５月３日　

前日は、松本から栂池へ移動して木地屋へ車を１台デポ。宿泊は、栂池スキー場ゴンドラ駅近くのホステル「UNPLAN」。安価で清潔な今風の宿で英気を養った
8時の営業開始にゴンドラに乗れるようチケットを求める列に並ぶ。切符購入時に登山計画書の提出が必至。
栂池ロープウェイ自然公園駅に到着しハイクアップの準備を整える。少しガスがかかっているが風も穏やかで寒さも感じない。

槍沢からの転戦で少し疲れを感じながらも尾根沿いに天狗原を目指す。

1時間程登るとガスもとれて視界が広がる白馬連峰が出迎えてくれた。昨年の大雪渓を思い出しながら少し進むと天狗原に至った。

他の多くのスキーヤーは、蟻の行列のように白馬乗鞍岳を目指している。

私たちは、天狗原の祠から北西へ回り込んで振子沢へと向かう。

振子沢源頭は広い斜面が続き滑りやすい。ザラメを堪能した。
谷が徐々に狭くなると右に左にとトラバースを移し、1632mあたりで西隣の沢に入ってしばらくすると林道に出た。

乗鞍沢にかかる橋を渡り林道をトラバースすると蓮華温泉へ到着。
鯉のぼりに出迎えられる。私たちが一番乗りのようだ。

受付を済ませて温泉を目指す。スキー靴で雪面を10分程登ると天国が待っていた。

蓮華温泉の旨い食事に舌鼓。ご飯とみそ汁を何度もお代わりして満腹に。

５月４日

昨夜は夜中から風が吹き荒れ雨も降り始めた。雪倉岳を目指す計画で４時に起床するが天候回復を待つことする。
6時少し前、雨も止んだので準備を整えて動き始める。
瀬戸川の渡渉点へは、いったん兵馬の平に降りて滝見尾根を登り返すか、キャンプ場の脇をトラバースで進むかの2通りがある。
私たちは、トラバースルートを選び固い斜面を無理せず慎重に進む。

トラバースを続けてると滝見尾根に乗り上げる。カモシカ展望台の上部から瀬戸川渡渉点のスノーブリッジを渡る。
ここ数年のゴールデンウイークは、この渡渉点も渡れなかったようだが今年は全く問題ない。

瀬戸川を渡り一本立てた後は沢を登り詰めて行く。
登り詰めたところで右側の隣の沢に移りさらに登ると徐々に斜度がきつくなる。

シートラに切り替え沢を登り詰めたところで雪倉の大きな斜面に出た。

標高を上げるにつれて風がきつくガスも濃くなってきた。時折、霰が頬を叩く。
斜面もガリガリ君になってきた。

頂上まで250m、残り1時間程の所まで登って来たが天候が良くなる気配はない。
時間は正午近く。まだ余裕はあるので一旦ここで天候回復を待つこととする。
松の影に皆で身を寄せて体温を感じながら暖を取り過ごす。

早期の回復は難しと判断しこの地点から降りることにする。
幸いにも雪は少し緩んできたようだ。
視界が良くないので、メンバーが離れ離れにならないように少しずつ落としていった。

標高2000ｍ辺りまで下りてくると、雲の外に出て視界も広がり風も収まってきた。
この辺りからようやく、雪倉の大きな斜面を楽しむことができた。

来たルートを戻り、途中でシールトラブルがあったものの無事に蓮華温泉へ戻り行動を終えた。
頂上へ到達できなかったことは残念だが、様々な要素が詰まった山スキーの集大成のような雪倉岳を楽しむことができた。

5月5日

天気は回復し穏やかな日になりそうな予感。
今日は、もう一つの楽しみである木地屋へのツアーで下山する。

ゴールデンウイークとはいえ朝の斜面は固い！！
一昨日は簡単に滑り降りてきたトラバース斜面をアイゼンを装着で進む。

乗鞍沢を渡り、ようやくスキーが履ける。
少し滑り降りて弥兵衛沢を渡りヤッホー平から林道沿いに進む。
ここからは、蓮華温泉や大きな雪倉岳がドーーーんと望むことができる。

林道を離れて登り返すと見晴らしの良い角小屋峠に至る。
ポカポカ暖かい、まさに春スキー日和の中で一本立て滑降準備。

角小屋峠からは、数十メートルきわどいトラバースをこなす。
その先では、無立木斜面での滑降を楽しむことができる。

ウド川に出会うと右岸へ渡りしばらくはトラバース。
小さな緩斜面を上下しながら林道に出る。

林道をショートカットしながら進み、気が付くと森は新緑に変わっていた。
木地屋はもうすぐだろう。

林道の最後１km程は雪が無くなっていた。
木地屋の民族資料館に戻ると満開の山桜が山行を締めくくってくれた。

念願かなって参加できた雪倉岳と木地屋へのツアー。
どこを切り取っても思い出に残る山行だった。
周到に計画し適時適切に判断してくれたリーダー高田をはじめ、何かにつけて支えてくれたメンバーに心から感謝する次第です。