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比婆山
(中国山地の紅葉を求めて③)
池ノ段からの立烏帽子山
山行日  平成28年10月23日~24日
天 候  23日 雨    24日 晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月23日
比婆山県民の森公園センター(9:20)~ 毛無山(10:50)~ 出雲峠避難小屋
(11:45-12:20)~県民の森公園センター(13:10)泊

10月24日
比婆山県民の森公園センター(9:00)~ 展望園地(9:45)~ 立烏帽子駐車場(11:10)~
池ノ段(11:40-12:35)~ 御陵(13:40)~烏帽子山(14:15-14:30)~
ブナ純林コース~ 県民の森公園センター(15:50)泊
 蒜山で鳥取地震に遭遇し、2週間のつもりだった山旅を予定通り続けるかどうか思案する。直接、関係がある訳ではないが世の中が大変な時に呑気に登山は少し後ろめたい。しかし我が家が止めた所で何も変わらず・・・という事で、取りあえず宿泊予約済みの比婆山には登る事に。大山、蒜山に比べエスケープルートも多い比婆山、今度こそのんびりと紅葉を楽しめそうだ。
 10月23日
 朝から生憎の雨だが明日は晴れるらしい。退職後はお天気のいい日だけ登るようになり軟弱ぶりを加速してしまった。だがここまで来て雨を理由にダラダラ過ごすのも勿体ない。雨脚が強くならないうちに取りあえず毛無山に登って来よう。公園センターのロビーで身支度していると「○○さん」と声をかけられる。こんな年になって旧姓で呼ばれるとは・・・。声の主は20人位の団体さんの一員で高校の同窓生、今日はキノコの会の集まりらしい。劣等生だったので同窓会はいつも欠席だが、思いがけない出会いに驚く。

 例年だと今頃が紅葉真っ盛りの筈だが今年はどうもパッとしない。センターの職員さんも「今年はダメですね」と正直だ。日曜日というのに登山者は少ないが例のキノコグループは雨にも負けず賑やかに活動中だ。美味しいキノコだけ採集と思ったら毒キノコもとか(?)いろんな趣味があって楽しそう。そういえばかなり前の話だが、御陵の近くで籠いっぱいのキノコを見せながら「料亭に持って行けば万ですよ」と言った人がいたが何茸だったのだろう? 松茸じゃなかったのは確かだが。

 頑張って登ったが、毛無山々頂もガスの中、ここに居てもうすら寒いだけなので出雲峠へと下る。春から初夏にかけて様々な花が咲き揃うコースだが、今は目を惹く物も無い・・・と思ったら季節外れのミヤマヨメナが狂い咲きか、一輪ひっそりと咲いている。あとはコマユミの朱い実が可愛く、2人してカメラを向けるがピントが中々合ってくれない(これも老化現象?)

 霧雨が本降りになり出雲峠の小さな避難小屋に駆け込む。お昼時で2パーティーが先客だ。この小屋は古くて暗いのでいつもは素通りだが雨天時にはやはり有難い。偶然にもみなさんも昼食はカップラーメン、これからの季節やはり温かい物が一番だ。食べ終わった頃次のパーティーが到着、席を交代する。小周りだがピークを一つ踏めた事に満足し、公園センターへ帰る事にする(これで堂々とビールが飲める?)途中からは沢沿いの小道に入り雨上がりの紅葉を楽しみながら行く。小さな橋で沢を渡り、公園センターはもうすぐとホッとした途端目に飛び込んで来た思いがけない光景・・・。「何の花か?」とMも驚いている。《シラヤマギク》何処の山にも咲いている花だが、こんな群生は見た事がない。今までここは何度か歩いているが初めて巡り会えた光景に感動する。( ※シラヤマギクと思い詳しく観察しなかったが、帰宅後ネットで調べるとヤマシロギクという似た花もあるらしい)
沢沿いの紅葉を楽しむ
シラヤマギク(?)のお花畑
 10月24日
 やっと晴れた! お願いしたお弁当を受け取り公園センターを出発する。今日は紅葉の写真が撮れるかもとイソイソと展望園地への登りにかかる。と「車にカメラ忘れた!」とザックを放り出し駆け出したM、「急がんでいいよ」と走り去る背中に一応優しく(?)声をかける。しかし引き返して来たMの一言「キーはザックに入れちょった」にガクッ! なんとドジと言いたいが、部屋に忘れた昨日の自分を振り返れば言える筈がない。 

 歩き始めからドタバタしたが展望園地で一息入れ、ゆっくりと笹尾根を登って行く。例年に比べ今いちの紅葉だが、ガスっていた大山、蒜山に比べれば陽射しの力は素晴らしい。赤、橙、黄、緑のグラデーションに2人ともカメラを手に中々前に進めない。
明るい笹尾根
黄葉のお出迎え
 今日は何曜日? 立烏帽子駐車場は休日と錯覚する程の人が行き交っている。そこで静かな竜王山に寄り道しようとMを誘ってみるが、「何回も行ったから行かんでもええじゃろう。何回行っても同じいや」と来た。よくもまぁおっしゃった。「魚釣りじゃあ、釣れもしないのに何回も何回も同じ所に行きよらーね」と返す言葉はいくらでもあるが、今日の所はグッと我慢、心の中で言い返し池ノ段へと向かう。
かわいいコマユミ
 久しぶりの青空の山、展望が素晴らしい。大山、道後山などぐるりと見渡される。やはり来て良かった。時間や悪場に神経を使う事も無く、いつも優しく迎えてくれる比婆山、本当にいい山だ。すぐ傍で同じ公園センター手作りのお弁当を開いている人がいる。訊けば単独で熊本から列車を乗り継いで来たとの事。あるツアーで知り合った広島県の人に「広島県で一番お薦めの山は?」と尋ねたところ「ぜひ比婆山に」と言われたらしい(公園センターでの夕食時、新緑も素晴らしいとお伝えすると、山も公園センターも素敵なので来春もまた、列車を乗り継いで来たいと話しておられた)
池ノ段から大膳原、御陵を望む
 立烏帽子、池ノ段の賑わいが嘘のような御陵への縦走路を行く。殆どが葉を落としたブナ林は明るい。誰もいない静かな御陵は今日も神々しく雪に埋もれていない案内板が新鮮だ。元旦に我が家が一番乗りして以来、今年は何人の人がここを訪れたのだろうか。数年前、山仲間と霧氷に感動した時の光景を思い浮かべながら烏帽子山へ向かう。
お仕事中のキツツキさん(コゲラ?)
落葉したブナ林を行く
 烏帽子山の山頂も一組のご夫婦だけだ。遠くに見えていた山を尋ねられ大山だと分かると喜んで出雲峠へと出発された。さて我が家は縦走路を少し引き返し、ブナの純林コース経由で下山する。スキー場では背丈以上に大群生したカヤを伐採中だ。


 大山、蒜山、比婆山と巡った今年の秋山、この後芸北の山も登る予定だったが、切り上げて帰る事で意見がまとまる。いつも「おさんどんで忙しい忙しい」とこぼしている私。年取ったからを理由に我儘、甘えが増すばかりの日々だった。しかし毎日忙しく、普通におさんどん出来る事がどんなに幸せな事か・・・改めて実感できた山旅だった。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
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