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マッターホルン・ヘルンリ稜(登頂編) |
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日 時 |
2018年8月15日・16日 |
天 気 |
晴れ |
メンバー |
林・宮田 |
行 程 |
16日
04:20 ヘルンリヒュッテ出発→04:30取り付き到着→05:00登攀開始→07:00ソルベイ小屋→09:30山頂到着 |
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3時30分に起床。他に人がいないのでアラームを鳴らして起きた。廊下に出てみるが、まだ殆どの人は寝ているみたいだった。今のうちにトイレ等を済ます。朝食は確か4時。ギア類を付けて朝食に行くかどうか迷ったが、他の人もギア類を付けて朝食を食べていたので自分たちもそうすることに。
まだ少し時間があるのでゆっくりしていたら、4時20分にはほとんどの登山者が居なくなっていた。どうやらもう出発したみたいだ。30分からスタートと聞いていたけれど、どうやら取り付きを30分に、という事みたいだった。 |
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急いで取り付きに行ったが既に大渋滞。30分待ってやっと自分たちの番になったが、前のパーティが遅れ気味。遠慮なく抜かしたいところだが、なかなかそうもできない。
ここで、前日偵察した二通りの道を使う事に。どうやら他のパーティは皆ガレていないルートを登っていたので、少々リスクはあるもののガレた斜面を登る事に。結果的にはここで遅いパーティをいくつか抜かして大分時間短縮が出来た。
気温はそんなに低くない。長袖シャツで充分だ。 |
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取り付きでの渋滞 |
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ガレた斜面を上がり、簡単な岩登りを交えながら稜線上に出る。
ルートファインディングが心配で、もしもの時はガイドについていくと考えていたけれど、最初の取り付きのタイムロスで、かなり上の方でライトの光は見えるが、僕たちの前後にはほかのパーティはいない。自分たちの力で登るしかない。岩にはアイゼンの跡がしっかりついている。今回は雪が全然ないのでルートは分かりやすい。 |
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暗い中、ただひたすらに登る。ルートは特に迷う箇所もなく登れていたと思う。山頂が見えることなく、目の前の岩峰を登る事に集中して1時間30分。ようやく山頂が見え始めた。辺りも明るくなってきて、ソルベイ小屋らしきものも見える。この時点で、なかなか良いペースで登れているのではないかと思った。所々にビレー用の鉄の棒があるが、全く使わない。(後で気が付いたが、これらは下降用だと思う。) |
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ソルベイ小屋が近づいてきた |
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ソルベイ小屋が近づいてきた。小屋の手前で3パーティ程の渋滞。小屋直下は登ってみると、3級か4級程度の岩登り。ここは宮田君がトップで。流石の登りである。ヨーロピアンスタイルでビレーした。支点はある。 |
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小屋直下の登り |
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出発から2時間でソルベイ小屋に到着。トイレの匂いが凄い。そして小屋の外のベンチでは、シュラフにくるまった人達が居る。様子から見て、昨日からこの小屋に泊まっていたのだろう。確かに、ヨーロッパは21時まで明るいし、ソルベイ小屋に泊まれるなら無理してヘルンリヒュッテに泊まる必要はないなと思った。 |
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ソルベイ小屋に泊まった?人たち |
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先を急ぐ。ソルベイ小屋から5m程の垂壁の登り。短いが3級か4級程度の登り。ヨーロピアンスタイルでビレー。これから上は、確か殆ど稜線上を行く感じで、ルートを迷うところはない感じだった。
稜線上を行くので風が強くなってきた。寒い。上着を羽織る。マッターホルンの肩?と呼ばれるなだらかなスラブ状を行く。ここは鉄の棒が多い。多分雪が付いているといやらしくなるのだろうが、雪がないのでなんてことない感じ。そこを登りきると、いよいよ山頂手前のフィックスロープ帯に。 |
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肩までは分かりやすい |
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登っている人も多ければ、下ってくる人も多い。ここからは連続した一本のフィックスロープを頼りに登るので、渋滞は必至。雪も付いている。フィックスロープ帯は壁も垂直に近いので、途中でアイゼンを装着するのは大義だ。予めアイゼンをつけて登る。
急に人口密度が上がった感じだ。上も下も人が多い。特に自分達の下を登るパーティからの「先に行かせてくれ」という圧力が凄い。こちらも上のパーティを待っている状態だ。一度譲ってしまったらどんどん抜かされて時間を大幅にロスしてしまいそうだ。ここは強気で抜かさせず、むしろどんどん抜いていく覚悟で登る。
僕たちの上を登っているパーティはクライミングが得意でないらしい。落ちてきたら大変だと思って少し距離を取っていたら、案の定途中でズリ落ちていた。落ちなくてよかったし、アイゼンが僕の頭に刺さらなくてよかった。 |
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人口密度が高い |
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余裕の宮田君 |
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フィックスロープ帯を越えると、傾斜45度程度の雪面に出た。鉄の棒は40mぐらいの間隔である。
ビレーをすると時間がかかるのでビレーせずにアンザイレンして登る。どちらかが足を滑らすと北壁を何百mも落ちていくだろう。確実に登っていく。ステップはしっかりしている。途中の岩稜帯が少しいやらしい。 |
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雪面の登り |
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有名な山頂の像が見えてきた。もう少しだ。一歩一歩踏みしめて登ると、目の前の雪面が段々と開けてきて、マッターホルンの向こう側が見えた。
宮田君と「着いたよ」と話しながら、一番高い所を探す。もう目の前だ。一番高い所に行く。思わず喜びの声が漏れて、宮田君と握手をした。ついに長年夢みたマッターホルンの頂に立った。喜びのあまり涙がこぼれてしまったけれど、サングラスをしていたので宮田君には気づかれずに済んだ。 |
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出発から4時間30分で山頂に到着。素晴らしい天気だ。
雪庇に注意してしばし記念撮影を楽しんで、イタリア側の山頂へ。ここもなかなかの急傾斜を登る箇所がある。
イタリア側からも登ってくるパーティが見える。いつかは登れたらいいなと思う。 |
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登頂の喜びを分かち合う! |
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ここまでで、心の底から登頂の喜びを噛み締めることは出来なかった。何故ならば、登りながら思っていたことは下りが核心だなという事。安全に降りるためには、登り以上に気を使わなければならない。宮田君と気を取り直していこうと話し合って、下りへ。 |
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( 写真・林 : 文・林 ) |
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