HIKING RECORD 山行記録

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山行記録

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寂地山周回

日付2023/04/22
天候晴れ
メンバー斉藤(宗)・斉藤(滋)・ 田中(山口山岳会)(小五郎山~右谷山~寂地山~土滝山縦走組   江本(正)・藤村 )
行程宇部東インター(5:15) ~ 小郡インター(5:40) ~ 中国道六日市インター ~ 向峠(6:55-7:05) ~ 寂地峡駐車場(7:45-7:55) ~ タイコ谷出合(9:45-9:55) ~ ミノコシ峠(10:40-10:55) ~ 寂地山山頂(12:20-13:05) ~ 寂地林道終点(14:15) ~  寂地峡駐車場(16:00)

内 容
山々が萌えだした。桜が終わった大海山を歩きながら、偶には違った山に出かけたいなと思う。そんな折に届いた会の例会案内、思わず目が点になる。

 

会のリーダー江本(正)さんの小五郎山~寂地山日帰り縦走計画!

つい先日、皿倉山~福智山~採銅所縦走を達成されたばかりだ。凄ーい!! 皿倉山~の折は若き伴走者が数人いたようだが今回はどうだろうか? 多分誰かいるだろうな・・・。10年前だったら厚かましく名乗りを上げていたかも。今回の縦走路は細切れながら数回歩いている。

だが10年以上も昔の事で(季節もまちまち)記憶も薄い。残念、参加できない・・・と思ったが、フッと閃いた名案(私にとって都合の良い) 江本リーダーの困惑顔が思い浮かぶが、決めた! 同じ日に寂地山に登ろうっと!

緊張しながらも楽しみにしていた朝を迎える。小五郎山~寂地山単独縦走予定に藤村さんが加わり、自称サポート隊にも田中さんが参加、総勢5名で現地に向かう。サポートのつもりが早くも立場逆転、デリカ運転はお任せで予想より早めに向峠に到着する。

 

向峠から出発する縦走組

 

 

張り切る縦走組を見送り寂地峡へと急ぐ。このルートを走るのは何年ぶり? 60代位までは毎週の如くこの辺りをウロチョロしていたが最近はとんとご無沙汰だ。(2年前、沢登り講習会参加で走っている筈だがすっかり忘れている) その所為か分岐での戸惑いや、うっかりの通過、加えて交通規制・・・と寂地峡駐車場まで結構時間がかかってしまう。単独行のつもりだった江本さんは此処に車をデポし6時台のバスで向峠に移動の予定だったとか、そのファイトに感服し頼まれもしないのに押しかけサポートを買って出た。逆に迷惑をかけぬよう頑張らねば。

 

サポート隊と名乗るからには当然、縦走組が寂地山の山頂に着く前には登っていたい。そんな決意も知らず先頭を行くMは呑気。五龍の滝をゆっくりと眺めながら進む。

仙人のように速い江本、馬力のある藤村組だ、歩く距離が違っても、いつ追い越されるか分からない。のんびりしている場合じゃないが結構急な登りがしんどい。木馬トンネルを抜けようやく傾斜が緩やかになった登山道は、明るく新緑が目に優しい。足元の小さな草花達、勿忘草(?)エイザンスミレ・・・思わずカメラに手が伸びる。前を行く2人について行くのが精いっぱいなので立て続けにシャッターを切り、後は運に任す。早発ちしたつもりだが後発のパーティーに追い越され始める。

 

ダラダラと傾斜は緩くとも長い登りだ。ようやくタイコ谷出合に到着し一息入れる。 縦走組は今、どの辺りだろうか? 自分が歩いた時の光景が断片的に思い浮かぶ。容谷山への分岐は過ぎただろうか? 藪ヶ峠まで来ていたら先を越されそうだ。

 

タイコ谷出合からミノコシ峠への登り

 

焦りを感じながらもミノコシ峠への登りは急だ。ワサビ田を見下ろしながらノロノロと進む。ジグザグの急坂に汗をかき、ようやく「着いた~!」 ミノコシ峠到着だ。早速、木陰のベンチに座り込み大休止。縦走組は当然まだ着いていないと勝手に決め込む。「カタクリが咲いてるぞ」右谷山方向に偵察に出かけたMの声にふっと我に返る。カタクリ?! そうか、追い越して行った人達、カタクリがお目当てだったのか。

カタクリの事なんか全く頭になくて、予定通り無事歩けるか?そんな事ばかり心配していた自分・・・なんだか情けない。それでも思いがけないご褒美を手にした気分で写真を撮りまくる(数打ちゃ当たる方式、残念ながら当たらなかったが)

 

カタクリを撮る

 

さぁ、後は稜線伝いに進むだけ・・・と安易に構えていたが、どうしてどうして現実はそう甘くはない。

疲れが溜まって来た足に階段の一段一段が重く堪える。だが小五郎山からの長い縦走の後に此処を登る2人を思うと弱音なんか吐けない。

小さなアップダウンの繰り返しも足元一面に咲くカタクリに癒される。枯草の中に溶け込みそうな薄紫の地味な花、懸命に咲く姿に惹かれ、ついつい立ち止まってしまう。追手(失礼!縦走組)はまだか?と何度も振り返りながら。

