HIKING RECORD 山行記録

HIKING RECORD

山行記録

アーカイブ

春山合宿_涸沢岳西尾根(前半)

日付2023/04/30
天候晴れ
メンバー鹿野、江本、藤本
行程4/30、11:00宇部南IC~(高速道路)~

5/1(初日)、新穂高温泉着~6:00市営新穂高第3駐車場発~8:00 穂高平避難小屋~9:45 涸沢岳西尾根取りつき(トウヒの大木)~12:55西尾根1800m付近~15:15 標高2400m付近幕営地着

5/2(二日目)、5:30 標高2400m付近幕営地発~8:15蒲田富士~13:00涸沢岳~13:30 穂高岳山荘着

5/3(三日目)、4:30 穂高岳山荘発~5:30涸沢岳~9:40蒲田富士~12:30 標高2400m付近幕営地着~14:00 標高2400m幕営地発 ~19:00 西尾根取りつき(トウヒの大木)~ 20:35 穂高平避難小屋~23:00新穂高センター~23:45 市営新穂高第3駐車場

5/4、24:00市営新穂高第3駐車場発~高山IC~(高速道路)~16:00 山口南IC

久しぶりの北アルプスでの春山合宿だった。今回は、新人会員に積雪期の北アルプスを経験させることも目的の一つだったため、初心者にも与し易いバリエーションルートであるとされる涸沢岳西尾根を選択した。初日、宇部からゆっくり長時間をかけて車で現地入りしたが、睡眠不足気味。重い荷物を背負って白出沢右俣林道をのろのろ進む。林道とはいいながらも工事車両の通行を考えてか広くしっかりしたつくりになっており、歩きやすかった。 

 

林道終点から白出沢を渡ってすぐにトウヒの巨木があり、そこから尾根にとりついた。尾根は2000m付近まで熊笹に覆われ、途中2mを超える背丈のものもありところどころ藪化していたがかすかな踏み跡と赤いテープを頼りに藪漕ぎをしながら前進した。かすかでも踏み跡があるということは、夏にも登られているのか、近年積雪の少ない状態が常態化しているかのどちらかだろうとぼんやり考えた。 

 

後半は木の根っこを手掛かりに急斜面を登ったり、朽ちたロープの残置された岩場をフリーで越えたりしながら高度を稼いだ。アイゼンを着用してからは、雪山らしい登りになったと思いながら急登を登っていると突然あっけなく、2400mの幕営予定地に到着した。 

 

すでに2張りのテントが張られていた。他のパーティーの邪魔にならないように空きスペースを整地してテントを設営していると、1パーティーが奥穂高岳へのピストンから帰ってきた。話を聞くと全体的に雪が少ないとのことだった。夕食時、霙が降ってテントの周囲は冬景色となったが、思っていたほど寒くはなかった。夕食後、翌日の行動について再度確認を行った。奥穂高岳往復を目指すが、涸沢岳到着時間次第では、涸沢岳ピストンに切り替えることやリミットの時間についての合意。もちろんその時の体調など総合的に判断して最悪の場合は穂高岳山荘利用も考える点も変更なし。わざわざ穂高岳山荘に電話して営業しているかの確認もした。考えられるリスクとその対応について話し合い合意した上で就寝。 

 

2日目は、3時に起床したものの、出発までに2時間半もかかってしまう。幕営地からいきなり急登が始まる。2600mの森林限界を抜けて尾根上にでると目の前に蒲田富士の急な岩稜がそびえる。雪の付着は無いがアイゼンを履いて朽ちたフィックスロープをよけながらフリーでの岩登りとなる。 

蒲田富士登りの岩稜帯抜け口付近を行くメンバー

 

抜け口付近から再び積雪しており、そこから蒲田富士へのリッジが続く。雪は安定しているので歩きやすいが、ところどころで雪庇が崩落してそこでトレースが途切れている。気温が低い時には雪庇を踏み抜くことなく問題なく歩けたのだろうが、この気温では注意が必要だ。意識して亀裂よりも右斜面側を歩いた。 

 

蒲田富士リッジでの休憩

 

 

蒲田富士のリッジ(後方は笠ケ岳

 

蒲田富士のリッジを進む<後方に見えるのは、後発パーティー>

 

F沢のコルからは、岩稜帯を右に回り込んで、ルンゼ状の雪の斜面を約300m直登した。 

岩稜帯からルンゼへ<ルンゼに見えるのは、追い越した後発パーティー

 

岩稜帯からルンゼを抜けてからは積雪の無い稜線のアイゼン歩行が続いた。左手側に北穂高岳と滝谷、右手前方にはジャンダルムや奥穂高岳がみえるのだが涸沢岳にはなかなか着かなかった。休憩の頻度と休む時間が長くなったことなどもあり、予定よりも大幅に遅れて、13時に涸沢岳に到着した。 

 

奥穂高岳と穂高岳山荘

 

穂高岳山荘入り口

 

ここまでの所要時間とパーティーとしての疲労度を考えると、ここから引き返して明るいうちに幕営地に帰り着くのはリスクが高いと判断。ビバークできる装備一式を携行していたが、より確実に疲労回復を図るため、穂高岳山荘泊とした。奥穂高岳をピストンする時間はあったものの、疲労度を考慮して奥穂高岳へのピストンも見送った。 

穂高岳山荘では、「太陽のロビー」で他の宿泊者と山談義をしながら時を過ごした。夕食は山での食事としては豪華に感じた。山荘の窓から遠くの山に夕日が沈んでいくのが見える。合宿と言いながらもこのような過ごし方もあったのかと思いながら、ゆったりとした時間を過ごした。 

 

暮れていく涸沢カール

 

後編へ続く

text江本(正)
photo鹿野、藤本、江本(正)