり登っていると、まだ稜線まで登り切らないのに荒川小屋で出会い昨夜も隣り合わせに寝ていた青年が追い越して行った。
 中盛丸山を越え小兎岳で休憩しているとカラフルな雨具、若い女性を含む大きなザックを担いだ7人パーティが現れた。NHKのパーティで、聖岳を紹介する取材班らしかった。彼らも休憩したので色々会話をしていると突然動きがあった。子連れの雷鳥が現れた、さすがにすぐテレビ撮影が始まった。仕事の邪魔はいけないしガスも濃いので先に進んだ。
雷鳥親子を撮影中のNHK取材班
 急登が続きガスの影響で遠くの見通しは良くなかったが兎岳や兎岳避難小屋、聖岳大崩壊地などを確認しながら進んだ。聖岳から百間洞方向への縦走者にも時々出会った。
 やっと聖岳頂上に到着した、ガスがある状態だったが数パーティおられ写真を撮ってもらった。
急登が続くガスの中の聖岳
 聖岳からの下降は、どこの頂上付近でも同じだが急坂が続くので注意して進んだ。樹林帯に入ってからも相当長く感じたが聖平小屋に到着した。
 受付の際に明日の静鉄バス~静岡行の予約を頼んだ。椹島に早めに到着してシャワー、食事などに時間を取りたい、聖沢登山口から椹島までは1時間の林道歩きと話したら登山口からダム方向は乗れないが椹島に行くなら9:40分発の東海フォレスト送迎バスに乗車出来ることを教えてもらった。美味しいフルーツポンチも頂き、親切で温かみのある小屋の対応に感激した。
 7月23日

 いよいよ最終日、聖平小屋から聖沢登山口までまず下山しなければならない。静岡駅に行くには1日1本だけ運行している畑薙ダム14:25発の静岡行静鉄バスに乗れなければ帰れなくなる。下山だから大丈夫と思いながらも十分余裕をみて3時に出発した。
 昨夕からの雨は降り続いていたがキャップランプをつけ、小屋前の表示板を確認して出発した。しかしテント場を過ぎてからは表示がほとんどない。もし違う道を進んでいたら大変だと思いながら相当進むとやっと表示板がありこの登山道で間違いないと安心する。
 しかし、3時間近く歩いたがアップダウンの繰り返しで高度はほとんど下がっていない。小屋から登山口まで1,100m以上下降しなくてはいけないのに南アルプスの大きさをここでも実感した。聖沢吊橋前で昨日も抜かれた青年が追いついてきた。しばらく一緒に進んだが登りにかかったので先に行ってもらった。
 登山口近くなると聖岳を目指す多くの登山者と出会いだした。急下降も多くなり檜の植林帯の下降も長かったが8:20分、バスの発車時間の1時間前、予定通りに聖沢登山口に到着した。
 そのうちに登山口には2パーティが加わり9人になったが私以外は全員10時発の井川送迎バスで駐車場行、私は9:40分発の東海フォレスト送迎バスに乗り椹島に10時に着いた。
 13時発の出発まで3時間ある。リゾート地の様な場所で、お湯が入ってないが風呂のシャワーが500円で無制限で使えたのでまず髭剃りをして一週間ぶりのシャワーを楽しんだ。美味しいビールを飲み食事も出来た。着替えもしたし衣類や靴も天日干し出来た。
 13時直前に蝙蝠岳から下山してきた加藤隊の5人に会い、お互いを祝福した。
 東海フォレストのマイクロバスはほぼ満員だったが畑薙ダムからは大半の方が東京行きの大型バスに乗車、14:25発の静鉄バスは5人だけだった。
 静岡駅までの3時間半は、1時間おきにトイレ休憩、山奥の小さな道の駅めぐりの感じで楽しめた。17時40分、定刻少し前に静岡駅に到着した。
 ・まとめ

 17日早朝に広河原登山口を出発して23日朝に聖沢登山口に下山、7日間の大縦走を天候にも恵まれ、予定通り無事に縦走することが出来た。
 毎日10時間、数日は14時間歩行の日もあったがケガもなく、足も大丈夫、元気で無事縦走出来たことに感謝した。
 しかし、撤収時間や湿気による重量増を考えて持参したテントは1度も使用しなかった。サンダルは椹島では役だったが、ザックの重量は重すぎた。今後はテント持参せず小屋泊の小縦走を楽しみたい。
( 文・写真 福山 )
← その② 三伏峠小屋~烏帽子岳~小河内岳~前岳~中岳避難小屋
Copyright(C) 2004 Ube Alpine Club All rights reserved.
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu