HIKING RECORD 山行記録

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宮崎県・雌鉾岳クライミング「カメレオンルート」

日付2023/11/24
天候晴れ
メンバー高田、林、有松、江本(直)
行程鹿川キャンプ場7:00 〜取り付き8:00〜登攀開始8:30〜7p目12:30〜終了15:30〜下山17:00

雌鉾岳は4回目だが、相変わらず300mのスラブは大きい。今回はカメレオンルート[5.10b 8ピッチ] に行ってきた。“美しいトラバースからのカメ” “四月のカメ”など記録に出てくるが、カメ(亀)山育ちの宇部山岳会は“カメからのカメ”で行きます。天気予報で週末は一気に冷え込むと聞いていたが思った程では無く、それでも上下インナーは着込む。しかしヨセミテスタイルは誰や!やはり彼は強いなあ〜

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8:00 取り付き。早速運命のジャンケンポン!パーティーと順番決め(有松:江本) (高田:林) 。準備をしていると、一般登山者の方や東京のクライマーがやってきて、どこからかと聞かれ、山口県ですと答えると、「おいでませ、の山口ですね」「誰も言わんけど(笑)」とちょっとばかり和やかになる。この時期はクライマーも南下してくるんだ。計画の段階で御在所岳にクライミング案もあったが、寒波ではと宮崎になった。案の定、御在所は雪だったようだ。

8:30 登攀開始

1p目 有松リード 50m  5.3

右斜上の松の木あたりを目指すが、ピンが見当たらないので、出だし美しいトラバースの2ピンをとり右トラバースをするが、これ5.3? 途中1ヶ所ピンがあるが、セカンドでも緊張する。後続パーティーはピンを取らず出だしから右に、途中カム2ヶ所 ピン1ヶ所、微妙なバランスで快適とまでいかなかったらしい。朝イチのスラブのトラバースは恐る恐るだ。そういえば“四月の風”の出だしも緊張したなあ。

2p目 江本リード 40m 5.2

右の木立ちに向かう。これ歩き?  というくらい安心できる。ピン1ヶ所

3p目 有松リード 45m 5.2

右のブッシュを目指す。

ブッシュ歩き、江本リード 20m ,ブッシュの右上端に出ると直ぐ右に四月の風ルートが見える。右にき過ぎた?高田さんに左方向に偵察に行ってもらうが、それらしい所が無く、少し登ると次が見えてくるだろうとそこからスタート。しかしこのブッシュは落とし物の宝庫!?朽ち果ててるが(笑)  カメラ! スリング!グローブ!   ん? ◯◯さん? 旧会員の名前が!今は四国で暮らされてるその方に後日連絡をとるとビンゴ!! 素敵な偶然

4p目 江本リード 25m 5.9

右端からスタートして、少し上がり、それほど傾斜無いスラブを左斜上方向に行くと支点が見えてくる。

5p目 有松リード 40m 5.10a

頭上に中央バンドが見えている。先程より傾斜が出てきたスラブを有ちゃんはスムーズに直上して行く。

6p目 江本リード 40m 5.10a

目の前に行くべきルートがしっかり確認できる。まだルートファインディングが未熟な自分にとってルートが見えていると落ち着き、気持ちも高揚する。最初のピンをとり左の立木でランナーをとり、ガッツリ手のあるレイバック、カムをセットして進むと岩角でランナーをとり、岩穴にたどり着く、そこを乗り込みピンをとって一安心。先程から後方で仲間からの品の無いヤジともとれる(温かい?)応援に応える余裕も無く、無視無視!

ここからが緊張の右トラバース、手も足も微妙、ジワジワと進みあと30センチでピンが……落ちるかも……つぶやいた瞬間、落ちる!!! 左に大きく振られて岩で左の腰を強く打つ。(ゴメン、有ちゃん!) 、 体制を整えて、再トライ、次は絶対落ちないぞと躊躇せず”パニック“でピンをとりその上をAOで乗り切り支点に到着。

7p目 有松リード 30m 5.8

ここからもまたスラブ直上、小ハングの下にカムをセットして乗越す、ここのバランスが微妙に難しい。

8p目 江本リード 35m 5.10b

この時点で15時、最終ピッチ。熟練の高田さんは常に全行程終了までを考えている、出来るだけ明るいうちに安全に下山終了を心がける。ここまで来ればヘッデン下山はない。「焦らなくていい」と助言をもらいながら、目の前の奥にあるスラブはどうだろう、直ぐ右に「庵の秋ルート」のボルトの連打が目に入り、私の実力からその選択もアリだと有ちゃんも私をプレッシャーから解き放ってくれる。とりあえず正規ルートをトライ。2ピン目をとるがその先のピンが遠い〜〜。「降りる」と捨てビナをセットしてゆっくり降ろしてもらい、仕切り直し。庵の秋ルート(5.10b)ボルトは古いが問題無し。しかし最後樹林帯の手前、クラックらしいが指が入らずスラブ登りをしてズルズルと落ちた。このクラックめ!!!  ここ掘れワンワン状態で前足でほじくると出てきた、お宝クラック!  手と足をねじ込み上に抜けて木で終了点。あっと言う間に登ってきた後続の林さんに「見れば直ぐ詰まったクラックだってわかりますよ。カムバチ効きでしたよ(笑)」と涼やかに言われ、真っ黒な土の詰まった爪をジッと見つめるのでした。

15:30 終了

ここで登攀が始まってから初めての水分を口にする。ホット一息。

16:00 下山開始

下降路はひたすらフィックスロープ頼りに下降する。デポしたザックを回収してキャンプ場に戻る。

反省会

鹿川キャンプ場は快適、楽しい一日でした。このすべてを共有してくれる素晴らしい仲間に感謝です。

反省点は多々ある。作業に時間がかかり過ぎる、耳にタコが出来るほど言われてきた”スピードは安全”。落ち方も考えて落ちる。声がけ。etc。毎回反省は尽かないが、クリア出来れば次の景色が見えてくるはず、その景色を楽しみに精進していきます。

text江本(直)
photo高田、林、有松