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木谷峡下流部(猿飛橋~S字ゴルジュ~取水口の滝)(錦川水系)
日 時  2017年7月8日(土)
天 候  小雨
メンバー  池本、内田
行 程  セミナーパーク~山口南IC~徳山東IC~木谷峡~駐車場7:35~錦川出合~
入渓8:00~城の宮淵8:35~島の谷出合10:10~大固屋11:20~
取水口の滝11:30~出渓11:55~駐車場12:40~徳山東IC~山口南IC~
セミナーパーク
 今年は空梅雨だと思っていたら、ここにきて雨の降る日が続く。数日前には吉賀でも100mmの降水があったようだ。
 今回、予定するのは木谷峡下部。水量が気になるところではあるが、沢沿いに道路が走っているので、容易くエスケープが可能。予定通り入渓するかどうかは現地を見てから判断しようと出発した。
 木谷峡の三ノ瀬手前の駐車場で準備をしてから、左岸の旧道を下流に向かって進む。
 新しい橋の下を通って錦川本流へ。出合付近は工事の資材置き場になっていた。猿飛橋のたもとから錦川出合に降りる。水量は多そうだが、行けないことはなさそうだ。相談した結果、予定通り遡行を開始することにした。
猿飛橋の下をくぐる
 苔の様子から判断すると、水量は平水より5~10cmほど多いくらいか。ちょっとした段差でも力を込めないと越えられない。
 水質が良いので、全身で水圧を味わいながら進むと、城の宮淵の入口に到達。ここから両岸が狭まり廊下状となっている。
 いよいよ今回の核心だ。泳いで廊下の中に入っていくと、右手から勢いよく落ち込む滝がある。これが初瀬の滝だろう。その向こうは水流が渦巻く暗い淵となっており、その奧には重そうな水をはき出す滝が行く手を阻んでいる。S字ゴルジュの滝か。
初瀬の滝と城の宮淵
 まずは淵を泳ぎ切って、左岸に上がる。S字ゴルジュの滝を観察するが、とても直登は不可能だ。
 三浦さんの本では右岸をへつりで突破するか、左岸なら割合楽に越えられるとある。見るからにずっしりとした水量に気持ちは進まないが、とりあえず近くまで行ってみることに。
 左岸からS字ゴルジュに飛び込み、右岸の岩に乗り込む。しかし、水中にスタンスが乏しく、身体を上げるのに一苦労。身体を押し流そうとする水流に抗うだけで消耗し、ようやく右岸に上がったときは両手がすっかりパンプしていた。
S字ゴルジュ
 右岸の岸壁を近くでじっと見つめるが、わずかなホールド・スタンスがあるばかり。自分の力量で行けるのか。運良く途中まで行けたとしても、落ち口にホールドはあるのか。この水量では落ちれば下の岩に叩き付けられる可能性が高いだろう。
 しばらくの間、沈思黙考するが、結局、どうどうと轟く滝音に気圧されてしまった。無理は禁物と自分に言い聞かせて、右岸のへつりを諦める。再び左岸へ上がり、池本がフリーで登った後に続く。ところが、この登攀が一箇所ひざを使うなど、ホールド・スタンスが微妙な感じで気持ち悪い。自分としてはこの左岸越えが今回の遡行中で一番怖かった。
迫力のS字ゴルジュの滝
するすると左岸を登る池本
 S字ゴルジュの滝をパスして、再び沢に戻ると、目の前に白く泡立つ滝が待ち構えている。これがS字ゴルジュの次の滝か。落差はないものの、もろに水流を受けると、身体が吹き飛ばされてしまうだろう。
 これまた気が進まないが、とりあえずトライ。上手く水中の岩を使って、激流を避けるように進む。最後は右岸に乗り込み、へつり気味に越えた。
激流と滝
 その後、沢は平凡となる。そのまま進むと、駐車した親水公園を過ぎ、堰堤をいくつか越えると、右岸から流れ込むのが島の谷だ。
 ここから再びポイントが続く。滝らしい滝ではないのだが、水量が多いので面白い。全身を使って突破する。激流に果敢に飛び込む池本を見ると、本当に水が好きなのだと感心する。
果敢に激流に飛び込む池本
 気がつけば、左岸の上に建物が見え、大固屋まで来たことが分かる。今日の予定は取水口の滝まで。この水量で越えられるかどうか分からないが、ここまで来れば行くしかない。
 取水口の滝の前には前段の淵の滝が控えている。ここも明らかに水量が多そうだ。
 まずは池本が前段の淵の右岸沿いを泳いで滝に取り付く。そして、そのまま水流左寄りを何事もないかのように越えていった。内田も苦労して続いた後、二人で取水口の滝を前にすると、さすがに少し怯んでしまった。
取水口の滝の前段の淵
 鍋状の大きな淵の向こうには、取水口の横から大量の水が滝となって落ち込んでいる。水が淵に叩き付けられる衝撃で、離れているここまで空気が震えてくるようだ。
 それでも相談した結果、とりあえず行くだけ行ってみようということに。ここはロープを出して内田が取水口の滝へ向かう。これも右岸沿いに泳ぐが、とにかく流れが強くて前に進まない。ライフジャケットを着けていてもあっぷあっぷして、必死に側壁につかまりながら、何とか滝の下まで到達した。
取水口の滝
 当然、水流の直撃を避けてはいるものの、轟音の中のシャワーとなり気持ちが焦る。それでも落ち着いて水流の中を探れば、しっかりとホールドがあった。右手右足を半ば水流に突っ込み、緊張しながら取水口の滝を越える。続く池本も無事にクリア。ようやく緊張から解放され、滝上でがっちりと握手を交わした。
 本日の遡行はここまで。後は気温の高い車道をのんびり歩いて車まで戻った。
 今回、初めて木谷峡下流部を遡行したが、城の宮淵の雰囲気は素晴らしい。
 S字ゴルジュの滝を突破できなかったのは残念だが、近いうちに再びチャレンジしたいと思う。それにしても、遠くない将来、ここがダムに沈んでしまうのは改めて残念だ。
( 文・写真 : 内田 )
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