HIKING RECORD 山行記録

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雪の鎖場-石鎚山-

日付2023/03/05
天候晴れ
メンバー鹿野、藤本
行程山頂成就駅(8:53)~成就社(9:27)~夜明峠(11:39)~二ノ鎖元小屋(12:41)~石鎚山山頂(15:17) ~二ノ鎖元小屋(15:42)~夜明峠(16:07) ~成就社(17:17)~ 山頂成就駅(17:31)~西之川登山口(20:09)~駐車場(20:21)

内容;

石鎚山の雪の鎖場に挑戦しました。

7時に石鎚山ロープウェイ麓の駐車場に着きました。ロープウェイの始発は、8時40分から。誰もおらず、のんびりしていると、8時近くになって続々と人がやって来ました。登山者も居れば、スキー客もいます。定員オーバーになり始発に乗れないのではないかと不安になり、登る準備をして、急いで乗り場に向かいました。自分たちのだいぶ前で定員となり、しまったーと思いましたが、幸いなことに数分後に臨時便が出て、それに乗ることができました。後ろの一人で定員となり危なかったです。成就社の温度は0℃。天気がよく、雪が溶けてぬかるみになっていました。八丁坂を下っていくと、積雪の道が続くようになり、前社森を登るころには、滑らないようにキックステップで進むようになりました。この歩き方を続けるのは疲れるので、アイゼンを装着しました。

山頂成就駅

成就社で登山届を提出

夜明峠から石鎚山山頂を望む

 

 

肝心の鎖場ですが、ロープで確保してもらい、一の鎖から挑戦しました。

一の鎖は、傾斜が緩やかで、鎖を登っているというより傾斜のある雪道を登っているようでした。二の鎖と三の鎖は難しく、鎖にアイゼンを掛けて登りますが、鎖の角度でアイゼンを掛けることができない所がありました。岩場に足を置こうとしても、氷が張っているので、アイゼンの爪先が掛かるように蹴り込まなければなりません。また冬装備を入れた荷物が重く、鎖の途中で力尽きそうになりました。

 

二の鎖の取り付き

 

1ピッチを登り切り、2ピッチ目を登ろうとしたとき、ハプニングが起きました。

ロープの末端は自分に結ばれていますが、下に垂れたロープが鎖に引っ掛かり、登ることができなくなりました。ロープを振って外そうとしても外れません。必死の思いで登った岩壁なので、自分の技術では下りて外しに行くこともできません。自分のロープを外して

下に落とせば外れるかもと思い、自己ビレイを取り、ロープを外して下に落としてみました。しかし外れません。結局リーダーが下りてきてくれることになりました。自分は、スリングでメインロープにオートブロックで結んで登っていきました。

 

三の鎖を登り終わって

 

ロープを回収し、山頂に着いたのが15時17分。ロープウェイの最終は17時。山頂はもう誰も居ませんでした。2時間ぐらいで下山できそうなので、急げば間に合うかも、と急いで下山を開始するも、疲労のせいか中々スピードが出せません。

成就駅に辿り着いたのは、17時半でした。

 

石鎚山山頂から天狗岳を望む

 

慎重に歩いた山頂直下の登山道

 

歩いて下りる登山道はあります。コースタイムは2時間ほどなので、日没は免れません。初めて通る道で不安がありましたが、午前中に出会った方との雑談で「ロープウェイを使わずに登ってきた」という話を思い出し、酷い藪道ではないはずと少し安心感がありました。

ヘルメットにヘッドランプを装着し、ウェストポーチを着け、現在地がすぐ確認できるようアプリが入ったスマホを入れました。標高約1300mの成就駅から432mの西之川登山口まで下ります。延々と同じような九十九折の道が続きます。歩いているせいか、寒さはあまり感じませんでした。ヘッドランプの明かりでも登山道が判りましたが、ここで道迷いを起こすとビバークになるかもしれないので、登山道を外れていないか、何度もスマホのアプリでチェックしながら進みました。標高610m地点で、横に進むか、下に進むか迷ったところがありました。下に進む道は荒れていますが、奥に道があるように見えます。横に進む道は、足場の悪いちょっとした幅の窪みを跨ぐようになります。窪みの向う側をライトで照らしてよく見てみると、足跡があり、道が続いていました。そうこうして歩いている内、石垣が現れ、標識などの人工物が現れはじめ、人里が近くに感じられ、ほっとしました。20時過ぎ、無事に西之川登山口に下山できました。駐車場を出たのが21時近く、2時過ぎに山口県へ帰着となりました。

