HIKING RECORD 山行記録

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山行記録

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福岡県 日向神 正面岩FYKルート(マルチピッチ)

日付2025/05/29
天候晴れ
メンバー有松、山内、江本直
行程日向神キャンプ場前駐車場8:20分取り付き8:50分5ピッチ目ブッシュにて休憩13:40分7ピッチ目撤退14:30分駐車場15:40分

福岡県八女市の山奥にある日向神ダム。数年前に弁財天東陵マルチとハナタテ岩マルチで訪れた事がある。その際に見た正面岩の迫力に圧倒された。今回会員3名でこの岩に挑む。トポ図では全部で11P、グレードはA0無しで11bでなかなかのハイグレード。もちろんA0のつもりで安全な登攀を心がけたい。
8時20分駐車に到着。さすが平日でクライマーは誰もいなかった。装備の確認を行い取り付きへ移動する。看板が出ていて取り付きの発見は早かった。
1P10c 20m 有松がリードで登る。他者の記録通り、出だしが苔むしており慎重に登る。ボルト沿いに左上していきトラバース気味に登るのだが1箇所ハンガーが無くなっておりボルトのみの箇所あり。ボルトにスリングを引っ掛けて慎重にA0し突破。


2P 10a 20m 出だしはスタンス、ホールドが分かりやすく一気に快適になるが油断は禁物。上部に行けば行くほど難しくなる印象だった。トラバースはランナウト気味に登るのだが10aとは思えないほど厳しい印象。ホールドが乏しく足を常に探して慎重にトラバースし、ハング手前でピッチを切る。
3P 10c 10m 大きなハングを超えていく。ハング手前とハングにボルト。ハングの下をダイナミックなムーブで登る。ハングを超えてからトラバースだが、ここも悪い。とにかく足を意識して慎重に終了点へ。



4P 11b 15m 下部の核心。バンドを2つ超えていくルートだが2つ目のバンド下のボルトにかけて次を探すが見つからない。ルート間違えかなとトポを何度も見るがやはりここで間違いは無いさそう。だがボルトが見つからない。一旦、2ピン目までクライムダウンし作戦を練る。左側フェイス上に、おそらく人工ルートであろう錆びたRCCとリングボルトの連打を発見した。中間地点のブッシュへ続いておりそこを登ってブッシュに入る決断をする。スラブは乾燥してサラサラになった苔のカスで非常に滑りやすくA0で慎重に登る。途中カムで2箇所支点を作る。ブッシュ直下に5mmほどのフィックスロープが横に張らているが今にも朽ちそう。念の為にスリングで補強しトラバースしブッシュ帯へ。5Pはやっと地面が踏めてホッとした。


6P 5.9 15m ブッシュで休憩してここでリード山内へ交代する。出だしはRCCが2本連続しておりボルトに沿って登る。しかしここから終了点までランナウトしているので慎重に登る。
7P 11d 30m 上部の核心だ。ビレーポイントから上にボルト2本を確認するが明らかに遠い。スラブもザラザラで足が決まらず試行錯誤するが断念。右側にボルトが連打されたルートがありそこもチャレンジ。スリングをあぶみにして乗り込むがあと少し足りない。山内から有松に交代し再度チャレンジ。しかしこの時点で14:30分。あと5ピッチあるが今のペースだと間に合わないと判断し7ピッチ目の支点から懸垂下降にて撤退する。
有松が先行して降下開始。源蔵ルート沿いに40mほど降下しリングボルト、RCCが連打してある終了点でピッチ切る。降下の途中に気付いたが、もう少し左に源蔵ルートの正しい終了点らしきものを発見した。若干テラスになっており支点もしっかり取れそうな様子だった。今回ピッチを切った場所は、テラスでは無いので各自3箇所以上のセルフビレーを取る。懸垂の支点はオールアンカー2つに捨て縄2本をセットする。再度、懸垂下降を開始。地面は間近だが、木が生い茂って地面が見えなかった。30mほど降下し着地。3名とも怪我なく無事に駐車場へ。
反省点 筆者はフォローの3番手で回収しながら登攀した。今回1番難しい所で11dでA0ありきでグレードが下がる場所もあり時間がかかってしまった。また、ボルトハンガー欠損箇所や苔むしてフリクションが悪い場所もあり苦慮した。
良い点 雄大な正面壁(ハート岩)から一望できるダムの景色は一見の価値あり。10a.10b.10cの連続やトラバースでの緊張感は精神的にも技術的にも鍛えられた。その為にも日頃の練習は大事だと改めて思う登攀となった。
【有松コメント】5年前、会の大先輩高田氏と登ったルートだ。今回で2度目だし、難しかった記憶も無い…と油断していた。あの時は高田さんが引っ張ってくれていたんだなぁ…また再挑戦します^_^

text山内
photo山内、江本