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北八ヶ岳を訪ねて(双子山・北横岳・縞枯山)
 
 北横岳(南峰)から南八ツの峰々を望む
 
日 時  2018年8月5日~6日
天 気  晴れ
メンバー   斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程   8月5日
麦草峠駐車場(6:20)~ 雨池(8:05)~ 双子池ヒュッテ(11:05-11:45)~ 双子山(12:40-12:55)~ 双子池ヒュッテ(13:50)泊
 8月6日
双子池ヒュッテ(6:45)~ 亀甲池(7:45-7:50)~ 北横岳北峰(9:58-10:20)~ 南峰(10:24)~ 北横岳ヒュッテ(10:42)~ 縞枯山荘(11:46-12:15)~ 縞枯山(12:55)~ 展望台(13:15)~ 茶臼山(14:06)~ 大石峠(15:02)~ 麦草峠駐車場(15:30)
 8月5日
 麦草ヒュッテに立ち寄り登山届を提出、北八ツ後半の山旅をスタートする。
 歩き始めてすぐに下山路となる茶臼山、縞枯山尾根コースを左に見送り、双子池ヒュッテへの右コースに入る。実はこのコース先日偶々見たNHKの番組で紹介されたが、我が家のために放送されたのではないだろうか(と思えた)内容はテント泊でのトレッキングだったが、宿泊予定の双子池ヒュッテまで無理なく歩けそうなので、それまで考えていたコースを見直すきっかけとなった。テレビで放送され、さぞ賑やか(?)と思っていたら、夏山シーズン真っ盛りというのに他には誰も見あたらない。緑一色の針葉樹の林、静か過ぎる程だ。大木に出会う度「コメツガ」「シラビソ」と説明するM、せっかく教えて貰っても葉の形も色もみんな同じに見えて区別がつかない。花なら覚えられると思うのだが。
 
林道わきに咲くキバナノヤマオダマキ
 単調な林から林道に出て間もなく分岐となる。左の林道、右の山道どちらも雨池に沿っていて対岸で合流の筈だ。
 右に進んで笹原の木道を行く事しばし突然目の前に池が現れる。思ったより大きい。これが雨池か。奥深い山の中にひっそりと蒼い水を湛えている・・・と勝手に想像を巡らせていたのだが、イメージとは真反対、青々と明るい池が待っていた。例によって「何ちゅう事もないただの池じゃあ」とM、ハイハイいつもの事で慣れっこです。
 
雨池
 ゆっくりと歩いたが昼前に双子池ヒュッテに到着、双子の雄池が目に入る。雌池は少し離れているようだ。
 まずは宿泊の手続きをとお願いすると「お早いお着きですね。今日は今からどちらへ?」と訊かれる。「今日はここでお終いです。年なので昼まで歩いて後はお休みです」と答えるとそこにおられたみなさん(小屋のスタッフさん、ご家族のようだ)から一斉に笑われてしまう。「それがいいですね」と温かい言葉が返って来たが。