ロープはきちんと回収すること、計画した時間は守る、ということがこの山行の反省点です。

 

西之川登山口へ真っ暗の中下山

 

 

 

今回のトラック図

 

〈補足〉

 報告書を、ご覧くださいましてありがとうございます。

今回の山行目的は、2週間後の3月中旬に予定していた西穂高岳登山のためのトレーニングの一環で、ロープワークおよびピッケル、アイゼンのトレーニングとして実施いたしました。

なお積雪期の鎖場では、中級レベル以上のクライマーであればロープ確保は必要ありませんが、敢えてロープワーク等のトレーニングには最適な場所と思い石鎚山を選んでおります。

この報告を登山者の皆様に参考にしていただくためにも、山行中に起こったことについて新人会員の藤本が生で感じ取ったことを正直に記載してもらいましたが、言葉足らずの部分もあり文面の受取り方によっては誤解が生じることが懸念されましたので、以下に補足説明をいたします。

 

1 ロープワークのトラブルについて

 ロープワークについては、事前に打ち合わせし、登攀中はトランシーバーをハンズフリーでリアルタイムに交信しました。

今回のトラブルは、岩場で同類のトラブルを経験しているクライマーもいると思います。

トラブルは三ノ鎖(68m)で発生しました。

全般的に雪は少なく締まっており、雪崩のリスクは少ないと判断しロープワークを兼ねて鎖と岩と雪のミックス登攀を開始しました。

ロープは、φ8.5mm×50m1本を使用のため2ピッチで行くこととしました。

鹿野と藤本が1ピッチ目を登り終え、藤本はメインロープで自己確保を取り、鹿野が2ピッチ目をリードしていきます。トラブルは2ピッチ目で発生しています。

トラブルの原因は、鹿野が1ピッチ目の終了点でセカンドの藤本を確保する際、引き上げたロープが落下した(クライマー側のロープは、張ったままなので安全上は問題ありません)ことに加えて、鹿野がトップで2ピッチ目を登っている最中に、藤本の足元にあった鹿野が引き上げた、余ったロープも下部に落下したことで鎖に巻き付いたと推測するものです。

藤本も何度か回収を試みましたが、ロープが細く軽いのに加え、エバードライ加工のためか、すぐに滑り落ちてしまいました。

対策としては、ザックの中に収納すれば良かったと思っております。(専用のロープバッグがあるようです)

通常の岩場では、よっぽどのことがない限り引っかかることは経験上ありませんでしたが、今回のような鎖場の足場がぶら下がっているところでは注意が必要だったと思います。

従って2ピッチ目の終了点近くまでは鹿野が行くことができましたが、ロープが引っ掛

かっているため長さが足りず、終了点まで登ることができませんでした。

この時の藤本はメインロープで自己確保を取っており、藤本の提案でスリングにて自己確保を取り直し、メインロープを解きロープ末端を下に落として外れ易くして、回収しようと試みました。

結果的に鎖に絡んだロープを外すことができず、藤本にスリングで自己確保した状態で待機してもらい鹿野が支点を構築、懸垂下降しロープを修正しました。ロープは、石鎚山特有の三角形の鎖が楔になり巻き付いている状態でした。

鹿野がロープを修正している間に、藤本にはフィックスした状態からオートブロックでこのピッチは登ってもらい、支点構築した地点でスリングにて自己確保を取り待機させました。鹿野も支点構築したところまで登り返し、アンザイレンで藤本を確保して残りの5mを登攀、弥山頂上に到着しました。

時間的にも押していたので撤退も考えましたが懸垂下降より、頂上に抜けた方が安全確実と判断しました。

 

2 下山時刻が遅くなったことについて

鎖場でのトラブルにより予想外の時間がかかったことに加え、疲労で下山に時間がかかってしまいました。その結果、ロープウェイに乗り遅れ下山道を利用したので、予定の時刻までに下山できませんでした。

ロープウェイが何らかのトラブルで利用できない場合を考慮して、下山道については、あらかじめチェックしておりました。

 

(文:鹿野)

 

text藤本
photo藤本