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紅葉を訪ねて(毛無山~白馬山周回)
 
 
黄葉のブナ林
 
日 時  平成30年10月22日
天 気  晴れ
メンバー  斉藤(宗)  斉藤(滋)
行 程  10月21日
氷ノ山民宿(8:45)~ 県道87・R9・R313・県道58 ~ メルヘンの里新庄(岡山県新庄村)(16:30)車中泊
 10月22日
メルヘンの里新庄(7:50)~ 毛無山登山口(8:20-8:35)~ 毛無山山頂(10:50-11:30)~ 白馬山(12:35-13:00)~ 登山口(14:00-14:25)~ 新庄村散策 ~ 蒜山ペンション(16:30)泊
 蒜山高原にある《ペンションさかた》からの年賀状には今年末(2018年)でリタイアしますと記されていた。蒜山、櫃ヶ山、三平山・・・と四季を通じて20年間お世話になった宿だ。Mと2人で、家族で、山仲間と共にと訪れる度に、いつも温かくもてなしてくださった。氷ノ山登山を終え電話すると、お願いした22日の宿泊はOKとの事でホッと一安心。
 《さかた》最後の宿泊で登る山は考えた末、鳥取県と岡山県の県境に位置する毛無山(ケナシガセン)~白馬山にする。大勢の山仲間達と登った後、《さかた》に宿泊し、美味しい料理で盛り上がった思い出の山だ。
 10月21日
 氷ノ山登山大会に参加のみなさんの姿は既にない。民宿のご夫婦に見送られ岡山県新庄村へと出発する。下道は長いと思っていたが山陰道が所々完成していて、意外と早く走れる(しかも無料区間があり助かる)途中倉吉のコインランドリーで洗濯を済ませ、暗くなる前に宿泊地の道の駅《メルヘンの里新庄》に到着する。
 旧出雲街道の宿場だった新庄村は《日本一美しい村》と称され落ち着いた風情がある。今夜はここで車中泊。民宿の奥様が持たせてくださった炊き込みご飯と、途中の道の駅で仕入れた特大の焼きサバ、野菜サラダが夕食のメニューだ。夜明けの冷え込みに備えしっかりと着込んで寝よう。
 10月22日
 駐車場の傍の温度表示は3℃、寒い筈だ。我が家流の車中泊の朝、新庄川の畔のベンチで湯を沸かしカップ麺で温まる。
 朝食後、道の駅の清潔で設備の整った洗面所、トイレを使用させていただき助かる(昨日僅かな買い物をしたが)支度が出来た所で登山口に向かう。前回登山の記憶は曖昧で詳しく思い出せないが公園風の立派な駐車場に車を停め出発する。
 
新庄川畔での朝食タイム
 蓼科山、霧ヶ峰(百名山)氷ノ山(二百名山)とビッグな山の後の毛無山、大きな期待がある訳ではない。ただ無性に懐かしい。15年位前、職場の山仲間たちとワイワイ言いながら登った事を思い出す。白馬山への縦走中雪が降り出し、みんなで震えた寒々とした光景・・・。今目の前に広がっているこの林が、あの時と同じ場所とは信じ難い。
 杉の巨木、黄色く色づいたブナ林、百名山に負けない程の美しさだ。鳥の声を耳にしながらゆっくりと登っていると若い女性に追い越される。ウイークデーなので今日は2人きりかもと思ったが、登山口付近でも3人パーティーが先行していて心強い(熊の領域なので)
 
