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■  小野湖の水を守る会
宇部市議会における産業廃棄物最終処分場建設計画についての質疑答弁について
宇部市および山陽小野田市の水道水源である小野湖上流に、安定型と呼ばれながらも不安定で危険な産業廃棄物最終処分場建設が計画されていることについて、まだほとんどの市民は反対の意思表示はおろか、その事実すら認識がない状況です。
 昨年10月に、宇部山岳会を含む宇部市の環境4団体は「小野湖の水を守る会」を組織し、産業廃棄物最終処分場の建設を阻止すべく活動を行っております。
 活動は緒についたばかりで、情報収集などの活動を行う一方で、市民や、行政へどのような働きかけを行えばよいか、活動の輪をどのように広げていくかなどに腐心しているところです。
 そうした中、昨年12月、宇部市議会にて小野地区選出の議員より宇部市長に対して大田川水域上流部に計画されている産業廃棄物最終処分場計画と宇部市の対応について質疑が行われました。
 これにより山陽小野田市および宇部市の水道水源である小野湖の上流部に産業廃棄物最終処分場建設が計画されていることが公の場で明らかになりました。それと共に、宇部市から、「市民に安全で安心な水道水を供給するために今後の活動に注視する。」との回答を引き出し、建設計画に対する姿勢を確認できました。
 以下は市議会での質疑と答弁の抜粋です。
 
 市議会議員は、「小野湖に注ぐ大田川水系上流部、美祢市と宇部市との境界の美祢市美東町真名地区に産業廃棄物最終処分場建設が計画されていると聞いている。
 ノット・イン・マイ・バックヤード(not in my back yard)認定施設であり、河川の汚染を招きかねない施設である産業廃棄物最終処分場が宇部市民の飲料水の水源地に建設されては困る。」と反対の意思表示をすると共に、産業廃棄物最終処分場の建設計画と宇部市の対応について質疑がだされました。
 これに対する宇部市の産業廃棄物最終処分場に対する認識と対応については以下の通りです。
 まず久保田市長から産業廃棄物最終処分場の建設計画と宇部市の対応について以下の答弁がなされました。
【宇部市長の答弁】
@ 美祢市美東町真名地区において、埋め立て容量約70万立方メートルの安定型産業廃棄物最終処分場が計画されている。(県からの情報)
A ただし、産業廃棄物最終処分場の建設計画については、山口県の産業廃棄物処理施設等の設置に関する指導要項に基づく手続きが行われていないことから詳細は不明。
B 県から事業者に対するこれまでの行政指導の内容は、計画地の下流域に水道水源である小野湖があることから、指導要項に基づく手続きに入る前には小野地区の関係者に詳細な説明を行い、承諾を得るように指導をしているとのことである。
C 宇部市としては市民に安全で安心な水道水を供給するためにも、県との連携を密にして、今後の動向を注視していく。
【市議会議員からの安定型産業廃棄物最終処分場についての質疑】
@ 埋め立て容量約70万立方メートルの安定型産業廃棄物最終処分場等どういうものか。
A 最近その施設に付いては、その安全性が危惧されている。どのようなことが危惧されているか。
【宇部市環境部長の答弁】
@ 安定型最終処分場とは、廃プラスチック類、ゴム屑、金属屑、瓦礫類、ガラス屑など性状が安定し、環境に影響を与えない廃棄物を埋め立てる最終処分場である。
A こうした処分場の問題点としては、一般的には本来搬入できない廃棄物の混入あるいは付着などにより、有害物質等の地下浸透、公共水域への流出などの懸念が挙げられている。
【市議会議員からの安定型産業廃棄物最終処分場の災害事例の説明】
国内で起こっている安定型産業廃棄物最終処分場に付いてのさまざまな災害内容についての紹介が行われた。
@ 硫化水素の発生
A 有害重金属による水の汚染
B 地熱の発生
C 悪臭の発生
D 火災の発生や有毒ガスの発生
これら災害発生以前に安定型5品目に付いては、それそのものが危険といわれている。
@廃プラスチックに付いては、降雨によってその可塑剤が溶出する。
B 金属屑殻に付いては、温度変化や圧力によって鉛や重金属である鉛や水銀、カドニウムなどが溶質する。
 また酸性雨によればその可能性が高くなる。
C ゴム屑においても亜鉛やその化合物や可塑剤であるDOA、アニリンなどの発がん性物質が溶質する可能性がある。
D 陶器クズにおいても、顔料であるコバルトやクロム化合物など有害物質の有無を容易に見分けることが出来ないなど、安定5品目自体が危険であるとも言われている。
したがって、安定型産業廃棄物最終処分場においては、安全性が危惧され環境上問題がある。
【市議会議員からの質疑】
 ご答弁の中で業者に対して行政指導の中で小野地区の関係者に詳細な説明を行い、承諾を得ることと答弁されていますが、
@ この小野地区の関係者とは誰のことと理解すればよろしいか。
A 行政指導されたということは指導要項に基づく協議の前の事前相談があったと理解するが、小野地区の関係者の承諾が得られなければ事前協議に入らないのか。
【宇部市環境部長の答弁】
@ 小野地区の関係者とは、地元の意向を反映して決定することとなっていることから、一般的には自治体の代表者に当たるものと考えている。
A また県におきましては、この関係者の承諾が得られなければ業者との事前協議には入らないとしている。
 今回の市議会での答弁に見られるようにやっと産業廃棄物最終処分場建設計画の問題が行政でも取り上げられるようになって来ましたが、十分に把握、理解されるまでには至っていません。
 小野湖から安定的に供給される水は、農業灌漑用として多くの役割を果たし、宇部市の工業の発展に大きく寄与しているが、何よりも山陽小野田市や宇部市の水道水源として多くの市民の生活のため重要であり、安全性の確保は必然です。
 また小野湖は西日本有数のおしどりの飛来地としても知られるなど、周辺には豊かな自然がほとんど手付かずに残っています。
 これら小野湖の水質と小野湖周辺の豊かな自然環境を毀損する恐れのある産業廃棄物最終処分場の建設に反対し、県に建設計画を不許可にしていただかなければなりません。
 そしてその後も、市民と行政が一体となって周辺環境を保全し、豊かな自然環境を次世代に引き継いでいかなければなりません。
 それにはまず、産業廃棄物最終処分場の建設計画申請を不許可にしていただくために建設反対の活動の輪を拡大していく必要があります。
 反対運動はまだまだ多くの課題を抱えており、建設計画申請の不許可実現のためには、それらをこれから一つ一つ解決していかなければならないと考えています。
(文責;江本)
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