 部屋(個室)に案内されホッとするが、やはりこのまま昼寝では落ち着かない。笑われたからではないと思うが「双子山にでも登って来るか?」とM。待ってました! どんな山か予備知識は全くないが、さぼらず登るには手頃な山と思っていた。そうと決まれば善は急げ、行動食を持って雄池の畔のベンチへと向かう。
双子池(雄池)
 エネルギーの補給を終え、双子山へと歩きだしたが時間が時間だけにとにかく暑い。こまめに水分と干し梅を口にしながら針葉樹の林で頑張る事1時間、ようやく前が明るくなる。「うわぁー凄い!!」。北八ツにやって来て初めて目にする予期せぬ景色、疲れがいっきに吹っ飛んで行く。
 ゴロゴロ石、網のような根っこ、傾いた木道と予想外に厳しかった今までと違って、なんて優しい風景だろう。広々とした草原の足元には可愛いフウロが咲いている。秋吉台を思わせる穏やかな山頂からは蓼科山への稜線、明日歩く北横岳の稜線が遮るものなく間近に見えている。ヒュッテで昼寝しなくてよかった! 思いがけないプレゼントにウキウキする。
雲湧く双子山
 夕食時、ヒュッテの食堂は3パーティーと大学生の団体でほぼ満席だ。献立は揚げたての天ぷら、豚汁、蕎麦、生野菜。ご飯と豚汁はおかわり自由。目の前で若者が何度もおかわり、羨ましい。負けずに頑張りたいが、お茶しか出来ない。天ぷらは揚げたての熱々でワラビ(生)が美味しい。この季節でも採れるらしい。ついでにコシアブラの事を訊いてみると、《生のまま冷凍可能、冷凍のまま天ぷら》と教えて頂く。来春が待ち遠しい。
 8月6日
 朝、食堂はさぞ賑やかだろうと思っていたら2パーティーの4人だけ、みなさん早発ちされたようだ。気づかない程ぐっすりと眠れたお陰で朝食も美味しい。今日は北横岳の登りが待っている。
 ヒュッテを出発し先ずは亀甲池を目指し岩だらけの登山道を進む。北八ツで最も神秘的な池と聞いていたが原生林に囲まれているにも関わらず、明るく何処かのお屋敷の庭の様に見える。縁側ならぬ岸辺の石に腰掛け一息つく。
静かな亀甲池
 北横岳への登りも岩と根っこが続く道だ。今日は縞枯山荘泊りなので焦りはないが単調な登りには飽いてしまう。慰めは岩を覆い尽くす青々とした苔で、いろんな種類があって面白い。長いジグザグを登り終え尾根に上がると北横岳山頂(北峰)はすぐそこだ。
北横岳の登り
 大展望の山頂からは、御嶽山、北アルプス、蓼科山が見えている。頑張って登ったご褒美だ。今までの静けさが嘘のような賑わいはロープウエイで上がって来た人達だろう。少し離れた南峰からは南八ツの山々が屏風の様に広がっている。眼下にはメルヘンチックな草原にポツンと青い屋根、今日の宿縞枯山荘だ。賑やかだった縦走路もロープウエイ山頂駅を過ぎると再び静かな歩きとなる。草原にガスが湧き始め寂しげに見える縞枯山荘が近づいて来る。
縞枯山荘に到着する
 入山前の予報では明日から天気は下り坂、その後どうなっただろうか? 山荘到着後、早速ご主人に訊いてみる。結果は曇りだが、山は降るかも知れないとの事。念のため下山路の様子を訊ねると岩が多く降れば滑って危ないらしい。雨の下山は避けたいが、これから下るには3時間はかかるだろう。軟弱な我が家にとってはギリギリだ。もし下山としても宿泊キャンセルは言い辛い。どうしよう・・・。そんな迷いを感じられたのか「キャンセルでも構いませんよ」と言ってくださる。有難い。やはり雨の悪路は難儀だ。申し訳ないがお言葉に甘え頑張って下る事にする。キャンセル料の4000円をお支払したが、昼食をとるため外の椅子をお借りするのも気兼ねで落ち着かない。

 明るい内にいざ下山! 縞枯山のダイレクト急坂をMを追って必死に登る。すると何と珍しい! 初めて標準タイム(ガイド本)で山頂標識に登り着く(火事場の馬鹿ぢから?)しかし、頑張ったのはここまで、いっぺんに気が緩む。立ち寄った展望台を攀じ登ったのはMだけ、気持ちよさそうなMを下から眺めるだけとは情けない。
展望台からの茶臼山、南八ツの山々
 相変わらずの悪路を一歩一歩下りながら《北八ツ》という自分が勝手に夢描いた風景とのギャップを身を持って感じる。苔むした神秘の林の道は岩と根っこの道だった。疲れる!!!茶臼山山頂を越えひたすら下るが長い、長い・・・。ようやく昨日歩いた双子池ヒュッテコースに合流する。駐車場まで後、少し。
 帰宅後、押し入れを引っかき回し古いアルバム(記録)を捜し出す。それによると東谷さんとの残雪期縦走(縞枯山~赤岳~美濃戸口)は2泊3日で歩いていて驚く(高見石小屋、硫黄岳石室泊)昔から体力は無かったので若いって本当に素晴らしいと改めて思う。
 前期&後期高齢者に残された日々・・・今さら若くはなれないが、来年より再来年よりは少しは若い筈。《今を大切に!》と改めて自覚した北八ヶ岳の旅だった。
(  文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋)  )
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