杉の大木が多い登山道
 
紅葉の中に見つけたコシアブラ
 山頂直下の避難小屋を過ぎ、段々と眺望が開けてくる。山頂はすぐそこ、明るい笹原を登って行くと目の前にいきなり大山の南壁が現れる。
 毛無山山頂(1218m)は大山を眺める絶好ポイントだ。早速交代で記念写真を撮っていると「撮りましょうか?」と先ほど追い越された女性から声がかかる。早速ご厚意に甘えたが、まだ山頂におられるとは思っていなかった。ノロノロと高齢者が現れれば、さっさと出発されそうなものだが、人懐っこくついついいつもの癖が出て「どちらから?」と訊ねる。「岡山から」の返事に「こちらは山口」と言うと途端に彼女「実は実家は島根県で津和野の近くです」とニコニコ顔に。「島根県! 島根県はどちら?」「吉賀町って言うんですが・・・」聞けば彼女のご実家は柿木村(日本むかし話みたいでしょと彼女)との事だが吉賀町と言っても知ってる人がいないので観光地《萩・津和野》なら分かるだろうといつも「津和野の近く」と言ってるそうだ。そこで吉賀町について知っている事(地名、道の駅、温泉、安蔵寺山など)を並べ立てると「六日市(吉賀町)にいる妹に《吉賀町を知ってる人に出会ったよ》と電話します。妹も私と同じで誰に言っても分からないと言っていますので」と思いがけない程の喜びようだ。今より若い頃、あの辺りの山に出かける事が多かっただけの話だが、素敵な山が沢山ある吉賀町は私も大好きだ。
 
素敵な出会いに感謝!
 「山で出会った人と話すのが好きですが、今日は本当に楽しかった。今までで一番です」と彼女。もちろん気を遣って貰っての言葉だと分かっているが、こっちこそ余り相手にされない前期&後期高齢者によくぞ付き合ってくださった。熊しかいないと思っていた山での思いがけない出会い、もっと一緒にいたいは山々だが足並みが揃いそうになく、山頂でお別れする。先行の彼女に追いつく事はできない・・・六日市辺りを走ればきっと今日の事を思い出すだろう。
 
大山を眺めながら縦走開始
 白馬山への縦走路は大山隠岐国立公園に編入されているせいか整備が行き届き歩きやすい。難路だった北八ツに比べ中国山地の山々はなんと穏やかなんだろうとここでも思う。
 所々で大山や毛無山の山頂を眺めながらのブナ林の縦走路は正に癒しの道だ。
 
明るい縦走路
 1時間の歩きで静かな白馬山に到着する。目の前に大山を眺めながら備えつけのベンチに腰掛け昼ごはん(コンビニが見つからず、残りのパン、ハム、柿)ささやかな昼食だが、景色だけは超豪華、満足する。後は出発地の駐車場まで下るだけだ。
縦走路からの毛無山
 
 駐車場まで帰ると案内板を見ておられた方から話しかけられる。京都からわざわざ来年5月登山の下見に来られたそうだ。所属会の大山登山のセットに毛無山を選んだが、どんな感じの山か?と訊かれブナ林と杉の巨木の美しさ、大山展望の素晴らしさを伝えると、ネットで検索して選んだが、ご自分の眼に狂いはなかったととても喜ばれる。奥様とご一緒だったが、今夜は我が家と同じく蒜山高原の宿に御泊りだそうだ。本番は大型バス1台と言っておられたが、大勢の人を連れて来られるためには、こうして地道な下調べが大切だと改めて教わった気がする。
キバナノアキギリ(白バージョン)
 
 下山後、新庄宿場町街道を散策する。日露戦争の勝利を祝って植えられたという凱旋桜(現在132本)は100年以上経った今も、見事に開花するらしい。
 春には賑わうであろう通りもこの季節、訪れる人も少なく往時の雰囲気を偲びつつ通り抜ける。僅か一日の滞在だったが自然と歴史にふれ合えた新庄村を後に蒜山高原へと向かう。
 《ペンションさかた》の泊り客は我が家だけ。2人だけの為にお風呂(いつもとても清潔)を沸かして頂き、いつもながらの奥様の手料理も並ぶ。
 20年間の春夏秋冬、何度お世話になった事だろう。ご主人作の木製腰掛けは古びてはきたが今も我が家に置いてある。思い出話が尽きず時間を忘れて4人で語り合う。またいつか蒜山に登りたくなったら訪ねて来よう。お元気なお2人にお会いできるかもしれない。
( 文:斉藤(滋)  写真:斉藤(宗) 斉藤(滋) )
 
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