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室堂~薬師~黒部五郎~新穂高 縦走(富山県~岐阜県~長野県)
その① 室堂からスゴ乗越小屋
山行日  平成27年7月17日~19日
メンバー  福山 清二
行 程  7月17日(厚狭~室堂):天候 曇
厚狭6:44~名古屋~金沢~富山~電鉄富山~立山~美女平~室堂16:10(山小屋泊)

 7月18日(室堂~五色ヶ原山荘):天候 曇時々小雨
室堂9:40~一ノ越山荘11:00~龍王岳12:30~獅子岳14:50~
五色ヶ原山荘16:50(小屋素泊り)

 7月19日(五色ヶ原山荘~スゴ乗越小屋):天候 曇
五色ヶ原山荘7:15~鳶山8:15~越中沢岳11:00~スゴ乗越小屋15:30(小屋泊)
 昨年の紅葉期に上高地から槍ヶ岳、続いて西鎌尾根から鷲羽岳水晶岳、野口五郎岳、烏帽子岳を経由して七倉までの6泊7日の縦走をしたが、堂々とした黒部五郎岳と薬師岳の山容を見て来年は是非登りたいものだと考えた。
 しかし、どちらの山も深く大きく山口県から簡単には行けない、二つとも踏破するなら縦走した方が楽しそうと考え今年も6泊7日で室堂から新穂高温泉までを縦走することにした。
 7月17日の早朝に新幹線で厚狭駅を出発、新大阪駅までは台風11号の影響もなく順調に走行した。
 しかし、新大阪駅では予約していた金沢行特急サンダーバード号は台風のため運転中止となっていた。新大阪駅でこの状態なら今晩の立山室堂の、みくりが池温泉山荘泊はとても無理、キャンセルしようか?どこに泊まろうか?困った状況だった。
 しかし、特急サンダーバードの臨時列車が全席自由席で走行することになったので乗車した。停車駅が特急にしては多く、少し遅れて金沢駅に到着。
 乗り継ぎの北陸新幹線が出発時刻を遅らせて待ってくれている状況だったのでかけこみ乗車、富山駅に予定より少し遅れて到着した。
 昼食を取る間もなかったが、電鉄富山では当初予定していた立山行の電車に間に合った。
 立山駅からケーブルカーで美女平へ到着。曇っていたが風もほとんどなく台風はほとんど感じられなかった。
 美女平から室堂までの高原バスの乗客は20人ほどだったが、20kg超えのザックは私だけで他の方のザックは全員10kg未満だった。
 天候は曇りだったが、バスから落差350mで日本一、国の名勝・天然記念物に指定されている称名滝も見ることができた。今までは何度もこのバスに乗ったが霧などで一度も見たことがなかったのでとてもラッキーだった。
 16時10分、定刻に標高2,450mの室堂平に到着した。
 室堂平付近には雪がまだ相当残っており、みくりが池の湖面にも、この時期しか見れない残雪があり自然の豊かな表情に感動した。
残雪の みくりが池
みくりが池から雄山方面
 18日朝は、台風の影響を強く感じなかったが天気予報で午前中は雷の予報もあったので立山登山は中止し、遅めに出発して五色ヶ原を目指した。
 室堂平を含め一ノ越山荘までの間の雪渓はまだまだ多くルートの半分近い距離が雪渓の感じだった。
室堂から一ノ越方面の雪渓
 一ノ越山荘で温かいココアを求め軽い昼食をとった。
 通常から強風で知られている一ノ越山荘付近でも風が弱いので安心して綺麗な花々を写しながら進行、雄山登山をあきらめた代わりに龍王岳山頂に登ろうとして頂上付近まで近づくと急に風雨が強まりザックカバーが吹き飛ばされそうになる勢いだった。
 再び縦走ルートに戻ったがそれからは度々ルートのあちこちで同じような強風に見舞われた。
 また、このルートは遅くまで雪渓のある箇所が多く、しかも雪解けでシャーベット状になった雪渓はとても滑りやすく緊張の連続だった。しかも台風の影響だろうか室堂~五色ヶ原間の縦走者は非常に少なく、対向者はなかった。トレースが無い箇所も多かった。
縦走ルートと雪渓
 長い雪渓などを慎重に進んでいたら獅子岳に出た。これからは下りになるのでやっと腰を下ろして休憩をとった。
 周囲は霧でほとんど見通せなかったが、ひたすら歩き五色ヶ原山荘に着いた。
 当初は花園の中でのテント泊を予定していたが、雨と雪解けで水が多かったため、小屋に素泊りした。
 宿泊者が10人未満だったからか、1人で1部屋、そして従業員用の風呂まで使わせてもらった。乾燥室が有難かった。
 19日は7時15分に五色ヶ原山荘を出発して霧の中をひたすら木道を歩き、霧で遠くは見えないが花園らしい雰囲気は味わえた。
五色ヶ原の木道と花々
     
お花畑と雪渓
 霧の中をひたすら歩く、鳶山など途中で何人かグループや単独の方と知り合い言葉を交わすが食事や休憩時間の違いで相前後する状態が続いた。
 いくつかの峰々を越えると霧の晴れ間に急に雪渓を頂いた大きな山が現れた。
     
前方に雪渓の峰、越中沢岳・薬師?
 今日のルートは200m~300m位の登り下りの繰り返し、20kg超のザックを背負っての縦走なので登りは重量で、下りはバランス維持のためスピードが出ない。
 マイペースで進んでいたら今日最後の高峰 越中沢岳に到着した。
     
越中沢岳にて
 一方、風のないところではずーと多数の虫(ブト)につきまとわれた。顔の周辺に100匹位が飛び交い、目や耳や口に入る。痒みや痛みは感じないが目の周りや顔を噛まれ出血と多数の痕を残された。
 しばらくして霧の晴れ間の山腹にスゴ乗越小屋が見えた。しかし、それから山を下り、小屋の立つ山を再度登り返さねばならなかった。
 ブトを従えながらやっとスゴ乗越小屋に着いた。当初はテント泊の予定でいたが乾燥室が利用したかったのと、美味しいものが食べたかったので夕食付の小屋泊まりにした。
 小屋の管理は太郎平小屋がしている様子で対応は良かった。しかし、小屋の床の傾斜は酷く、2階への階段も超狭く、トイレも清潔感はあったが昔のまま、今どきの山小屋はどこも超綺麗なため、昔の山小屋を今に残す、味のある忘れられない山小屋に滞在した思いがした。
     
歴史を感じるスゴ乗越小屋
 まとめ

 台風の影響は心配したほど強くはなかったが、台風一過の青天の連続を期待していたものの、ぐずついた天気が続いた。
 200m~300mの登り、下りの連続、たくさんの虫の襲来に閉口して小屋に到着して「スゴ」の由来を尋ねたら、昔の熊撃ち達が黒部の谷底から見やすい山で人間や熊やカモシカの捕獲数の数号わせ「数合(すごう)」をしたことが由来と教えてもらった。
 18日、19日の両日ともガスで周囲の景観を見ることがほとんど出来なかったが、雪渓、岩、ガレ場など変化の多い奥深い北アルプスを事故なく縦走出来て満足している。
( 文・写真 福山 )
その② スゴ乗越小屋~薬師岳~黒部五郎岳~黒部五郎小舎→
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