 

山頂へと続く稜線

 

お昼は過ぎたが遂に寂地山山頂に到着する。途中耳にした「山頂は人がいっぱいで座る所も無いですよ」の言葉通り大勢の人で賑わっている。

どうやら2人はまだのようだ。ホッと一安心し1組のカップルだけのテーブルにつかせて頂く(登る途中で出会った福岡からのご夫婦だった) 「あれ~もう着いちゃった!」「ウッソ~! 早い!」 軟弱部隊(田中さんを除く)が到着してまだ20分、元気な縦走組が現れる。

信じられない速さだ。疲れた様子もなく行動食を口に・・・さすが~! 20代、30代ならいざ知らず、中高年2人の健脚ぶりにただただ脱帽、「凄~い 凄~い」を連発する(他に言葉が見つからない)江本リーダーによれば集中登山は2013年以来とか、その時もここ寂地山だったそうで満足気だ(帰宅後HPで確認すると、その時山頂で待っていたのは3人の若き女性会員だった。後期高齢者&前期高齢者だった今回も喜んでおられるのが嬉しい)

 

山頂で記念写真

 

さぁ、後は駐車地まで下るだけ。つかの間の休憩だけで縦走組は松の木峠へのコース途中(寺床)から読図をしながら常国へ。

我が家も元気だった頃、寺床から読図しながら寂地林道へ数回下っている。面白そうだがついては行けない。当然足を引っ張ってしまうだろう。残念だが仕方ない。

平凡に寂地林道へと下って行こう。別れ際、「先に着いたら待っててください。いや、迎えに来て欲しいんで車のキー渡しときましょうか?」と声をかける。もちろん冗談のつもりだが、やる気満々の2人、ひょっとしたら競争? いくら何でも、そこまで遅くはならないと思うけど。

 

ミヤマカタバミ

 

その昔、私の山友達をMが犬戻峡に案内した事がある。

沢登りの初歩的トレーニングの場として犬戻峡最上流部を遡行したが、沢と登山道が最接近する所を終了地点とした。その折、寂地山の山頂を踏みたかった2人(30代の男性と私)が近くのベンチで待ってくれる仲間を残しピストンした。あの時、快適に歩けた同じ道が思うように下れない。段差が大きい階段や壊れたコンクリート材に苦戦しながら慎重に進む。と突然、右膝に激痛が走る。草陰に隠れたコンクリート材に思い切りぶつけてしまった。

そそっかしいのは今に始まった事ではないが、集中力、身のこなし、全てが衰え嫌になる。幸い捻挫や骨折でなくて良かったが、こんなノーマルルートでさえ手こずってしまうのが現状だ。

気を取り直して下りながら、もうそろそろ・・・と思っていると「在った!」古びたテーブルとベンチ(当時の物ではないかも?)山頂ピストンの間、メンバーがお茶しながら待ってくれた場所だ。見覚えのある遡行終了地点も確認でき、あの時の光景が懐かしく思い浮かぶ。あの頃はみんな元気だった。大半のメンバーが山から遠ざかってしまったが無理もない。20年以上経っている。

 

懐かしい下山道(水場付近)

 

寂地林道まで下って来る。田中さんから差し出された冷たいメロンで生き返り、少し疲労回復、長い長い林道歩きを始める。

若い頃は歩きが大好きだったが、胸椎骨折以来大の苦手になってしまった。丸くなる背をなるべく伸ばしながら(気持ちだけで効果なし)進むが記憶以上の長さにうんざり、途中の東屋に座り込んでしまう。

見覚えのある先客は山頂でご一緒した福岡のご夫婦だ。疲れ切った顔を見かねてか、「どうぞ」と差し出されたクッキーに元気を頂く。福岡の山では見られないカタクリを見られて良かったと喜んでおられる。田中さんの「また、来てくださいね」の声掛けに笑顔が返る。さぁ、あと一頑張りだ。

 

寂地林道を下る

 

頭上の新緑を眺めながらひたすら駐車地を目指す。

ノロノロに付き合っていたMとの距離が広がり始める。縦走組の到着が気がかりなんだろう。「こんなに登っていたんですね」田中さんが沢を眺めながらポツリ。

彼女にとって初挑戦だった一昨年の沢登り講習会を思い出しているようだ。そういえば、あの時も下りがきつかった。今日は倍の距離! ヨレヨレ状態ながらようやくデリカに辿り着く。とまさか~!読図、藪漕ぎ組が帰っている! 2人の方が早かった。Mが下った時には既に着いていたそうだ。どの位待たせたか? 気遣ってか「そんなに待っていませんよ」の返事。それにしても凄~い!

もう何年も登っていなかった寂地山。果敢な江本リーダーの計画に触発され、押しかけサポートの名のもとに挑戦し登る事が出来た。歩く場所、距離は違っても 《ONE TEAM》 素晴らしい仲間に感謝! 疲れたけれど本当に楽しい一日だった。

text文:斉藤(滋)
photo写真:斉藤(宗) 斉藤(滋)